ヘルスケア通信

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「メタルフリー」へと続く道・Part5 チタン、コバルトクロム、貴金属について

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道、の第5夜です。
 一連の「メタルフリー」の話は、とにもかくにも、まず歯科用金属の事を知ってもらう事から始まりますので、アマルガム、金銀パラジウム合金、銀合金、と紹介してきました。

 残る金属は、チタン合金、コバルトクロム合金、貴金属・・・。
 これらの金属は皆、今まで出てきた「保険診療で使われる金属」とは違い、「特殊」かつ、「他に替え難い」ケタ違いな性能を持つ一芸に秀でたスーパースターで、言わばイチロー選手か羽生結弦選手みたいな存在です(こんな表現していいのかなあ・・・(^^;)。
 すべて保険外診療で使われる金属ですが、「他に替え難い」ので、おそらくこれからもずっと使われます。欠点無し、とは言いませんが、メリットの方が大きく、「他に替え難い」ので「功罪を問う」のでなく、そのスーパースターぶりをチャチャっとまとめて紹介だけしておきましょう(笑)。

 1.チタン合金。
この金属が使われているのは、まず「インプラント」です。
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 それも、骨の中に埋まる、「人工歯根」と呼ばれるネジの方です。

 もともとチタンは骨に細胞的に「くっつく(結合する)」という性質を持っています。
また「生体親和性」と言って難しい言葉ですが、要するに「体に害が出にくい」「アレルギーも出にくい」性質を持った金属なのです。
 整形外科などで、骨折した骨をつなぐプレートやネジにはチタンが多く使われているのはそういう性質を利用したものです。
 そのため医学界では古くから使われてきましたが、そのチタンを、歯根の代わりに顎の骨に埋める事を思いついて、形状や長さ、太さなど現在のインプラントの基礎となる原型を作ったのがスウェーデンの整形外科医ブローネマルク博士なのです!!!

 「現代インプラントの父」と呼ばれるブローネマルク博士の事を語ると熱くなりますのでほどほどにしときますが(笑)、要は「チタン合金」無しにはインプラントは成り立たず、「チタン合金」無しには現代のインプラントがもたらした多くの福音も成り立たない事になります。(インプラントが与えるQOLのメリットは、実はインプラントを実際に入れた方しかわからないかもしれません。「カツラ」や「植毛」と同じように、多くの有名人が密かに入れていると思います。)

 余談ですが、最近では金属アレルギーの患者様対策としてインプラント本体も「ジルコニア」というセラミックで作られるようにもなってきていて、その意味では口の中の「メタルフリー」はインプラントでも可能と言えます。

 チタン合金は、もうひとつ、「入れ歯の金属フレーム」にも使われています。
チタンは比重が小さいため、「軽くて丈夫」というもうひとつの大きなメリットを持っています。
 入れ歯の金属フレームには「コバルトクロム合金」も良く使われますので、次にまとめてご紹介したいと思います。
 
 2.コバルトクロム合金
 コバルトクロム合金は、非常に硬く丈夫な合金です。
薄くても丈夫で簡単には変形しないため、歯科では「入れ歯の芯となる金属フレーム」に使われています。
 まずはどんなものか写真ですね。
 
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部分入れ歯と、
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 総入れ歯です。
 
 まあ、スマホやPCでこの記事をご覧になっているような年齢の方にはあまり縁が無くて興味がないかもしれませんが、上の写真は、一般に「金属床」とか「メタルプレート」とか呼ばれる金属フレームを持った入れ歯です。保険外診療となっています。

 いわゆる保険診療の入れ歯は、ほとんどがプラスチックで出来ています。これは一見、丈夫なように見えますが、歯の「噛む力」は意外と強力で、このプラスチックを簡単に「変形」させます。この「変形」が実は大問題で、一生懸命「正確」な型を取って精密に作っても、噛んだ時に「変形」してしまっては、結局余計なところが当たって痛みが出るのです。もともと「合っている」のですが、「変形」して「痛み」が出るのでそこは削らなければ痛みは止まらず、そこを削ると今度は噛んでないときにそこにスキマができて食べ物が入ります・・・(-_-;)。こうしていつまでたっても具合の悪い入れ歯ができていくのです。

