上顎義歯、下顎インプラントと使い分けたケース
初診時の写真です。この患者様は、貴金属を使った高額の入れ歯を使っていましたが、1本1本少しずつ歯が抜けていっている状態でした。その原因は、ずばり咬み合せ。骨格ががっちりしており、歯ぎしり、くいしばりの癖がありました。入れ歯では、その歯ぎしりによる破壊力を支える事ができません。
入れ歯をはずしたところです。歯が有るように見えていましたが、入れ歯をはずしてみると上下2本ずつしか噛み合っていません。顎の咬み合わせの力が、この2本にすべてかかっている訳です。長持ちする訳がありません。
初診時の全体像です。(クリックで拡大できます。)
幸い、下顎の骨は左右ともがっしりしています。
下顎は、咬合を確保し、残っている歯を守るためインプラント療法を選択しました。
上顎は、残っている2本の歯だけでは、将来、破折の可能性があるため、積極的に抜歯しました。このほうが今後の経過の予測が正確になります。
途中経過における全体像です。(クリックで拡大できます。)
術後、セラミッククラウンで修復しました。
上顎の修復に関しては、インプラント療法も検討しましたが、奥歯の部分の骨が十分でなかったことと、骨造成を行うにしても、80歳を超える年齢と手術のリスクとの兼ね合い。そして、仮歯の義歯を十分に使いこなしていることから、金属床総義歯を選択しました。
治療終了時の全体像です。(クリックで拡大できます。)
下顎は、残っている歯とインプラントで、噛むための強い力を分散して受け止めます。
上顎は、総義歯は広い粘膜で力を受け止めるため、時おり、入れ歯の痛みはあるものの、十分予測の範囲の調整でコントロールできています。
インプラントにこだわらず、両者の良いところを理解することで、リスクを低く抑えた上で、安定した結果を得ることができました。