ヘルスケア通信

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カテゴリ:虫歯治療・MI治療( 14 )

「メタルフリー」へと続く道・Part4 銀合金について

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道・Part4 銀合金について、です。
 歯科用金属の紹介も、「アマルガム」、「金銀パラジウム合金」、と来て、今回のテーマは「銀合金」です。

 銀合金の組成は、銀72%、インジウム12%、スズ9%、、亜鉛7%、などなどです。
 貴金属が含まれていないため、銀合金は金銀パラジウム合金より安価で、また柔らかく削りやすく、細工が楽ですので、主に「金属の土台(メタルコア)」として使われてきました。

 写真をご覧ください。
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 黄色矢印5本が金属のメタルコア(金属の土台)、赤矢印3本がまだ根管治療中の歯です。この治療が済んだら、根管治療で開いた穴の中に芯棒を入れ土台を作り、かぶせていきます。

 下の写真は、その後です。
治療中の前歯3本に、土台が入りました(2本のメタルコア、1本のプラスチックコア)。
 両奥歯の土台の部分は、白い歯(クラウン)でかぶせました。前歯の土台も、もちろんこの後クラウンでかぶせています。
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 主に、土台とクラウンの関係は、下のような感じになります。

神経を取る→芯棒を入れて土台を作る→周りを削って型を取る→クラウンでかぶせる。

 メタルコアは、もう何十年もの歴史がある、治療技術が確立した治療法です。
 また型を取って作るため、歯の場所や、歯科医師の技量に左右されない精度の高い治療法でしたし、一度に何本もの歯を治療するときは、いっぺんに土台が作れて便利な治療法でもありました。そして、金属を入れる事で歯を丈夫に補強できるとも考えられていました。
 ですので、「接着治療」が確立する前までは、このメタルコアが一番丈夫で良い治療法だと思われていました。

 しかし、金属である以上、メタルインレーと同じような欠点を持っています。
治療して年数が経った土台を外してみると、中のセメントが溶けて、こんな風になっています。
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 しかし、メタルコアには「セメントが溶ける」より、もっと怖い「結末」があります。
それは、メタルコアが歯より硬い材質でできているため、メタルコアの尖った部分が「くさび」の役目をして、噛んでいるうちに歯が割れてしまう事です。

 下のレントゲン写真をご覧下さい。メタルコアの部分、黄色矢印の部分で歯が割れています。
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 下のレントゲン写真もメタルコアですが・・・・、
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 赤矢印の歯は、歯が割れてメタルコアが取れてしまいました。黄色矢印の歯は、ヒビが入ってそこから感染し病巣ができています。
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以下も同様の症例です。
下の写真。いつも歯ぐきが腫れて不具合が続いていた前歯です。
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 レントゲンを撮ると、メタルコアと歯の間にスキマができています。
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 メタルコアが入っている歯ですが、隣の歯とつながっているの外れては来ませんでした。
外してみると・・・、割れています・・・。
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お口の中もご覧ください。
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外れてきたメタルコアです。
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 エンピツみたいに尖っている部分がメタルコアの先の部分です。ここが「硬いくさび」になって歯が割れてしまいます。

 歯が割れてしまった場合の治療法は、原則として抜歯になります。今回レントゲン写真で紹介した歯も、残念ながらすべて抜歯になっています。

 念のために書いておきますが、メタルコアの歯すべてが割れてしまう訳ではありません。
 ただ傾向としては、もうすでに「重症の虫歯だった歯」にメタルコアが入った場合、歯が割れる確率は高くなります。また噛む力が強い部分とか、歯の本数が少なくて、少ない歯に無理な力がかかる場合も要注意です。このような歯は、メタルコアで無くても割れる確率は高いのですが、メタルコアの方がより多く割れるのはたしかです。

 歯科医師側も、実はこのことは早くからわかってはいたのですが、メタルコアに代わる良い治療法がなかなか開発されなかったため、長い間、この欠点は解消されませんでした。

 しかし現在では、金属の芯棒の代わりにグラスファイバーの芯棒を使った「ファイバーコア」と呼ばれるプラスチックコアが開発されました。
 プラスチックと言っても最新のプラスチックは劇的に強度が上がり、歯と同程度の強さと硬さを持っています。それを「歯科用接着剤」を用いて歯と一体化させることで、さらに強度を上げることができます。またグラスファイバーの芯は柔軟性を持ち、メタルコアのように硬くないため、歯が割れるリスクを減らすことができます。

 この「ファイバーコア」は、開発された当初は保険が利かなかったため、高額でなかなか普及しませんでした。しかし、数年前から保険適用できるようになったため、現在、当院ではメタルコアはまったく使わなくなり、新しく根管治療をして作るコアは、ほぼ100%ファイバーコアを使うようになっています。
この点では、コアに関しては「メタルフリー」を達成した、と言えるでしょう。

