お年寄りから若者まで審美治療の理由は様々・3
現在67歳、女性。この患者様は、当院で長くメンテナンスを続けておられますが、平成25年2月のある日、前歯が取れた!ということで飛び込んで来られました。まずは、この写真を御覧ください。
まあ、ご本人様にとっては、衝撃的な出来事でしょう。できれば見たくない、思い出したくない写真だと思います。(念のため、お断りしておきますが、ヘルスケア通信でご紹介している写真は、すべて患者様の了解を得て、公開させて頂いております。無断では公開致しませんのでご安心下さい。)
しかし、メンテンスの過程のなかで、この前歯はいずれこうなることは予測がついていました。
患者様にも、その説明はしてありました。その意味では、お互いあわてることはありませんでした・・・。
前歯の治療そのものは、おそらく10年以上経過しているかなり古いものです。2008年に撮った写真が下です。
それから5年後・・・・、改めて、術前です。
かぶせのスキマから入る虫歯はかなり危険です。多くは神経を取ってある歯なので、痛みもないまま深くまで進行します。
角度を変えて見てみましょう。歯ぐきの深くまで虫歯が入り、一部は根っこが折れたようになっています。本来なら抜歯の適用になってもおかしくない症例です。
しかし、抜いてしまったら次は入れ歯かインプラントになります。患者様の希望もあり(入れ歯も嫌だし、インプラント怖い!(^^;))悩ましい所でしたが、ぎりぎりのボーダーラインでブリッジによる治療を選択しました。
その代わり、歯肉の手術は有りーの、歯の再植は有りーの、と、手間と時間のかかる治療になりました。
下は約7ヶ月後、土台が入って、歯肉も安定してきた頃の写真です(平成25年9月)。もちろん、ずーっと仮歯は入っています。
それから、さらに2ヶ月後、下は平成25年11月、術後の写真です。見た目も綺麗になりましたが、なにより歯肉の色調の安定を見ていただきたいと思います。
初期は、痛くもかゆくも無い、お口の中の細菌の感染ですが、治療が済んでみると、やはり美しい健康な歯ぐきに戻ります。それだけ、知らないうちに、歯肉のみならず体全体に対して、なんらかの害を及ぼしていることを理解していただきたいと思います。
また、メンテナンスは、時間の流れを止める治療ではありません。メンテンスしていても悪くなる歯は悪くなります。しかし、悪くなるスピードを、ずっと遅くすることができることと、それまでの対策を講じておくことができる、ということがメンテナンスを行っている強みでもあります。
時間の流れを止めることはできませんが、せめて体が健康な間、少しでも、歯が無くなる「Xデー」を先送りにする・・・、それも歯科治療のひとつのスタイルだと思っています。