ヘルスケア通信

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カテゴリ:歯周病治療( 13 )

重症の虫歯に対して歯周外科手術(歯冠長延長術)で治療した症例・シーズン2

 今夜のヘルスケア通信は、「重症の虫歯に対して歯周外科手術(歯冠長延長術)で治療した症例 」の第2弾です。
第1弾「重症の虫歯に対して~」のネタは2014年12月のアップなのですが、何故か今でも検索率がとても高い記事です。

 今回は、この第1弾をご覧になって当院を受診された患者様です。
タイトルは、「重症の虫歯に対して歯周外科手術(歯冠長延長術)で治療した症例・シーズン2」。

 サブタイトルは、やはり「重症の虫歯(全顎にわたる歯冠崩壊)に対して、歯周外科のひとつである、歯冠長延長術(クラウンレングスニングス)を用いて治療を行った一症例」。しかし今回は、歯冠長延長術だけでなく、歯牙再植やMTAセメント充填、歯根端切除術など様々な治療が必要になりました。
治療期間はちょうど丸1年、4シーズンを要しました。ですのでタイトルもシーズン2(^^;。

 患者様は初診時41歳、男性。初診は2017年9月です。
まずは初診時の正面写真をご覧ください。
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下は全体像の写真です。
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全体のレントゲン像です。
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 第1弾と比べても、年齢の分だけ重症度が上がっています。そのため今回は抜歯する本数も多く、最終的に治療には義歯が必要になりました。

 まずは、ホープレス歯(歯を残すことが絶対に不可能な歯)を抜歯していきます。
同時に、残せる歯はきちんと根管治療を行っていきます。この根管治療、臨床成績を上げるためにはなかなか手間がかかって、多数の歯をいっぺんに、という訳にはいかず、2本ずつくらいきちんと手順を踏んで、コツコツとやっていく事になります。

 その中でも、1本、「本来なら抜歯になる歯」ですが、その後の治療計画上どうしても抜きたくない歯が1本ありました。
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 上の写真、黄色矢印、上顎左側の糸切り歯(犬歯)なのですが、大きな虫歯で歯肉の中に根っこが埋まっています。
 歯肉の中に歯が埋まっていると、根管治療のための感染防御ができず、治療の方法がありません。そのため、多くの場合このような歯は抜歯の適応になるのですが、今回の場合、その奥の小臼歯の状態が非常に悪く、この犬歯が無かったら左側の咬合を支えきれないため、どうしても抜きたくはありませんでした。
 そのため、一度抜歯して、歯肉の浅い位置に植えなおしをする、という「歯牙再植」と言う治療を行ってみることにしました。
 もちろん、一度抜くわけですから必ず成功するという保証はありません。抜歯した歯の状態によっては、そのまま抜いたままになる可能性もあります。そうなると、上顎には大きな入れ歯を入れるしか治療法は無く、今回の患者様の希望の一番大きな部分が達成できない、という事になります。
 この治療が、今回の大きな山場であることを患者様にご了解いただいた上、歯冠長延長術と並行して歯牙再植を行いました。

 術後です。
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 上の写真、黄色い矢印の部分が再植を行った歯です。
虫歯を取り除いた健康な歯の部分が、歯肉の上に出ています。

 ややマニアックな話になりますが、レントゲン写真も載せておきます。
術前です。
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 黄色矢印が問題の歯です。
下は術後レントゲンです。
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歯の根っこが短くなっているのが、わかっていただける・・・・かなあ?(^^;

 歯冠長延長術後の歯肉の治癒を待ったあとの正面写真です。
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 その状態での全体像のレントゲン写真です。
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 なんとか大きな山場を越えたので、あとはチャッチャと行きましょう。
土台を作っていきます。
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仮歯を入れます。