 下の写真が「ファイバーコア」です。黄色矢印の先にある半透明の丸がグラスファイバーの芯の部分です。
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 ファイバーコアのメリットはこれだけではなく、例えばオールセラミッククラウンを入れる時など、土台に白いファイバーコアを入れておけば色調をキレイに出すことができます。
 
 このファイバーコアは、「接着治療」が高度に進化したおかげでやっと開発できた治療法です。
「接着治療」は、実は日本が常に世界をリードしてきました。折しも、先日、その「接着治療」をリードしてきた東京医科歯科大学の田上順次教授の講演を聞きに行ってきました。この30年余りの「接着治療」開発の経緯や実験データなどを見せて頂き、改めて「接着治療」への信頼を確かなものにしました。

 マイクロスコープや、歯科用CT、インプラント、そして「接着治療」など、最近の歯科治療の進化は、30年前の歯科治療を知る僕としては、もう「隔世の感」があります。
 昔、できなかった治療が、今は確かにできるようになっています。しかし、歯科治療の原則は変わらないと思います。
 どんなに技術が進歩しても、まずはそれに頼らないように、予防が第一。次に早期発見と、最小限の治療。そして精密な治療です。



by healthcarenews | 2019-02-16 23:45 | 虫歯治療・MI治療

「メタルフリー」へと続く道・番外編 クラウン(かぶせ物)について

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道・番外編、クラウン(かぶせ物)についてです。
今回は、前回までのメタルインレーの記事に対しての補足版と思ってください。

 とりあえず写真です。
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 念のため、改めて説明を加えておきますが、黄色矢印の全部銀歯になっている歯が「クラウン」。
その隣(赤矢印)、一部歯が残って、一部銀歯になっている歯が「メタルインレー」です。

 メタルインレーは、前回、ある程度説明をさせてもらいましたが、歯の一部分に虫歯があったため、そこを削って型を取って、銀の詰め物をしたものです。
それに対し、クラウン(かぶせ物)は、歯の周囲を一層全部削って、全体をかぶせたものです。

 では、何故そういう治療をしたのか?おそらくここが一番大事な所だと思います。誰でも、大きな銀歯は入れたくないでしょうから・・・。
でもクラウンを入れるのはそれなりの大事な理由があるのです。

 「クラウン(かぶせ物)」でかぶせる場合、ごく一部の例外を除いて、ほとんどは神経を取った歯です。
神経を取った歯は、神経の部分に大穴が開いている上、もともとの虫歯の部分も大きく歯が削ってあるため、大なり小なり「もろく」なっていきます。そのため、歯の周囲を取り囲むようにしっかり包んでおかないと、噛んだ時に歯が割れてしまうのです。

 まだ、歯の上の方だけで割れた場合はましですが、時には根っこの方まで割れてしまう事があり、そういう場合は抜歯になることがあります。
それを避けるために、神経の穴(根管)に芯棒を入れ、丈夫な土台(コア)を作った上で、その周囲を一層削りすっぽりとかぶせる「クラウン」という治療法をやむなく選択しています。

 症例をご覧ください。
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 神経を取って、土台(コア)が作ってある歯です。
黄色矢印が金属でできた「メタルコア」。赤矢印がプラスチックでできた「レジンコア」です。

 下の写真は術後です。大臼歯2本は金属のクラウン、小臼歯2本はプラスチックのクラウンでかぶせました(下写真)。
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現在では、グラスファイバーの芯を入れた「ファイバーコア」というコアも出来ています(下写真黄色矢印)。
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 クラウンは「銀歯」とは限らず、セラミックを使った「セラミッククラウン」もあります(下写真)。
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  クラウンは、メタルインレーに比べると、セメントがカバーする部分も多く、また咬合力学的にも力のかかり方が安定しているため、多くはメタルインレーより長い寿命が期待されます。
 しかし、反面、メタルインレーより多くの歯を削ってある事と、神経が無く知覚が無い歯であるため、歯の治療としては最終段階まで来ており、「雑」に作られたり、歯磨きなどの管理が悪かったりすると、スキマから入った虫歯が、今度は見えない中の部分で知らないうちに大きくなって、クラウンの寿命が来た時には、もう抜歯になってしまう可能性も高くなります・・。言わば「両刃の剣」と言えるでしょう。
 
 もうひとつ、クラウンの寿命を決める大きな因子として、コア(土台)の問題があります。
クラウンの寿命は、このコア(土台)の治療法次第と言っても過言ではないくらい、現在ではコアは重要な役割を果たします。

