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歯周病3つのケース・2  若年性歯周炎

 次のケースは、若年性歯周炎と呼ばれる、重症の歯周炎です。
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 30歳、女性。一見、普通の歯肉に見えますが、歯周炎としては重症で、難治性です。
まだ若いのに、歯肉のあちこちが、つぎつぎと腫れてはつぶれ、腫れてはつぶれ・・・、を繰り返します。
がんばって歯磨きをしても、膿は止まらないし、口臭もするし、歯はぐらぐらしてくるし、どんどんひどくなっていく・・・・。
うちに来るまでの本人の不安は大変なものだったでしょう。

 これがなぜ重症なのか?なぜ、難治性なのか?
ケース1と大きく違うのは、バイオフィルム(細菌のかたまり)や、歯石の付着が全然少ないにもかかわらず、ケース1以上の炎症を起こしていることです。
 初診時を横から見てみましょう。
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ケース1と比べると、歯の表面にはバイオフィルムはあまり付いていません。目に見える歯石もありません。ただ歯肉が一部ただれたように腫れています。
 治療後を見てみましょう。
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 歯周炎は、歯を支える骨を破壊する病気であることは前に書きました。
治療により、歯肉の色はきれいになり、炎症も治まりました。しかし、歯を支える骨が大きく破壊されていたために、歯肉が引き締まった後は、歯と歯の間に大きなスキマが開いてしまいました。それだけ、ひどく骨が破壊されていたということです。

 成人性の慢性歯周炎(いわゆる歯槽膿漏)は、通常40歳代前後ぐらいからの発症で、進行がおそいため、治療をきちんとすると、ほとんど問題なくコントロールできます。
しかし、若年性歯周炎は、早い子は15歳くらいから発症し、女性に多く、ほとんど症状なく急速に骨を破壊していく恐ろしい歯周病です。

 その違いは、感染している歯周病菌の種類の違いです。慢性の歯周炎にくらべ、毒性の強い菌が感染しているのです。普通の歯石除去を繰り返すだけでは、この歯周病は治りません。時には特殊な抗生物質を使い、短期間に一気に除菌処置を行って行きます。

 治療初期には、まだ、たびたび腫れていましたが、麻酔下で投薬しながらの掻把を繰り返し行う事で、3か月目ごろより症状が落ち着きはじめ、6か月目でようやく消炎しました。

改めて、術前と術後を比較してみましょう。
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 歯肉にすきまはできましたが、腫れが引き、歯肉の色は大きく改善しました。まだまだ不安定ですが、時間と共に、歯肉の形も徐々に良くなっていきますし、歯の隙間も改善していくでしょう。
 
 初診時に、不安でおびえる彼女に、時間はかかるけど必ず治るからがんばって通っておいでと励ましたことが思い出されます。今後も注意深いメンテナンスが必要になりますが、彼女ならがんばってくれるでしょう。
 
by healthcarenews | 2011-03-02 00:54 | 歯周病治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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