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 この状態で、どうしても根管治療が成功しなかった歯に、MTAセメント充填と歯根端切除を行いました。
 術後の全体像レントゲン写真です。
赤い矢印の。短く水平に切られた根っこが歯根端切除を行った歯です。
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 さて、いよいよラスト、術後の正面写真です。
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全体像です。
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最後に義歯を入れてフィニッシュになります。
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 下に、もう一度、初診時の写真を挙げておきます。
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 初診の頃は、さすがに悪かった歯肉の状態も、治療が進むにつれて、歯磨きも上手にていねにしてくれるようになり、非常に良い状態になっています。

 最初の頃にも書きましたが、ここまでの治療期間はちょうど1年間でした。
その間、彼は、時には仕事の都合で予約キャンセルの連絡が入ることはありましたが、ほとんど欠かすことなく、遅刻もせず、きちんと治療に通ってくれました。
 
 患者様の名誉のためにも書き添えておきますが、重症症例と言っても、第1弾の女性も含め、多くの場合、それは「特殊な方」ではありません。
この患者様も、非常に礼儀正しい、好青年でした。
 ただ、仕事が非常に忙しかったり、本来治療を受けるべきタイミングで正しい治療を受けそこなったり、あるいは、かかった歯科医院との相性が悪かったり・・・。
今回も、そんな些細な「間の悪さ」みたいなものが重なって、重症化したものと思われます・・・。

 治療の最後の方で、患者様が僕に言ってくれた言葉、
「おかげさまで、人生が変わりました・・・・。」
これが僕にとって、一番のご褒美になりました。

 残念ながら、彼はこの秋に福岡に転勤が決まりましたが、今後のメンテナンスに、福岡で僕が一番信頼している歯科医院を紹介させてもらいました。
また大阪に帰って来られたら、メンテナンスに通ってくださいね。どうぞお大事になさってください。





by healthcarenews | 2018-10-20 23:08 | 歯周病治療

重症の歯周病治療の奥の手・・・、移植という選択

 今夜のヘルスケア通信は、歯周病に対する移植治療についてです。
最近、当院では移植治療の頻度が高まってきています。移植治療の成功率は現時点でほぼ100%!
予後の予測しやすい治療として確立してきています。

 まずは症例をご覧ください。
患者様は40代女性。他院で保険外で入れた左上の奥歯がグラグラして噛めない、ということで来院なさいました。
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 一見、きれいに磨かれていますが、第1大臼歯、第2大臼歯2本が歯周病でグラグラです。
その手前の第2小臼歯はすでに抜歯してあり、第1小臼歯と大臼歯とが真っ白のオールセラミックブリッジになっています。

 きれいにブラッシングできているにも関わらず、歯周病が進行するのは、実は、感染している細菌がかなり悪質か、体質的に歯周病が進行しやすいか、
いずれにせよ歯周病が重症であることを示しています。

 レントゲンを撮ってみました。
親知らずの手前、大臼歯2本が重症の歯周病です。
第1大臼歯のグラつきに堪えられず、セラミックブリッジは一度折れて、修理してあります。

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 CTも撮ってみました。
より重症度がはっきりわかります。
第1大臼歯はまったく歯を支える骨が無く、第2大臼歯も薄皮一枚でつながっている状態です。
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 この症例の治療法の選択は、正直大変悩みました。
第1大臼歯は炎症が上顎の骨を通り越して、鼻の穴の粘膜にまで波及しています。放っておいたら鼻までダメになってしまいます。第2大臼歯も同様です。
この2本に関しては、抜歯以外の選択肢はありません。
 しかし、この大臼歯を抜歯すると、この女性は、弱冠40代にして、かなり大きな「入れ歯」という事になってしまいます。これではあまりにも辛い結末です。

 もちろんインプラントという選択肢もあるわけですが、今回の場合、大臼歯部にはほとんど骨が無く、第1小臼歯も親知らずも不安定な状態のため、インプラントをするなら、計5本の歯を抜いて、大きな手術が必要になります。この選択は、手術的にも金額的にも患者様に大きな負担をかけてしまいます。

 悩んだあげく、ここは重症歯周病治療の奥の手!、「移植」という選択をすることにしました。
僕は、基本、「親知らず」という理由だけで、親知らずは抜きません。
それは、この「移植」という「奥の手」に使える可能性があるからです。

