ヘルスケア通信

newshealth.exblog.jp ブログトップ | ログイン

歯科用3D-CTの効用・4 親知らずの抜歯について・・・

 今夜のヘルスケア通信は、「歯科用3D-CTの効用」の第4話です。

今回は、簡単に言うと、いわゆる「親知らずの抜歯」に3D-CTが、いかに役に立つか、と言う話です。

 まずは、下のレントゲン写真を御覧ください。これは一般的なレントゲン写真です。
黄色の楕円で囲ってある歯が親知らず。これを抜歯して欲しい、という患者様の希望でした。
b0119466_0183649.jpg

 ふむ、このレントゲン写真で見るかぎり、親知らずそのものは普通に生えている、普通の歯に見えます。
しかし、そのすぐ下に、5ミリほどの幅の黒い影が斜めに横切っています・・・。
これは「下歯槽管」と呼ばれる、下顎の骨の中の、大きな神経と動脈が通る穴なのです。
抜歯の時に、これを傷つけると大変です。安全のため、3D-CTを撮影してみることに・・・・。

「!」 

下は、3D-CTによって撮影された断層像の一部です。
b0119466_0191687.jpg

 一般的なレントゲンでは普通に見えた親知らずでしたが、角度を変えて見ると、その根っこが途中で細くなって、かつ大きく曲がっています・・・!!。
逆に、下歯槽管(黄色い丸の中の右下にある5ミリほど丸い影)との距離は、近くはありますが、慎重に抜歯すれば大丈夫そうです・・・。

 抜歯はなんとかできそうなので、曲がっている根っこの方向に気をつけて、慎重に抜歯を行いました・・・。

「!!!」

 下は、抜歯した歯の写真です。
b0119466_0195158.jpg

 3D-CT像で事前に曲がっていることが判っていましたが、実物の根っこは、なんと直角近くに曲がっていました・・・。その曲がり方は、正直、想像以上でした(汗)。
今まで、たくさん親知らずを抜いてきましたが、こんな風に曲がっている下の親知らずは記憶がありません・・・・。
もし、CTを撮らないまま、不用意に、根っこが曲がっている方向と反対方向に力をかけていれば、根っこを折ってしまったかもしれません・・・・。そうなると、折れて残った根っこを抜くために、神経動脈に近い、深いところまで掘り下げねばならず、リスクの高い、危険な抜歯になってしまいます・・・。CTがあって本当に良かったと思う症例でした・・・。

 歯科用3D-CTを、改めて簡単に説明すると、従来は平面的にしか撮れなかったレントゲン写真をCT(コンピューター断層撮影)により、立体的に撮影することができるレントゲン写真です。
 
 当院では導入して3年半が経過しましたが、蓄積する症例・データが増えるに比例して、もう無くてはならない大切な診断ツールになってきています。
 当初は、インプラント症例の診断とかに主に用いられ、保険適用がありませんでしたが、現在では一部の疾病に関しては、保険適用も認められています。(インプラント関連の撮影は、今でも保険外です。)

 さて、下顎の親知らずの抜歯は、その一部の保険適用が認められている疾病のひとつです。
よく、親知らずの抜歯は、怖い、痛い、後が大変、と聞いたことがあるかもしれませんが、その原因のひとつが、先ほどお話したように、下顎の親知らずの近くを「下歯槽管」と呼ばれる管があり、その中を太い神経と太い動脈が通っているからです。

 もし抜歯の時に、これが傷付くと、大出血を起こしたり、神経がしびれたり、と、いわゆる「偶発症」と呼ばれる不快症状や後遺症を引き起こします。厚生労働省も、この親知らずの抜歯を、より安全に行なってもらうべく、下顎の親知らずの抜歯時のCT撮影については、保険適用を認めました・・・・。

 今回は、下歯槽管には問題が無かったのですが、思わぬ歯根の変形を発見し、結果的に安全に抜歯をすることができました・・。

 先ほど書いたように、CT症例が蓄積すればするほど、従来の治療が、いかに手探りで、なかば行き当たりばったりで治療を行なわれていたかが判るようになります・・・。

 もちろんレントゲン写真ですから、放射線被曝の問題もありますので、なんでもむやみに撮ればいい、というものでもありません。そのプラス面とマイナス面を、慎重に判断しつつ、診断に役立てていきたいと思います。

 
by healthcarenews | 2014-04-06 01:53 | 歯科用CT・3DCT

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


by healthcarenews
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite