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歯周病3つのケース・1  理想的な歯周病治療

 歯周病とは「歯周病菌の感染によって、歯肉が炎症を起こし、それによって歯を支える周囲の骨が破壊され失われていく」病気です。

 しかし、一口に歯周病といっても、その原因菌の種類は30種類以上といわれ、そこに患者側の体質や性格、生活習慣がからむため、病態はかなり多種多様な姿を見せます。

 今回は、代表的な3種類、4つのケースをご覧いただき、歯周病の理解の助けになればと思います。
ケース1 ・ 単純な歯周病
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 46歳、男性。これは2001年6月、初診時の写真です。
 バイオフィルム(ばい菌の塊)がべったり付着し、歯の表面はぬるぬるで、見るからに不潔な状態です。
歯肉も腫れ、発赤しています。歯を磨くとすぐ出血し、口臭もあります。
 典型的な歯周病の症状を示し、自他ともに歯周病だと判っています。一見、重症に見えますが、しかし、自覚できるということは、歯周病治療の第一歩でもあります。
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 まず、表面のぬるぬる、バイオフィルムをクリーニングしました。上は1週間後の写真です。わずかですが歯肉が引き締まり、隠れていた歯と歯肉のすきまの歯石が黒く見えてきています。歯石は、ばい菌の巣です。

 ここから、SRPと呼ばれる除菌処置を施していきます。
SRPは、歯周病のもっとも効果的な治療のひとつで、平たく言うと、スケーリングやクリーニングなどで、歯石やバイオフィルムを除去し、感染源を取り去ることです。
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 1か月後、まだ歯肉の腫れは残っていますが、歯肉の色は改善し、随分と普通の姿になりました。出血や口臭などの自覚症状も減り、患者様も大喜びしていただきました。ああ、治って良かったね!
・・・・・ではありません!

 歯周病が、これで治ったわけではありません。歯周病の治療が難しいのは、実はここからなのです。
歯周病は、生活習慣病です。ある日いきなり初診時の写真のように悪くなったわけではありません。毎日の歯磨き習慣や生活習慣からできてきたものなので、ここで治療を終えては、またすぐに悪化してしまいます。
 しかし、自覚症状が無くなると、患者様も油断して、つい来院が途絶えてしまいます。ここが、歯周治療のもっとも難しいところなのです。
 逆に、きちんと歯周治療をすれば、単純な歯周病の場合、1か月ほどで大きく改善させることもできます。
実は、多くの患者様が、この3番目の写真のように、自覚症状のないレベルの歯周病を抱えておられます。重症になる前に、きちんと歯周治療を受け、定期的なメンテナンスで、コントロールを行えば、単純な歯周病で歯を失うことはないのです。
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 1年後です。案の定、油断が、写真に表れています。やや不潔な状態にもどっています。
再治療、というより、言葉は悪いですが再教育ですね。専門的には、再モチベーションと言います。
改めて、歯周病の原因を説明し、クリーニングとメンテナンスの大切さを理解していただきました。
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 9か月後、随分と改善、安定してきました。
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 最新の写真は2011年2月 56歳時の写真。初診時から10年後の写真です。
歯肉は固くひきしまり、ちょっとやそっとのことではもう出血しません。歯肉の色もみずみずしく、初診時と較べても10年の歳月を感じさせないどころか、単純に並べたら、どっちが年配なのかわからない感じです。

 最初の頃、油断した時期もありましたが、その後はずっと3ヶ月に1回のメンテナンスにきちんと来院して下さっています。もちろん毎日の歯磨きもていねいにして下さっています。歯周病治療の理想的な形と言えるかもしれません。
 しかし、これは特殊なケース、特殊な治療をしたわけではなく、きちんとやれば、どなたにでもあてはまる治療なのです。

 常々言っていることですが、感染(ばい菌)のコントロールと咬合のコントロール。この二つをきちんと行うことが、患者様の歯を守る基本中の基本です。これだけで、多くの歯を救うことができます。

 しかし、前にも書いたように、虫歯も歯周病も多くは生活習慣病です。単発でその治療を行っても、効果は短期的です。人間は生涯のライフサイクルの中で、環境が変わったり、ストレスがかかったり、病気になったり、様々に変化していきます。お口の中のリスクも、それに応じて変わるのです。
 この患者様は10年間おつきあいさせていただいています。治療初期に、抜いたり、削ったりはありましたが、メンテナンスに入ってからは、たまに義歯の修理を行うくらいで、抜いたり削ったりはありません。今後もさまざまな変化は起こるでしょうが、その中で、一緒に歯を守るお手伝いをさせていただきたいと思っています。
 「患者様と一緒に過ごす歯科医療」「時間軸を見据えた総合医療」と呼ばれる、これが予防歯科の真髄なのです。
by healthcarenews | 2011-02-27 12:02 | 歯周病治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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