 第1大臼歯、第2大臼歯を2本抜歯して、第1大臼歯の位置に、その奥にあった親知らずを移植しました。
手前側(第1大臼歯側)に移植したのは、奥に移植してしまうと歯の噛み合わせの負担が増えるからです。

 下は、術後44日目の写真です。
移植直後は、骨折後の添え木のように、歯を固定をしているのですが、固定を外しても歯はグラグラしません。
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下は、さらに1か月後の写真です。
古いブリッジも取って、仮歯の型を取りました。
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その時のレントゲンはコチラ。
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奥歯を支える骨の量としては、決して十分とは言えませんが、第1大臼歯周囲の当初の骨の影は無くなり、現時点では炎症も無く、グラグラもしていません。

とりあえず、仮歯を入れて経過観察です。
中から見たところです。
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外から見たところです。なんとか上手に咬み合っています。
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 もちろん、これで安心!っていう結果ではなく、薄氷を踏む思いの治療ではあります。
しかし、先程書いたように、40代の女性が入れ歯を入れることを考えれば、あと数年でも、この状態を維持できれば、十分にチャレンジする価値のある治療と思っています。

 重症の歯周病に対する移植治療は、虫歯の移植治療に較べ、条件はさらに悪くなります。
いわゆるレシピエントサイト(移植される側)の骨が無くなっているからです。
しかし、歯周病を悪化させるのは、歯根に感染している病原体ですので、感染した歯根を除去し、健康な歯根を植えることによって、歯槽骨も回復する可能性があります。

 人間の体は、感染と咬合力のコントロールがきちんとできれば思っているより柔軟です。
またそのうち、その他の移植症例もご紹介したいと思います。



by healthcarenews | 2017-01-15 20:25 | 歯周病治療

重症の虫歯に対して歯周外科手術(歯冠長延長術)で治療した症例・続報

 今回のヘルスケア通信は、2014年12月の報告させてもらった「重症の虫歯に対して歯周外科手術(歯冠長延長術)で治療した症例」についての続報です。

 この症例については、まあ、上記のリンクをご覧ください。
ブログの最後に「また新しい歯が入れば報告したいと思います。」と書いたっきり・・・(^^;。
まあ、忘れていたわけではないですが、他の症例にも新しい治療にも時間と気を取られてズルズル、と・・・。のびのびになってましたm(__)m。

 では、まずとりあえず術前写真だけでも。
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で、術後です。
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 改めてカルテをめくると、初診が平成25年の4月1日になってますので、術後写真の日付までは、丸2年と1か月の時間がかかっています。この患者様、本当にがんばられました!(^^;
まあ、くどいようですが、術中経過は「重症の虫歯に対して歯周外科手術(歯冠長延長術)で治療した症例」をご覧ください。

 初診時は、いつもマスクをして生活されている状態でした。歯科恐怖症で、診療台に座っても、怖くてじっと座ってることができず、マスクも外してくれませんでした。まあどこの歯科医院に行っても「歯を抜いて入れ歯を入れましょう」と言われるばかりで、それはまだうら若いお嬢さんにとっては酷な話だったでしょう。

 長い時間と紆余曲折はありましたが、術後すぐに結婚され、いまでは子供も出来て、お幸せにされています。がんばってくれて本当に良かったなあと思っています。もちろん定期的なメンテナンスにも必ず来てもらっています。

 ただし、ここまで悪くなった歯が、ではいつまでこのままで使えるのか?、というと、正直、大きなことは言えません。次は、歯の破折、という問題に直面することもありますし、もともと虫歯リスクが高い方ですので、数年後には新しい虫歯ができる可能性もあります。メンテナンスのたびに、ドキドキ、薄氷を踏む思いですが、できるだけのことはさせていただこうと思っています。これからもがんばって下さい。


by healthcarenews | 2016-02-17 13:33 | 歯周病治療

レーザーエクスプレス

 今夜のヘルスケア通信は、題して「レーザーエクスプレス」です。

 えー、それって何?・・・・
まあ、サブタイトルを付けるなら「炭酸ガスレーザーを用いた歯周病の超特急治療の一症例」と、なりますか・・・。
でも、こんな学会発表みたいなタイトル、どうも固くていけません・・・(笑)。

 まあ、それはさておき本題に入りましょう。
80歳男性、右上前歯の歯肉が腫れています。
小さな虫歯があったため、そこに繁殖した細菌により感染を起こしたため歯周病になりました。
「たかが感染、されど感染」、小さな虫歯でもバカにはできません・・・。
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麻酔下ににて、虫歯を修復し、歯周病の部分(黄色丸)にレーザーを当てました。

下は、ちょうど8日後の写真です。
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 歯肉はきれいに治っています。この治癒のスピードはレーザー治療ならでは、です。

もし、メスを入れて切っていれば、8日後なら、やっと抜糸が終わったくらいで、まだ歯肉はデコボコしているでしょう。

 レーザー治療は、理論的にはまだよくわかっていないことも多いのですが、組織の免疫を高め治癒を促進することを証明するたくさんの症例が報告されています。

 ただし、すべての歯周病がレーザー一発で治るか?というと、そういう訳ではありません。
歯周病の状態、感染している細菌の種類、患者様の体質、日ごろのブラッシングの良否やメンテナンスの有無などで治療法は全然変わってきます。
 僕も、普段の歯周病治療は、王道と言うか、もっともっと地味な、ブラッシング指導、SRPなどの除菌処置などを時間をかけてていねいに行う事をファーストチョイスとしています。

しかし、ここぞ!と言う時のレーザーエクスプレス治療。ありかもしれません・・・。













by healthcarenews | 2015-02-03 00:59 | 歯周病治療

重症の虫歯に対して歯周外科手術(歯冠長延長術)で治療した症例

 今回は、重症の虫歯(全顎にわたる歯冠崩壊)に対して、歯周外科手術のひとつである、歯冠長延長術(クラウンレングスニング)を用いて治療を行った症例をご紹介しましょう。

 まずは術前写真です。初診時は2013年4月。
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全体像もご覧いただきましょう。
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 下顎の前歯を残し、すべての歯にわたって、虫歯で歯が崩壊しています・・・。
患者様は20代の女性。もうこれだけで患者様の深い苦悩が伺い知ることができます・・・。

 どこの歯医者に行っても、歯を抜いて入れ歯にしよう、と言われるばかりで、しかし当人はものすごい怖がりで・・・、どこでも治療を続けることができず、知人の紹介で来院なさいました。

 確かにすごい怖がりです。いつもマスクをしていて、診療台に座って、イスを倒してもマスクを外してくれません・・・(^^;。触ろうとすると、無意識に体が逃げてよそを向うとします。
 
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一応、前歯が6本だけ入っていましたが、不適合で、再着しても、またすぐ外れるの繰り返しで、マスクが手放せない状態でした。

 さて、重症例、難症例、たくさん診てきていますので、こういう症例は慣れてはいますが、まずは患者様本人がやる気と根気を出してもらわないと治療は成功しません。

 そこで、こういう治療は時間と費用がかかることを理解してもらい、そしてできるだけ痛くないように治療することを「固く」約束して、まるで小児をあやすかのように治療にかかりました・・。
まずは、仮歯が外れないように修理をします。これで少しモチベーションが上がります(^^;。

 そして、半年が経過・・・。中間報告です。
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 ほとんど変わってないように見えますが、すべての歯を根管治療(歯の神経の治療)からやり直さないといけませんので、とにかく時間がかかります。並行して、抜歯が必要な歯は、なんとか抜かせてもらいました(汗)。

 さらに半年後、2014年3月。ここまでで1年近くかかっています・・・。
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基礎治療が終わり、歯肉の色も良くなってきました。
 
 ここで前歯に土台を入れます。
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土台が新しくなると、古い仮歯は使えなくなるので、同時に仮歯も作り直します。
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 一般的には、プラスチックの仮歯は、劣化していきますので、大体半年から1年ぐらいが寿命の限界となります・・・。

