MI・2 MI治療=ミニマルインターベンション=最小限治療
「MI治療」とは「ミニマルインターベンション」の略で、日本語に直すと「最小限治療」、ということになります。
これは「虫歯に対する治療方針の基本原則」をあらわす言葉ですが、まあもっと簡単な日本語に直すと、「虫歯は悪いところだけ取るようにして、歯をできるだけ削らないようにしましょう!」という考え方です。
これは理屈抜きで、まず症例をご覧ください。
術前です。
左下小臼歯の虫歯です。
以前にプラスティック充填してありましたが、歯ぐきのスキマから2次カリエス(一度治療した歯が虫歯になること)になりました。
麻酔後、5倍拡大下で治療を行います。
歯ぐきのスキマからの2次カリエスなので、かなり深い部分まで虫歯が進行していました。
大まかな部分をラウンドバーと呼ばれる機械で削り、深いところはスプーンエキスカベーターという器具で、手で慎重に削っていきます。深いところは機械では削り過ぎになることがあるからです。
下の写真は薬液で消毒しながら虫歯の除去を進めているところです。
術後です。
最新の接着材(ボンディング材)を用いて、歯と同じ色の白いプラスティックを詰めました。
この「とりあえず」の考え方は、「MI・1」の時と同じです。ご参照下さい。
僕の現在の基本的な虫歯治療の考え方としては、まず強い自発痛(ズキズキとした痛み)や強い冷温痛(熱いものや冷たいものがひどくしみる)、咬合痛(咬むと痛い)が無ければ、深い虫歯でもまず詰めるようにしています。
一昔前に比べ、最近はボンディング材(接着材)が非常に進化したので、深い虫歯でも、後から痛みが出てくるケースが少なくなったからです。
このボンディング材(接着材)は
・歯とプラスティックとの接着
・スキマをシールして、虫歯菌の再感染を防ぐ
・知覚過敏の予防
・歯髄(神経)の保護
などの機能を持ち、この部分は、いま日本が一番進歩しています。
小さな虫歯なら、歯と同じプラスティックを詰めるだけで、1回で治療も終わり、保険診療でかつ審美的に治療することができます。
深い虫歯でも、詰めてみて痛みが出なければラッキー!、痛みが出れば、後から小さな穴を開けて神経を取れば済むだけなので、トータル歯を削る量を少なくすることが出来、結果的に歯を守ることにつながります・・・。
ただし、咬み合わせの強い歯にはマイナスになるときもあるので、この場合は個別に要カウンセリングになります。
ただ、いつも使うオチですが、どうぞ毎日のお手入れとメンテナンスだけはしっかりやって頂きたいと思います。
予防に勝るMI治療は無いからです。