ヘルスケア通信

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インプラント再考・7 ブリッジの限界と功罪・Part2

 今回のヘルスケア通信は、インプラント再考・第7夜、「ブリッジの限界と功罪」のパート2です。
それでは前回紹介できなかった症例をご紹介していきましょう。

症例2
 患者様は現在66歳、女性。
手術は2011年に行っていますので、初診時は60歳になるかならないか、というところです。
下は術前の口腔内写真です。

 左下のブリッジが取れてしまいました。一番奥の歯がドロドロの虫歯になっています。
この患者様は、もう昔に第1大臼歯を抜いてしまっていて(昔は第1大臼歯から痛んだものでした・・・)、小臼歯と第2大臼歯をつないでブリッジを入れていました。
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でも、もうワンパターンで恐縮なくらい、奥の歯のブリッジの土台が割れてしまいました。
 下は術前のレントゲン写真です。
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左下の黄色丸内の歯が割れています。
 でも、レントゲンをよく見ると、反対側の右下の歯も無い事がわかります。
右下の口腔内写真です。
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 実は、この患者様は、先に右下の奥歯を失っていました。
入れ歯を入れてみましたが、とても耐えられず、左下のブリッジばかりで噛んでいました。
そして、今度は左下の奥歯がその負担に耐え切れず、割れてしまったのでした。

 このまま放置すれば、今度は残った小臼歯と前歯を失っていくのは目に見えています。
この患者様は、人前で話をするのがお仕事なので、入れ歯はとても無理!ということでインプラント治療を選択されました。

 術後左右口腔内写真です。
左下は、一番奥の歯を抜歯してから、2本インプラントを入れました。
左下です。

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右下です。こちらにも2本インプラントを入れました。
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術後レントゲン写真です。
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 術前、術後の正面写真です。
術前です。
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術後です。
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 奥歯が自然にかみ合っているのがわかって頂けると思います。
咬み合わせも自然で、発声にも違和感なく、食事もおいしく食べられると喜んでいただいています。

 この患者様も、インプラント4本の他には、神経を取った歯が2本あるだけで、残りは大きな治療をした歯ではありません。
歯磨きもていねいで、いつもピカピカに磨いてメンテナンスに来院してくださっています。
まだまだ安定して長期間使っていただけるものと思っています。

症例3
 患者様は現在66歳女性、手術時は2012年ですので、初診時は症例2と同様、やはり60歳前後、ということになります。
術前写真です。
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 左下ブリッジが折れてしまいました。、一番奥の歯は歯周病が進行していて、ブリッジと一緒に抜けてしまいました(黄色丸の中)。

初診時レントゲン写真です。
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 このブリッジは、第1大臼歯と第2大臼歯を共に2本失っていたものを、小臼歯2本と親知らずをつないで、計5本のブリッジにしたものでした。
 大臼歯部は、人間が物を噛む力の大部分を支えています。ですから、大臼歯1本無くなるだけでも大変なのに(できたらすぐにでもインプラントを入れたいところなのですが)、2本無くなると、その前後の歯への負担はかなりのものになります。

 まだ削っていなかったらいいのですが、大臼歯2本無くなった場合、小臼歯2本と親知らずを削って5本ブリッジにすることを、保険診療で認めていますので、「入れ歯」を入れるよりは、と、前後3本の歯を削った、こういう5本ブリッジは結構無造作に多く入れられています。
 
 しかし、もともと小臼歯と親知らずは、大臼歯に比べ噛み合せを支える力が弱いところに、5本分の遠い歯をブリッジでつなぎますので、この治療法は、ブリッジの欠点ばかりが強調されるデザインとなってしまいます。ですので、このデザインのブリッジは、よほど慎重に、ていねいに作らない限り、遅かれ早かれこの症例と似たような結末を迎える可能性が高いと言えます。

 下は小臼歯部の拡大レントゲン写真です。
第2小臼歯の根っこの先に黒い影ができています。咬み合わせの負担に耐え切れず、歯が割れてしまったのでした。
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 結局、この歯も抜くことになり、このブリッジは計4本の歯を失ってしまいました。

 術後です。
左下に3本のインプラントを入れました。
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術後口腔内写真です。
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 術前、術後を左から見たところの写真です。
術前です。
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術後です。
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 術後の全体のレントゲン写真です。
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 左右バランス良く咬みあって、咬み合わせも安定しています。臼歯部が安定している分、前歯をほとんど触ることなく良好に経過しています。

 誤解の無いように補足しておきますが、僕はブリッジを全否定している訳ではありません。
現に、この患者様にも、右下には第1大臼歯を抜いてブリッジを入れています。

 インプラント治療は、素晴らしい治療だとは思いますが、かかるコストとリスクを考えても、歯が抜けたところをすべてインプラントで補える訳ではありません。
ブリッジはその安全性と効率という意味で、当院でも今でも歯が抜けたところの治療の第一選択です。
要は、やはりバランスだと思っています。

 ブリッジの利点と限界、特に長期的な経過に対する考察をしっかりしたうえで、ブリッジで治療するのかインプラントを行うのか、を決める事。
もちろん患者様の選択が第一なのですが、奥歯をしっかりと守ることが、長期的に見て、すべての歯を守るために必須であることが明白である以上、ブリッジとインプラント、両方のカードを正確に使いこなして患者様の治療方針を決め、進めていく事が、僕の役目であり責任であると思っています。
またそれが患者様の将来への大きな財産になると信じています。

 



by healthcarenews | 2018-01-08 21:48 | インプラント

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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