 仮歯が新しく綺麗になって、モチベーションもグーンとアップしましたので、ここで次の階段を上がってもらいます。
 基礎治療は終わりましたが、歯の根っこは歯肉の中に埋まったままになっています。
このままでは、10年、20年と長期にわたって機能する良い冠(クラウン)を作ることができません。
 患者様にとっては、今回の一連の治療の中で、一番大きな手術になります、歯冠長延長術(クラウンレングスニング)を行います・・・。
術後です。少し治癒を待ったこの時点で2014年8月・・・。
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前歯3本、歯ぐきに隠れて見えなかった歯の根っこが見えてきました。

 その3本に土台をいれます・・・。
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さて、ここまでで1年9か月・・・。
歯肉の状態もほぼ回復したので、年明けからはどんどん型を取って、新しい歯を入れていく予定です。
それでも3月くらいまでは楽にかかるでしょう。
まるまる2年がかりの長期にわたる根気のいる治療になりました。
しかし、患者様もよくがんばってくれて、ここまで確実に進んでいます。

また新しい歯が入れば報告したいと思います。


重症の虫歯に対して歯周外科手術(歯冠長延長術)で治療した症例・続報


 








 
by healthcarenews | 2014-12-31 01:06 | 歯周病治療

「歯周病を治療する」という事を改めて考える

 まずは、口腔内写真をご覧下さい。
患者様は、20歳男性。平成25年1月、歯肉からの出血を訴えて来院なさいました。

 術前です。たくさん歯石が付着して、歯肉のスキマから黒く見えています。
歯肉も炎症を起こして、赤黒く充血し、腫れています。出血して当たり前です。
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 術後です。3ヶ月後、平成25年4月の写真です。
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 歯石をきれいに除去し、炎症も改善し、出血も止まりました。歯肉も綺麗に引き締まりました。
治って良かったねー!、終了ー!、チャンチャン!

って、こん話がしたいのでは、もちろんありません!!!。

 改めて「歯周病治療」って何だろう?という話を考えたいのです。

 歯科医院のサイトに良くある話ですが、歯周病治療の治療前、治療後写真として、「PMTC(プロフェッショナル・クリーニング)をして、こーんなに綺麗になりました!」って、モデルの写真が載っていたりします。
 
 たしかに、クリーニングは大事です。歯周病治療に、病因歯石の除去と、原因菌の除菌は絶対に必要です。当院でも、必ずやりますし、ほとんどの歯周病は、「一時的にせよ」それで良くなります。

 しかし、では、その逆、クリーニングしたり、歯石を取る事が歯周病治療か?と問われると、むむむ、これはイコールではありません・・・。そこを勘違いして欲しくないし、歯科医療関係者の方にも、そこを誤解して欲しくないのです。

 今回の症例で、もっとも大切なのは、若干20歳で、何故この歯周病?ってところなのです。
多くの20歳は、このような経過をたどりません。

 もし、クリーニングだけを行い、綺麗なって良かったねー、チャンチャン!で、治療を終了していれば、3年後、5年後にこの青年の歯肉がどうなっていくかは、まったく予測がつきません。

 私は、神様でも霊能者でもありませんので、今回、初めて診たこの患者様が、今までどんな生活をしてきて、どんな体質なのか、黙って座ればピタリと当たる!なんて特技は持っていません。

 ですから、この青年の当院での歯周病治療は、今、始まったばかりなのです。
これから、メンテナンスを続けて、この歯肉がどういう性質を持ち、どう変化していくか?
患者様と一緒に、注意深く見守っていくのです。

 多くの患者様が本当に知りたいのは、自分自身ののデータです。
一般論でもなければ、「他人の」綺麗になったお口の中の写真でもありません。

 この患者様には、術前術後の写真をお見せし、今後の経過を注意深く、一緒に観察していくよう、お話を致しました。
幸い3ヶ月後、7月のメンテナンスには、予約通りお見えになりました。
 今後も、当院として最大限の努力をして、この患者様が、モチベーションをとぎらせることなく、メンテナンスを続けていただけるよう、注意を払っていきたいと思っています。

