マイクロスコープで覗く難治症例たち・・・
いまや僕の診療には無くてはならないものになっています。
「有る」と、「無い」では、その診断能力と治療精度の差は絶大で、そのためか、当院には最近多数の根管治療の難治症例の方が見えています。
残念ながら、そのすべてをマイクロスコープを使った根管治療なら「治せる!」と、いうものではありません。その点は絶対に理解しておいて下さい。
しかし、難治となっている原因の特定は、「無い」よりははるかに高精度にできます。
なにより、「原因」のわからないものが治療できる訳がありません・・・。
今日は、その「難治」となっている根管治療の代表的な難治の「原因」をいくつかご紹介しましょう。
1.歯の破折・亀裂・ヒビ
意外と多いのが歯が割れていたり亀裂(ヒビ)が入っていたりすることです(黄色矢印)。
多くは昔に神経を取った歯に起こりますが、最近はストレス社会のためか、歯ぎしりをしている人が増え、生きている歯にも起こす人が増えています。このような歯も痛みの原因の特定が難しい歯です。
2.根管の見落とし
根管には時にはすごく細いものもあり、そんな時は細さ60ミクロンの針で探さないと無理な根管もあります。そんな根管はなかなか肉眼では見つけられません。
術前(下写真)。上顎の大臼歯には、細い根管が隠れていることが多々あります。
黄色矢印は見落としている根管です。
術後。見落として手付かずだった根管を拡大しました。中が真っ黒に汚染されています。
3.樋状根(といじょうこん)
下顎の第2大臼歯の根管は、時に樋状根と呼ばれる特殊な形をしています。
この樋状根も予測がつかない形態のため、多くが難治になります。
4.不定形根管
上顎の第2大臼歯に多いのですが、定型的な形の根管ではなく、多くのバラエティに富んだ形をしている根管があります。
このような根管は手探りだけでは発見、追従が難しく難治になる時があります。
5.パーフォレーション
時に、虫歯などの様々な原因で、根管外に穴が開く時があります。
これも多くは難治になります。
6.虫歯
当たり前のようですが、虫歯は抜歯の大きな原因のひとつです。
一部分の虫歯なら除去することができますが、上の写真のように、歯全体に感染しているような虫歯は抜歯になる確率が高くなります。