当院のこだわり・5 根管治療へのこだわり
健康な歯の根の中には、神経や血管(まとめて歯髄と呼ばれています)が通る孔(根管)が開いています。
虫歯が歯の神経(歯髄)まで進行した場合や、神経が死んでしまったり、過去に神経を取った歯に、再び細菌が入って感染を起こした場合には、「根管治療」と呼ばれる治療が必要になります。
根管治療とは、その根管の中の痛んでいる神経を取ったり、または、以前に神経を取った歯に細菌が入って炎症を起こした場合に、その感染した根管を清掃、消毒した後、再感染しないように、その管をセメントで密封する治療です。詳しくはこちら。
その成功のために最も大事なことは、根管に再感染させない(細菌を入れない)ことです。
しかし、お口の中は、実は細菌の多い所で、しかも根管は、形が非常に複雑で、さらに、歯の先にある歯根膜は、非常に繊細なセンサーになっています。
そのため、確実な治療にはかなりの精度と注意と根気と時間が必要になります。
その根管治療を少しでも確実に、苦痛少なく行うために、当院では次のようなことにこだわりをもってやっています。
1. 根管治療時の麻酔の使用
2. 隔壁(かくへき)の作製、ラバーダム、クランプなどの使用
3. 手巻きの脱脂綿(ブローチ綿栓)を廃止し、すべて滅菌済みのペーパーポイントの使用
4. 根管バキュームの使用
5. 根管貼薬剤としてのホルモクレゾール(ホルマリン製剤)使用の廃止と水酸化カルシウムの使用
6. マイクロスコープ、ルーペの使用
7. 根管治療専用室(マイクロスコープ室)の設置
まず、
1. 根管治療時の麻酔の使用、についてですが、歯根は非常に敏感なセンサーがついていますので、治療時に痛みを覚えると、その痛みをセンサーが記憶して難治性の痛みが残ることがあります。この予防のために麻酔を行います。もちろん治療そのものも麻酔をしておいた方が楽だと思います。
2. 隔壁(かくへき)の作製、ラバーダム、クランプなどの使用
これは、根管内になるべく再感染を起こさせないためです。隔壁やラバーダム、クランプをかけることによって唾液の浸入を防ぎます。
3. 手巻きの脱脂綿(ブローチ綿栓)を廃止し、すべて滅菌済みのペーパーポイントの使用
これも、再感染を防ぐためです。いまでも脱脂綿をブローチと呼ばれる針に手巻きで巻いて根管内の水分や汚れを拭き取る医院は多いと思いますが、まず脱脂綿を手巻きする時点から、再感染のリスクが生じてきます。そのため当院では手巻きの脱脂綿を使わず、あらかじめ滅菌された使い捨てのペーパーポイントを使っています。
4. 根管バキュームの使用
これも再感染の防止のためです。根管内の水分や洗浄剤を剤を超小型のバキューム(吸引機)で吸い取ります。
これで、ほとんど水分をあらかじめ吸い取っておくことで、少量の滅菌ペーパーポイントで根管内を乾燥させることができます。
水分が残っていると消毒剤の効き目が落ち、また細菌の繁殖の余地になります。
5. 根管貼薬剤としてのホルモクレゾール(ホルマリン製剤)使用の廃止と水酸化カルシウムの使用
ホルモクレゾールはかつて便利な根管消毒剤として使われていましたが、現在では刺激が強すぎるため否定され始めています。
まだ使っている医院は多いと思いますが、当院では全廃しました。現在の根管消毒剤は、水酸化カルシウムが推奨されています。
6. マイクロスコープ、ルーペの使用
根管は、非常に複雑で、かつ直接目視しにくい所に開くため、治療には必ずルーペを用いています。
さらに難症例には、マイクロスコープを使うようにしています。
7. 根管治療専用室(マイクロスコープ室)の設置
当院では、この根管治療を、集中して行うために、根管治療専用室を設けました。
その部屋には、マイクロスコープ(歯科用実体顕微鏡)を設置し、根管治療の難症例にも対応できるようにしています。
マイクロスコープは、チェア前に置いてある大型モニターとリンクしており、記録したマイクロスコープの画像を見ることができます。
また、全体の壁を鉛でX線防護しておりますので、術中術後のレントゲン写真をその場で撮ることができるなど、すべての根管治療をこの部屋で完了することができます。