 金属フレーム入れ歯(メタルプレート義歯)のメリットをまとめておきましょう。
1. 丈夫で剛性が高い金属フレームは、噛んだ時に入れ歯が変形せず、噛む力が安定し、痛みが出にくい入れ歯になる。
2. 剛性が高いため「薄く」作る事ができて、舌触りや違和感、異物感が少ない。
3. 剛性が高いため「薄く」作っても入れ歯が割れにくい。
4. プラスチックに比べ、温度を通しやすいため、熱い物、冷たい物が判り、食事が美味しく感じる。
5. 異物感が少なく丈夫なため、デザインの自由度が高い。
6. 丈夫で変形が少ないため義歯の動きが少なく、咬み合わせが安定し、その分残った歯を守ることができる。
7. 一度金属フレームを作っておくと、残った歯が抜けたりしても、そのフレームを修理することで非常に長く使う事ができる。
8. チタン合金と同じくコバルトクロム合金も生体親和性が高いため、アレルギーやその他の害が出にくい。

 さて、歯科用金属の紹介もいよいよ大詰めとなってきました、最後は3.「貴金属」です。
歯科で使われる貴金属は、ざっと分けて「金合金」と「白金(プラチナ)合金」です。
まずは金合金から。
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 上の写真、黄色矢印が「金合金」でできたいわゆる「ゴールドクラウン」。
ちなみに、赤矢印は当院で入れた「セラミックインレー」です。

 貴金属のメリットはなんといってもその「安定性と安全性」。
 貴金属は、その他の保険診療の金属が唾液で腐食して溶けるのに比べ、ほとんど唾液で溶けず腐食しません。また殺菌作用を有するのか、貴金属の周囲に汚れが付きにくいのも良く経験します。
 また技工操作がやりやすく精度を高く作る事ができるため、それらの事があいまって、治療したあとも歯の寿命を延ばすことができます。もちろん唾液に溶けにくく生体親和性が高いため、チタンやコバルトクロム合金と同じく金属アレルギーなどもゼロではありませんが少ないと報告されています。

 この高性能な「ゴールドクラウン」ですが、ただ現在では、ほとんどの患者様が自然に見える白い歯をご希望になりますので、使用する機会は減ってきています。
この写真の患者様も、この「ゴールドクラウン」を外して隣のセラミックインレーと同様の白い歯をご希望になっていますが、あまりに上手に入っていて外すのはもったいないので、もう少し様子を見て頂いている所です。

 最後に白金(プラチナ)合金です。
性質は金合金と同様ですが、強度と高温に耐えるようにデザインされた金属フレームにセラミックを焼き付けして、高強度のセラミッククラウン(メタルボンドセラミッククラウン)として使われています。

 下の写真は術前です。
黄色矢印の銀歯をセラミッククラウンに変更します。
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 術後です。
 黄色矢印の部分が「メタルボンドセラミッククラウン」です。
その左右の歯は「ダイレクトボンディング」で修復してあります。
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 メタルボンドセラミッククラウンは、ジルコニアなどのオールセラミッククラウンに比べ、強度が高く、歯を削る量が少なくて済む、というメリットがあります。
歯にかかる力が強い奥歯などは、メタルボンドセラミッククラウンを入れる場合も多くあります。

 歯ぐきとの境目に見えるラインはプラチナ合金のラインです。ただし、これは、お口の内側ですので絶対に人に見える事はありません。
クラウンを薄く仕上げ舌触りを良くしながら、かつ歯を削る量を減らすため、ここは金属フレームが見える構造になっています。

 チタン合金、コバルトクロム合金、貴金属については以上です。
次回からは、いよいよ「メタルフリ―」へと続く道、の本題に入っていきたいと思います。
 

 
  
 

 

 


 

by healthcarenews | 2019-02-23 19:49 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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