 最後にひとつ、この患者様は、一見重症に見えますが、長年の経験から言いますと、キチンとメンテナンスさえ続けていただけたら、おそらくは大きな問題になることなく、経過できると思っています。


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by healthcarenews | 2013-08-05 00:08 | 歯周病治療

歯周病予防の基礎の基礎

 今回は歯周病治療の基礎のお話です。

 まずは写真をご覧ください。
写真は2000年7月。女性。32歳頃の初診時のものです。
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 一見、というか、言葉は悪いですが「素人目」には、何のインパクトもない画像です。虫歯もありません。
患者様の訴えは何だったのか、僕ももう忘れてしまいました。おそらく痛くもかゆくも、何の症状も無かったでしょう。時々ちょっと歯肉から血が出るなあ・・・、くらいはあったかもしれません。患者様も、「ちょっと歯石取って下さい。」みたいなノリだったかもしれません。

 でも、良く見ると歯の表面、特に奥歯の部分にはべったりバイオフィルムが付着しています。
そのため、歯肉も少し炎症を起こして腫れかけています。
 「べったりバイオフィルム」は生活習慣、特に食習慣が悪い証拠です!
こういうお口の中を見ると、ゾクゾク「胸騒ぎ」がします。予防歯科医として、見過ごす事はできません。

 歯周病は、初期は自覚症状がまったくありません。ここが歯周病が恐ろしく、また難しいところなのです。
まずは、カウンセリングの後、全体のバイオフィルムをクリーニング(PMTC)して、歯1本1本について、SRPと呼ばれる除菌処置をほどこしていきます。そして2ヶ月後。
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 歯肉炎は、やや改善しましたが、奥歯のバイオフィルムはまだまだ残っています。特に下の奥歯の表面に、ヌルヌル、ザラザラが残っています。生活習慣が、まだ改善されてないのです。
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 いつもそうですが、生活習慣に立ち入るのは、本当に難しいと感じます。誰でも、自覚症状がないのに、好きな食べ物を制限されたくはありません。それでも、このままでは危険です。
改めて、当院の、経験と機材を総動員して、再カウンセリング、再モチベーション(再教育)します。

 歯周病を理解してもらえたかどうか?メンテナンスに応じてくれるかどうか?
ここからが運命の分かれ道になります。

 幸いこの患者様は、3ヶ月に1回。きちんとメンテナンスに来院いただける患者様になりました。
下の写真は、2011年10月の時点です。初診より約11年。バイオフィルムも無く、綺麗に磨けています。もちろん、この11年間、抜歯はおろか、1本の虫歯すら出来ていません。
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右下奥歯の写真です。
バイオフィルムが綺麗に無くなり、独自の歯のツヤが戻っています。
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僕が、時々、「真珠のツヤ」とご説明する艶です。

 皆さんは、それぞれ、お口の中に「真珠」を持っています。
どうか、その宝物を、末永く大切にしていただきたいと思います。

 この患者様も、今は「胸騒ぎ」なく、メンテナンスで拝見させてもらっています。
今後とも頑張ってくださいね。

 
by healthcarenews | 2012-04-16 00:03 | 歯周病治療

治癒に3年近い月日を要した歯周病重症例

 今回は、初診時から治療終了まで、実に3年近い月日を要した症例をご紹介します。
ここまで時間がかかることは、極めてまれですが、大体の重症歯周病の治療の流れと思い、ご覧ください。

 まずは初診時の写真です。
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口腔内はバイオフィルムで汚れ、歯肉もひどい炎症を起こし、歯肉のいたるところから膿みが出ています。重症の歯周炎です。

 初期治療終了時の写真です。
初期治療とは、まずブラッシング指導や、生活習慣指導を行い、お口の中のクリーニングや除菌をしていきます。また、どうしても残しておけない歯を抜いたり、必要な仮歯を入れる治療です。
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しかし、なかなか染み付いた生活習慣、ブラッシング習慣は改善しません。初診時よりは、ずいぶん口腔内もキレイになり、炎症も改善しましたが、まだかなりのバイオフィルムが付着しています。
 一度住み着いたバイ菌は、環境汚染と同じで、お口の中の環境が良くならない限り、なかなか離れてくれません。ここまでで9ヶ月を要しています。