 前にも出てきましたが、コアには、メタルコア、レジン(プラスチック)コア、ファイバーコア、などがあります。
次回のテーマは「クラウンの寿命を左右するコア」・・・。中でも、「銀合金」が使われている「メタルコア」がメインテーマとなります。
 
 
 
 

by healthcarenews | 2019-02-13 23:11 | 虫歯治療・MI治療

「メタルフリー」へと続く道・Part3 金銀パラジウム合金について 後編

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道・Part3 金銀パラジウム合金について、の後編です。

 前編終盤で、歯と金属はあまりに性質が違いすぎるため、クラウンはともかく、メタルインレー(金属の詰め物)は、治療後数年も経つと明らかに劣化していく、と書きました。そして、これはメタルインレー治療の大きな欠点、と書きました。

 この「メタルフリー」へと続く道・Part3のテーマは、金銀パラジウム合金の欠点と言うよりは、実は「メタルインレー治療そのものの欠点」と言えます。

 メタルインレー治療は、虫歯を治療するためには、保険診療で出来て、丈夫で手軽で、とりあえず安価に虫歯を詰めるには非常に便利な治療法です。
 ですので、今でも普通に行われていますし、当院でも普通に行っています。
 でも、その裏には大きな欠点が潜んでいる事も知っておいて頂きたいと思います。今夜はまず、その検証からです・・・・。

 下の写真をご覧ください。
古いメタルインレー(金属の詰め物)ですが、歯との間にスキマが出来ています。
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 金属を外してみると・・・・、中でセメントが溶けてこんな風になっています。
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 メタルインレーの平均寿命は5.4年(口腔衛生学会データ)。上の写真のような症例は毎日のように見かけます。
 こうなる原因はいろいろですが、大きな根本的な原因のひとつが、歯と金属は性質が大きく違う、という事です。

 その性質とはなんでしょう?
ひとつはその硬さ。歯と金属は硬さが大きく違います。
 特に奥歯は咬む力が強いため、金属そのものは硬くて丈夫で長持ちしても、その周囲の歯が欠けて、ひび割れやスキマができてしまいます。

 もうひとつは熱膨張です。「熱膨張」ってむずかしい言葉ですが、要は熱い物、冷たい物を食べた時のミクロの目で見た時の変形のしかたが全然違うという事です。
 歯はほとんど冷熱の温度による変化がありませんので、詰めてある金属だけが、熱い物や冷たい食べ物により膨張と収縮を繰り返しているうちに、着けてあるセメントが溶けて、歯との間にスキマが出来てしまうのです。

 いずれにしても、そのスキマから、虫歯菌が入り、知らないうちに虫歯になってしまうのです。
 もう少し、写真を見ながらご説明しましょう。
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 上の写真は、メタルインレー(金属の詰め物)をして、長期間経っている歯です。
 ひとつは貴金属の「金」、ひとつは金銀パラジウム合金が入っています。
 よく見ると、どちらも歯から浮き上がってしまっています(黄色矢印)。金銀パラジウム合金の方は硬いのでヒビまで入っています(赤色矢印)。
 角度を変えて見ましょう。
下の写真。スキマが開いて(黄色矢印)ヒビが入っています(赤矢印)。その下は黒く変色し、虫歯になっています。
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 次の症例です。下の写真は、一見、何の異常も無いように見えますが、「時々、違和感がある」歯です。歯科治療をしていて、「時々、違和感がある」って言う訴えは、診断に苦しむことが多々あります。
 そしてメタルインレーはレントゲンを通さないため、ますます虫歯の診断を難しくします。
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 下の写真、大きい歯の方の銀歯を1本外してみると、これだけ虫歯ができかけています。
 セメントが溶けたスキマから虫歯が感染したのです。
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 別の症例をご紹介しましょう。
メタルインレー(金属の詰め物)がポロリと外れてきました。自分から取れてくるインレーは要注意です・・・(-_-;)。
詰め物の裏側は真っ黒になっています。
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 歯の方はと言うと・・・・、もうこれだけ深い虫歯になっています(下写真)。
 でも、外れるまで何の痛みもありませんでした・・・。
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 同様の症例をもうひとつ・・・。
下の写真、ポロリとメタルインレーが取れてきました。やはり症状はありませんでした・・。
黄色矢印部分が黒くなっています。
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歯の中は、と言うと・・・。
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こんな状態です。
試しに一度、元の歯に戻してみると・・・・、
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スキマが開いたり、歯が欠けているのが判ります(黄色矢印部分)。

 最初にも書いたように、もう、このような症例は、毎日毎日見ています。
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銀歯を外すと・・・、
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こうなっています・・・。

