上下顎のフルマウス(全顎)セラミック修復症例3態
術前の状態です。古い修復物が、全部すきまが開いて、しかもセメントが溶けてしまい、いつはずれてきてもおかしくない状態でした。修復物(いわゆる金属のかぶせ)の寿命を、よく聞かれることがありますが、おおまかに言って、金属そのものは、よほど無理な噛み合わせや、歯ぎしりでもないかぎり、そう簡単に壊れるものではありません。ほとんどの場合、その金属を歯にとめているセメントが溶けてしまい、二次カリエスや脱落を起こして、ダメになるのです。
セメントの平均寿命は約7年というデータがありますが、そこは、お口の中の環境次第で大きく変わります。僕がメンテナンスをうるさいくらい言うのもそこなのです。口の中が環境が悪化し酸性に傾くと、セメントは早期に溶けてしまいます。また、安定した環境を保つと、当院でも20年くらい使っているケースはざらにあります。
術後です。
患者様の強い希望により、上下メタルボンドセラミック冠による修復を行いました。歯周病の状態は安定していたのですが、残念ながら治療にかかるまでに、かなりのアタッチメントロス(歯肉の退縮)を生じていたため、歯が長い形態になりました。しかし、たばこも吸いませんし、生活習慣もブラッシングも安定しているため、予後は良好に経過しています。
2症例目、術前です。年配の男性です。かつてはヘビースモーカーでしたが今は吸っていません。
古い修復物をはずし、必要な抜歯等の初期治療を行うと、歯がとびとびに無くなり、入れ歯にするか、全体をひとまとめにつなぐか選択を迫られた症例です。
1例目の術後と2例目の術後を比べると、とてもよく似ているのに気づきます。
メタルボンドセラミック冠は、プラークの付着が少なく、掃除がしやすく清潔なため、お二方とも大変喜んでいただいています。しかし、最善をつくしてはいますが、すでに大きく口腔内が破壊されてからの修復は、なかなか理想的な審美形態にはなりません。重症になる前の予防と、ていねいな修復とメンテナンスが本当に大切なことを教えてくれる症例です。
術後です。歯周治療を含め、治療に約3年を要しました。
この症例は、またいずれ改めて、その3年間の途中経過を報告したいと思います。
歯の病気の予防は感染のコントロールにつきます。
その根本は、毎日のブラッシングと、食習慣、生活習慣のコントロールです。
メンテナンスを早期に始めれば、決して難しい話でないんですが・・・・。
■メタルボンドセラミック冠 1本 94500円(税込み)~