 歯を支える骨がやられているため、歯が動いて歯列が乱れています。歯を抜いた訳でもないのにスキマが空いています。まだまだ様々な治療が必要な状態です。上顎です。
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下顎です。
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 初診時より1年半経過。
一部、矯正治療を行い、歯列を整えるなど、様々な試行錯誤を行いましたが、最終的に、すべての歯に仮歯を入れて、炎症を起こしている歯肉を手術にて除去しました。
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 初診時より、ほぼ2年経過。歯肉の治癒を待ちながら、仮歯の修正や、作り替えを適宜行なっていきます。
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 初診時から2年9ヶ月経過時の写真です。
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下顎は、すべての歯にメタルボンドセラミック冠にて修復を行いました。上顎は、これから型を取る時の写真です。歯肉は引き締まり、綺麗なピンク色に変わりました。もちろん、もう膿みは出ていませんし、出血もありません。初診時と見較べて見てください。

 初診時より2年10ヶ月経過、術後の写真です。上下とも、メタルボンドセラミック冠で修復しました。
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 さて、参考までに、ここで、例えば、下の写真を見ていただきたいと思います。口腔内は同じように汚れ、歯肉は腫れ、膿みが出ているように素人目には見えると思います。
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しかし、この症例は重症ではありません。一見重症に見えますが、単に不潔にしていたために、歯肉が炎症を起こしていただけで、きちんとクリーニングをすれば、ほとんど複雑な治療をすることなく、数ヶ月で改善します。
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 最初に紹介した今回の症例のように、歯周病は、かなりの重症症例でもきちんと手当をすれば治る病気です。また、重症に見えても、簡単に治るケースの時もあります。素人判断をせずに、きちんと診察を受けることをお勧めします。

 また、やっと治ったようでも、もともと悪くなった方は、そういう体質であることも事実です。
油断は禁物で、この患者様も、今後とも注意深いメンテナンスを行なっていこうと思っています。
by healthcarenews | 2011-11-05 00:33 | 歯周病治療

歯周病3つのケース・3  喫煙による歯周病

 ケース3は、喫煙(たばこ)による歯周病です。

 始めにお断りしておきますが、今回の3つの分類は、学術的、病理的な分類ではありません。あくまで原因を中心として、便宜的に分けたものです。ご理解下さい。

 たばこは、歯周病を悪化させる因子(リスクファクター)として、予後に大きな影響を与えます、って、難しい表現をしましたが、簡単に言うと、「たばこを吸う人は歯周病になりやすいし、なったら治らない!」っていうことです。術前です。
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54歳、女性。すでに大きく骨が破壊され、歯肉が退縮してしまっています。
バイオフィルムも付いていませんし、目につく炎症も起こしていません。では、歯周病ではないのでしょうか?
いや、まったく症状が出ないまま、骨の破壊が進行している、これも立派な歯周病なのです。

 たばこの主な薬理作用の一つとして、口の中の粘膜の血管を収縮させ、血の巡りを悪くする作用があります。炎症は、血液中の免疫物質が、バイ菌と戦うことで起こる、体の防御反応ですので、血の巡りが悪くなるということは、免疫が効かなくなる・・・、つまり、まったく無抵抗でバイ菌にやられ放題になるということなのです。
炎症反応が起きないので、腫れたり痛んだり、出血したりしません。そして気が付くと骨が無くなっているのです。

術後です。
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とりあえず、空いたスキマをかぶせて見栄えは整えました。除菌処置も行いました。しかし、これで安心かどうかは、疑問が残ります。

 ケース1は、バイオフィルムが原因ですのでクリーニングで治りました。ケース2は、特殊な細菌が原因ですので、抗生物質と掻把で治りました。ケース3は・・・・?
 たばこが原因ですので禁煙するしか治す方法がないのです。これは、患者様ご自身の自覚がすべて、ということになります。

 歯周病は、単に歯磨きだけではなく、感染した細菌の種類、体質や性差、骨格や噛み合わせ、生活習慣や遺伝など、様々な要因が複雑に絡み合って発症していきます。だから、それぞれのケースが一律ではなく、本当にケースバイケースで対応していかなければ、解決できないのです。
 この3つの分類もすべてが単独で起こるわけではなく、混ざり合って起こってきます。バイオフィルムが付いた若年性歯周炎でたばこを吸う人もいるのです。
Oh my God!

