ヘルスケア通信

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「メタルフリー」へと続く道・Part2 アマルガム合金について・後編

 今夜のヘルスケア通信は、メタルフリーへと続く道・Part2 アマルガム合金について、の後編です。
前編の後半部分で、アマルガム合金の欠点について触れました。

 簡単に復習しておきますと、アマルガム合金の欠点とは

1. 金属に「水銀」が使われていて「毒性」があること。
2. 劣化して溶けだし、黒色になり、周囲の歯も黒く変色することがあり、審美的にキレイでないこと。
3. アマルガムは歯に接着しないため周囲にスキマが開いて、知らないうちに虫歯になったり歯が割れたりすること・・・などなどです。

 後編のテーマは、この欠点2と欠点3。
両者は、アマルガムの金属としての性質そのものを原因としていますので、まとめて見ていきたいと思います。
 
 まずは写真をご覧ください。
下の写真は「メタルフリーへと続く道・Part1」でも使った写真ですが、奥歯が明らかに変色し、大きく審美性を損ねています。そして、後に紹介しますが、この歯は想像以上に重症で、最悪の結末を迎えます。
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 下の写真、黄色矢印は、とても小さいアマルガム治療ですが、黒変し逆に虫歯のように見えてしまっています。
その間の小臼歯は何十年も虫歯になっておらず、虫歯リスクの考えから見ると、このアマルガム治療も本当に必要だったのか疑問が残るところです。
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 下の写真、黄色矢印部分。
アマルガムは接着性が無いため、長期使用で劣化してスキマができたり、歯にヒビが入ったり割れたりすることがあります。
接着性とは、歯科材料が歯そのものくっつく性質で、接着性があると、歯を補強する場合があります。
接着性が無いと、スキマやヒビができやすくなり、そスキマやヒビの部分から中に細菌が入るため、中で虫歯が進行します(2次虫歯と言います)。
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 下の写真の歯も同様です。
前歯の裏側ですが、ヒビやスキマが入り、中で2次虫歯が進んでいます。
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 さて、下の写真は最初に出てきた症例ですが、そのアマルガムを除去した時のマイクロスコープ画像です。
2次虫歯の部分を取り除いたのですが、矢印部分にヒビが入っています。
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 ヒビからの感染は神経にまで進んでいましたので、やむを得ず神経を取りました。
4本も神経がある歯でしたが、大きく黒いヒビが入っています(黄色矢印)。
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 最も問題なのはこのヒビで、これだけ大きなヒビが入った奥歯は、正直言って予後がまったく予測できず、治療後すぐに割れてしまう可能性もあります。
そうなるとこの歯は抜歯になりますので、もっと早く治療ができなかったか悔やまれるところです。
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 別の症例も見てみましょう。
同じく古いアマルガム治療のマイクロスコープ画像です。
お約束のように、アマルガムの「劣化」「ヒビ」「中の2次虫歯」が出来ています。
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 アマルガムを除去したあとの画像です。
一部ですが、中で深い虫歯になっています。ヒビも入っています(黄色矢印)。
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 この症例も大きなヒビが入っていましたが(下写真、黄色矢印)、幸い神経までは入っていなかったため、詰めなおすだけで治療は終了しました。
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 誤解が無いよう書き添えておきますが、「ヒビ」の問題は、アマルガムだけの問題ではありません。
最近は、ストレス社会のせいか、食いしばりや歯ぎしりで、健康な歯を噛み割ってくる方が増えています。
特に、マイクロスコープなどで覗いていると、問題がある歯の多くの症例に「ヒビ」を発見します。
これはまたどこかで改めて話をしたいと思います。

 さて、最後に、わりと簡単なケースのアマルガム治療の再治療の例を紹介したいと思います。
 下の写真、やはり奥歯の古いアマルガム治療。
「劣化」はありますが、まだ初期で、幸い中の「ひどい2次虫歯」と「ヒビ」はありません。
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下の写真は、アマルガム合金除去後です。虫歯はありませんが、それでもこれだけ変色しています。
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 接着性材料のプラスティック(コンポジットレジン)で修復しました。(下写真)
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 現在では、ていねいにやると、ここまで審美性と歯の形を回復する事ができます。
術前と比べて見たら、やっぱりこっちの方がいいのは、皆さん明白だと思います・・・。

 さて、今回始めた『「メタルフリー」への道』・・・、その「最初の第一歩」がアマルガム合金の除去です。
わざわざ、『「メタルフリー」への道』、と、仰々しいタイトルをつけたのは、それが実は思いのほか、遠い遠い大変な道のりだからです・・(-_-;)。

 「Part1、歯科用金属の功罪」、でも述べたように、金属にも「強度」という大きなメリットがあり、また過去からの保険診療の流れで、お口の中全体に金属が入っている患者様もいらっしゃっいますので、そのすべてをいきなり外してメタルフリーにすることは、時間的にも費用的にも性能的にも到底不可能です。
また、小さな詰め物は保険診療でも大丈夫ですが、大きな虫歯の詰め物は保険外診療になる可能性が高いのも、道のりを遠くする大きな問題です。

 次回は金銀パラジウム合金の話になりますが、これにくらべると、小さなアマルガム治療なら、多くは保険でプラスティックに替える事ができますので、アマルガムのマイナス面を考えると、手軽でコストパフォーマンスの高い治療になります。
 それでも、このアマルガム治療が、現在どれくらいの量、患者様皆様のお口の中に眠っているのか想像もつきません。
それだけ長い長い歴史がある治療なのです。

 アマルガムの除去は「メタルフリー」への第一歩!
少しずつやっていきたいと思います。

 

 






by healthcarenews | 2019-01-23 16:16 | 虫歯治療・MI治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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