ヘルスケア通信

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歯周病予防の基礎の基礎

 今回は歯周病治療の基礎のお話です。

 まずは写真をご覧ください。
写真は2000年7月。女性。32歳頃の初診時のものです。
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 一見、というか、言葉は悪いですが「素人目」には、何のインパクトもない画像です。虫歯もありません。
患者様の訴えは何だったのか、僕ももう忘れてしまいました。おそらく痛くもかゆくも、何の症状も無かったでしょう。時々ちょっと歯肉から血が出るなあ・・・、くらいはあったかもしれません。患者様も、「ちょっと歯石取って下さい。」みたいなノリだったかもしれません。

 でも、良く見ると歯の表面、特に奥歯の部分にはべったりバイオフィルムが付着しています。
そのため、歯肉も少し炎症を起こして腫れかけています。
 「べったりバイオフィルム」は生活習慣、特に食習慣が悪い証拠です!
こういうお口の中を見ると、ゾクゾク「胸騒ぎ」がします。予防歯科医として、見過ごす事はできません。

 歯周病は、初期は自覚症状がまったくありません。ここが歯周病が恐ろしく、また難しいところなのです。
まずは、カウンセリングの後、全体のバイオフィルムをクリーニング(PMTC)して、歯1本1本について、SRPと呼ばれる除菌処置をほどこしていきます。そして2ヶ月後。
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 歯肉炎は、やや改善しましたが、奥歯のバイオフィルムはまだまだ残っています。特に下の奥歯の表面に、ヌルヌル、ザラザラが残っています。生活習慣が、まだ改善されてないのです。
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 いつもそうですが、生活習慣に立ち入るのは、本当に難しいと感じます。誰でも、自覚症状がないのに、好きな食べ物を制限されたくはありません。それでも、このままでは危険です。
改めて、当院の、経験と機材を総動員して、再カウンセリング、再モチベーション(再教育)します。

 歯周病を理解してもらえたかどうか?メンテナンスに応じてくれるかどうか?
ここからが運命の分かれ道になります。

 幸いこの患者様は、3ヶ月に1回。きちんとメンテナンスに来院いただける患者様になりました。
下の写真は、2011年10月の時点です。初診より約11年。バイオフィルムも無く、綺麗に磨けています。もちろん、この11年間、抜歯はおろか、1本の虫歯すら出来ていません。
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右下奥歯の写真です。
バイオフィルムが綺麗に無くなり、独自の歯のツヤが戻っています。
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僕が、時々、「真珠のツヤ」とご説明する艶です。

 皆さんは、それぞれ、お口の中に「真珠」を持っています。
どうか、その宝物を、末永く大切にしていただきたいと思います。

 この患者様も、今は「胸騒ぎ」なく、メンテナンスで拝見させてもらっています。
今後とも頑張ってくださいね。

 
by healthcarenews | 2012-04-16 00:03 | 歯周病治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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