 ケース3も、破壊の程度から見て、実は若年性歯周炎だった可能性があります。
女性で、骨格が細く、喫煙者。そして、必ずと言っていいほど奥歯からやられています。
こうなると難治中の難治。
 除菌と咬合のコントロールをデリケートに行い、注意深く経過を追うしかありません。
それまでの骨破壊が少なければ、禁煙をしてくれることで、まだ回復の可能性はでるのですが・・・。
by healthcarenews | 2011-03-02 21:36 | 歯周病治療

歯周病3つのケース・2  若年性歯周炎

 次のケースは、若年性歯周炎と呼ばれる、重症の歯周炎です。
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 30歳、女性。一見、普通の歯肉に見えますが、歯周炎としては重症で、難治性です。
まだ若いのに、歯肉のあちこちが、つぎつぎと腫れてはつぶれ、腫れてはつぶれ・・・、を繰り返します。
がんばって歯磨きをしても、膿は止まらないし、口臭もするし、歯はぐらぐらしてくるし、どんどんひどくなっていく・・・・。
うちに来るまでの本人の不安は大変なものだったでしょう。

 これがなぜ重症なのか?なぜ、難治性なのか?
ケース1と大きく違うのは、バイオフィルム(細菌のかたまり)や、歯石の付着が全然少ないにもかかわらず、ケース1以上の炎症を起こしていることです。
 初診時を横から見てみましょう。
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ケース1と比べると、歯の表面にはバイオフィルムはあまり付いていません。目に見える歯石もありません。ただ歯肉が一部ただれたように腫れています。
 治療後を見てみましょう。
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 歯周炎は、歯を支える骨を破壊する病気であることは前に書きました。
治療により、歯肉の色はきれいになり、炎症も治まりました。しかし、歯を支える骨が大きく破壊されていたために、歯肉が引き締まった後は、歯と歯の間に大きなスキマが開いてしまいました。それだけ、ひどく骨が破壊されていたということです。

 成人性の慢性歯周炎(いわゆる歯槽膿漏)は、通常40歳代前後ぐらいからの発症で、進行がおそいため、治療をきちんとすると、ほとんど問題なくコントロールできます。
しかし、若年性歯周炎は、早い子は15歳くらいから発症し、女性に多く、ほとんど症状なく急速に骨を破壊していく恐ろしい歯周病です。

 その違いは、感染している歯周病菌の種類の違いです。慢性の歯周炎にくらべ、毒性の強い菌が感染しているのです。普通の歯石除去を繰り返すだけでは、この歯周病は治りません。時には特殊な抗生物質を使い、短期間に一気に除菌処置を行って行きます。

 治療初期には、まだ、たびたび腫れていましたが、麻酔下で投薬しながらの掻把を繰り返し行う事で、3か月目ごろより症状が落ち着きはじめ、6か月目でようやく消炎しました。

改めて、術前と術後を比較してみましょう。
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 歯肉にすきまはできましたが、腫れが引き、歯肉の色は大きく改善しました。まだまだ不安定ですが、時間と共に、歯肉の形も徐々に良くなっていきますし、歯の隙間も改善していくでしょう。
 
 初診時に、不安でおびえる彼女に、時間はかかるけど必ず治るからがんばって通っておいでと励ましたことが思い出されます。今後も注意深いメンテナンスが必要になりますが、彼女ならがんばってくれるでしょう。
 
by healthcarenews | 2011-03-02 00:54 | 歯周病治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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