ヘルスケア通信

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「メタルフリー」へと続く道・Part1 歯科用金属の功罪について・・・。

 2019年、最初のヘルスケア通信は、昨年末からの続きで「メタルフリー」をテーマにしていきたいと思います。

 2018年、年初から集中して「インプラント」をテーマにしたように、今年の年初の特集は「メタルフリー」。
まあ、「インプラント」ほどたくさん書くことがある訳ではありませんが、逆に、「インプラント」が虫歯が重症になって、いよいよ歯を抜かないといけない段階まで来た患者様の悩ましい選択肢として上がってくるのに対し、「メタルフリー」は、最初の虫歯の1本から、いや、最初の虫歯の1本だからこそ考えておかないといけないテーマで、老若男女、健康な歯の方も含め、多くの患者様に非常に身近なテーマなのです。

 2015年7月より始まったダイレクトボンディングは安定した成績を残していますし、2018年にバージョンアップしたオールセラミックスの接着システムも、時間はかかりますが、非常に好成績を残してくれており、これで当院で安心して「メタルフリー」治療を提供できる環境が整ったと思っています。

 くしくも、今年の5月には「○○元年」と年号が変わります。当院も、今年はそれにあやかって「メタルフリー元年!」(笑)として(冗談ではなく)、真剣に患者様の事を考えてメタルフリーに取り組んでいきたいと思っています。

 「メタルフリー」治療、医院によってはノンメタル治療と呼ぶこともありますが、まあ簡単に言うと、お口の中に行う歯科治療に際し、金属を使わない治療の事です。
何故「メタルフリー」に真剣に取り組むかと言うと、やっぱりそれが良いと思うからなのですが、その説明のためには、歯科の治療に使われている金属について、ちゃんと説明しておく必要があると思います。

 で、メタルフリー特集Part・1は歯科用金属の功罪、から・・・。

 まず誤解の無いように最初にお断りしておきますが、歯科用金属として今まで歯科で長く使われてきた金属は、その時代時代のニーズにマッチした、どれも素晴らしい性能を持つ材料です。
 金属アレルギーの問題のように、有害な部分も無視はできないのですが、歯科治療から金属の使用を永久に完全に「ゼロ」にすることは、コストと材料の性質の問題から見ても非現実的で、非常に難しいと思っています。

 特に、金属が持つ大きな長所は「丈夫」な事です
歯には、時には体重と同じかそれ以上と言われるくらいの「強大な噛む力」がかかるのですが、金属なら噛む部分を厚さ0.3㎜ぐらいまで薄く仕上げることができます。
 それは、クラウンとして歯をかぶせてしまう時は、歯を削る量を薄く最小限に抑える事ができますし、ブリッジとして複数本つなぐ場合も、削る量を最小限にして薄く仕上げて形や舌触り良くし、その上でブリッジの強度を十分に保つことができます。
これはオールセラミックスやプラスティックにはできない芸当です。

 もうひとつ、金属は技工のやりやすさも大きな長所で、丈夫な事とあいまって、非常に繊細な加工が可能になります。
例えば、指輪やネックレスなどの貴金属を想像して頂ければ良いと思います。
あれこそ金属ならではの繊細な加工性が生み出すもので、仮に大きいダイヤが付いていたとしてもセラミクスだけの太い指輪やナイロンの糸でつながれたダイヤのネックレスに心がときめくでしょうか・・・?

 では、なぜ、今メタルフリーなのか・・・?
実は、クラウンやブリッジでは、いまだに有利な面も持つ「金属」ですが、特に小さな歯の「詰め物」となると現代では事態は大きく変わってきています・・・。

 画像をご覧ください・・・。
奥から2番目の歯の銀歯の周辺が真っ黒に変色しています。
「メタルフリー」へと続く道・Part1 歯科用金属の功罪について・・・。_b0119466_00350773.jpg
 患者様は48歳、女性。
 20年以上前に詰めた銀歯が腐食し、中が2次う蝕(1度治療した歯のスキマからまた虫歯になること)になりました。残念ながら虫歯に気付くのが遅れたため、この歯は神経を取ることになりました・・・。
 しかし、この患者様は、実は銀歯以外のところは虫歯になっていません。もともと虫歯にはなりにくい体質なのです。ところが、銀歯の部分だけが神経を取るくらい虫歯が進んだのです。ここに金属の詰め物の大きな問題があるのです!

 この治療に使われている金属は、一般に「アマルガム」と呼ばれている金属です。
その他に、歯科で使われている金属は、細かく分ければまあ無数にあるのですが、大きく分けると、この「アマルガム合金」、「金銀パラジウム合金」「銀合金」、金や白金などの「貴金属」そして、インプラントに使われている「チタン合金」などがあります。

 次回からは、そのそれぞれの金属について、もう少し詳しくお話をしていきたいと思います。

 最後に、最近のダイレクトボンディングの症例を一例ご紹介して、本日の話を終わりたいと思います。
最新のダイレクトボンディングのテクニックは、ここまで自分の歯を再現する事ができます。
これが、私がダイレクトボンディングにはまった理由です。

 この患者様も48歳、女性。若い頃、無造作に銀歯が入れられていた世代でもあります。
下は術前写真です。
大臼歯に2本、銀歯が入れられています・・・。
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 術後です。
黄色矢印、一番奥の歯を、銀歯をはずし、ダイレクトボンディングで修復を行いました。
歯の溝を彫刻し、着色もほどこし、機能も含め本物の歯そっくりに修復しています。
赤矢印は、この時点ではまだ仮歯です。セラミッククラウンで修復予定です。
「メタルフリー」へと続く道・Part1 歯科用金属の功罪について・・・。_b0119466_00554290.jpg
 銀歯があると、どうしてもお口の中が暗く見えてしまいます。
奥歯をメタルフリーにすることで、歯肉の色調も明るく改善したように見えます・・・。

 2019年の診療は1月5日から。その朝一番の患者様はセラミックインレーの型取りの予定です。
「メタルフリー元年」を象徴するようなさいさきの良いスタートになりました。がんばって良い結果を出したいと思います。

 



by healthcarenews | 2019-01-02 20:17 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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