ヘルスケア通信

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「メタルフリ―」へと続く道・Part8 接着治療における「虫歯除去」について

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリ―」へと続く道、の第8夜。接着治療における「虫歯除去」と「前処理」についてです。

 接着治療には、その前準備としての「精密な下地の処理」がとても大切!って話は前回しました。
その前準備として挙げられるのが、

1.古い詰め物の確実な除去
2.徹底的な虫歯の除去
3.適確なエッチング、プライマーなどの前処理

となります。今夜は、その中でも1.と2.を中心に症例を交えてご紹介したいと思います。

 症例です。ほとんどがマイクロスコープによる写真ですので、見にくい所があると思いますがご容赦下さい。

症例1
 40歳、女性。左上奥歯に強い痛みがあるという事で来院なさいました。
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 診てみると、大臼歯に古いプラスチックが詰めてあり、「接着はがれ」を起こして浮いてしまっています。
 新しい充填と、古い充填が入り交じり、もう、いわゆる「つぎはぎ」の状態になっていました。
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レントゲンで見ると、矢印の部分のプラスチックの下に虫歯ができていました。
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 下の写真は、古い詰め物を少し外したところです。古いプラスチックの下に穴が開いています。
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 精密な接着のためには「古い詰め物は徹底的に除去!」が原則です。
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 マイクロスコープで見ながらだいぶ取ったのですが、まだプラスチックの一部が残っています。
 必要な部分だけを十分に削り、かつ、余計な所は削り過ぎない!、ということは、当たり前のようですが、狭いお口の中の見えにくい所でそれを実行するのは、とても大変な事なのです。

 ここで、より完全に虫歯を取るために、虫歯染め出し液(う触検知液)を使います。
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染めて見るとびっくり。まだまだこんなに染まります。
 さらに虫歯を取り除いて・・・、
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もう一度染め出しをします。
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 大部分は取れましたが、エナメル質と象牙質の境い目や、虫歯の深い部分にまだ少し青く残っています。
 ここまで来ると、普通のドリルでは届きにくいため、超音波器具やハンドのエキスカベータ―などいろいろな器具でトライします。
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 上は全部、虫歯を取り切った後の写真です。大きく削ったように見えますが、隠れている虫歯を取るとこれくらいの削除は必要でした。

 精密な接着の前準備としては、これだけ徹底的に虫歯を取る必要があります。逆に、ここまで削除をすると、治療には精密な接着修復を行わないと、術後の疼痛や、強い知覚過敏に悩まされることになります。

 この症例でも、ここまで虫歯を削除した後、接着修復を行うことで、神経を取ることなく痛みが治まりました。
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症例2
 29歳、女性。やはり左上に違和感と一時的な軽い疼痛がありました。
レントゲン診査で虫歯を認めたため、治療を行いました。
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古いプラスチックを除去すると、中にカリエスが見つかりました。
上の写真は、1回目の虫歯染色をした直後の写真です。中が青く染まっているのがわかります。
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 上の写真は、さらに虫歯除去を続けて2回目の染色の後の写真です。
かなり虫歯を取りましたが、まだエナメル質と象牙質の境い目や、神経に近い部分にわずかに青く残っています。
この部分は、実際、拡大視野で直接覗いて取らないと、確実な虫歯除去が難しい部分です。
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 上の写真は、虫歯を徹底的に除去した後の写真です。
隣の歯との境い目の部分も完全に虫歯除去できて、キレイなエナメル質が見えています。
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 充填後です。マイクロスコープによる8倍の拡大視野でも、歯とプラスチックの境い目がわからないくらい精密な充填ができています。

 虫歯治療の原則は、できるだけ歯を削らないMI、ミニマルインターベーション(最小限治療)です。
これは大原則なのですが、最小限治療にこだわりすぎて、削り足らなくて虫歯を取り残すのは、本末転倒で絶対にやってはいけない治療になります。
 (ただし、唯一、神経に非常に近い虫歯だけは、意図的に、一層虫歯を残す時があります。これな特殊なケースです。)

 虫歯除去という、歯科医師にとってはごく当たり前の治療なのですが、実は非常に奥が深く、難しい時もあります。
ていねいにやると、すごく時間がかかる時もあります。ご理解をお願いしたいと思います。


 最後に、虫歯除去後の下地の前処理の話を「簡単」にしておきましょう。
前処理、とは、歯に接着しやすくするための前準備と思ってください。
また、すべてを必ず行う必要がある訳ではありません。必要に応じて取捨選択をして行います。

1. 虫歯除去した後の歯の接着面を細かい目のドリルで仕上げます。その方が接着力が上がります。

2. エナメル質部分のみ、エッチング剤にて一層溶かして、ザラザラにします。決められた処理時間を厳守します。

3. プライマー液で、象牙質を一層溶かします。
 エナメル質と象牙質は性質がまったく違うため、それぞれ決められた薬剤で、決められた時間と処理方法を厳守します。ここが大きく接着力を左右します。

4. セラミックや、すでにプラスチックが詰められている所には、セラミックプライマー(シランカップリング剤)という薬剤が必要です。これも使用法厳守です。

5. プラスチックの充填は、プラスチックが硬化する時にわずかに収縮するため、その収縮量と方向を考えて充填をしていきます。
 また、プラスチックの色はもちろん、硬さもたくさんの種類があり、場所により使い分けます。

6. 接着の仕上げとして光照射を行います。多方面からできだけ長く照射し、十分に硬化させます。確実な硬化のために酸素を遮断するオキシガードと呼ばれる薬剤を使う  時もあります。

 これ以外にも、確実な接着のためには、考える事、行う事は多岐にわたるのですが、まあ、いずれにせよきちんと接着するためには、いろいろな条件に注意して、ひとつひとつの行程を確実に行う事が大切という事になります。

 確実な「メタルフリ―」修復を行うためには、本当に時間がかかります。患者様も僕もクタクタになってしまう事もあります。

 しかし、虫歯除去にしろ、前処置にしろ、正確な充填にしろ、ひとつひとつ手を抜くことなく正確に仕上げる事で、精密な接着が成り立ちます。この記事がその点をご理解いただける一助になれば幸いです。



by healthcarenews | 2019-04-01 23:11 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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