コレも・・・。
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コレも・・・。
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メタルインレーがポロリと外れてきた後の歯の写真です・・・。

 メタルインレー・・・・金属の詰め物の本当に怖い所、本当の欠点は、実はココなのです。
欠点をまとめてみましょう。

1. メタルインレーと歯は性質が違いすぎるため、治療数年後にはスキマやヒビ割れが開く事が多い。
2. 開いたスキマからセメントが溶けて虫歯が入り、気が付かないうちに虫歯が進行する。
3. インレーの2次虫歯の症状は、「違和感」程度で痛みが出にくいため気付くのが遅れる事がある。
4. メタルインレーはレントゲンを通さないため、初期は診断が難しい。
5. インレーが取れてきた時には大きな虫歯になっている事がある。

 治療をしても、また悪くなる・・・。削ったら、またまた虫歯になって、そのうち神経も取って、また虫歯になって結局いずれ歯も抜いて・・・。
かつて、それが「当たり前」の時代がありました。
 治しても、治しても、すぐまた虫歯になって患者さんが「痛い」と戻ってくる。虫歯の予防法もわからず、歯磨きすらまともにしてくれない時代・・・。
メタルインレーは、そんな時代に開発された、虫歯を簡単に治療して「噛むことができる」ようにする、当時としては当たり前の「良い治療」でした。
 その治療が「また悪くなる事」は当たり前でしたので「欠点」ではありませんでした。

 アマルガムのように「環境汚染」の問題もありませんので、メタルインレー治療は小さな虫歯治療なら、今でもコンポジットレジン(プラスティック)治療と並ぶ有力な治療の選択肢です。

 しかし、現代では虫歯の予防法も発達し、昔のように次々と虫歯になることは無くなりました。
 また、治療法も材料も高度に発達しましたので、現在では、接着治療など、治療法と材料を選ぶことにより(もちろん予防が大前提ですが・・)、より長期間、歯の寿命を延ばすことができるようになりました。

 当院では、現在メタルインレーの治療でも、虫歯の深い所や削った部分の内面を、接着剤やコンポジットレジン(プラスティック)を使ってカバーし、2次虫歯になりにくいように配慮しています。また、それをすることで、術後、冷たいものがしみたりする事も減らすことができます。

 しかし、それでも、金属そのものの欠点は、完全には解消できません。
そこで、次なるステップアップとして出てくる治療法が「メタルフリー」、金属を使わない治療なのです。

 金銀パラジウム合金とメタルインレーの話はここまでにしておきます。次回は、番外編として、「クラウン」・かぶせ物の話をします。

 最後にメタルインレーの「メタルフリー」修復症例を挙げておきます。
大きなメタルインレーを除去し、「メタルフリー」修復をする場合、当院では多くは「ダイレクトボンディング」か「セラミックインレー」を用います。
 この症例では、セラミックインレーを用いています。
ダイレクトボンディングとセラミックインレーについては、また近々改めてご紹介したいと思います。

 患者様は38歳、女性。
術前です。
大臼歯に2本、メタルインレーが入っています。
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術後です。
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 大臼歯2本をセラミックインレーで修復しました。
 セラミッククラウンではありませんので、一部分に自分の歯が残っているのですが、どこまでがセラミックで、どこまでが自分の歯か判別が付かないのがわかって頂けると思います。隣の小臼歯の古いセラミックインレーと比較してみて下さい。
 現在の「接着技術」はここまで来ています。境い目と段差が無い接着技術が虫歯菌の侵入を防ぎます。 









by healthcarenews | 2019-02-06 00:32 | 虫歯治療・MI治療

「メタルフリー」へと続く道・Part3 金銀パラジウム合金について 前編

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道、の第3夜、金銀パラジウム合金についてです。

「金銀パラジウム合金」とはどんな金属か?と、いうと、今の日本で、保険診療の銀歯、メタルインレー(金属の詰め物)やクラウン(かぶせ物)に使われている金属、そのほぼ「すべて」という事ができます。

 ちなみに、メタルインレー(金属の詰め物)とは、歯の一部分を削って、型を取って、それからできた金属をセメントで歯に着ける治療です。
 クラウン(かぶせ物)とは、歯の全部を削って、型を取って、全体をすっぽりかぶせるように包んだ金属をセメントで歯に付ける着ける治療です。

 下の写真のコレ(黄色矢印)や隣の歯の銀歯がメタルインレーで、材料は金銀パラジウム合金・・・、
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また、下の写真の黄色矢印もめメタルインレーで、その隣の歯がクラウンです。そして材料は金銀パラジウム合金・・・。
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下の写真の3つの黄色矢印も・・・、
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みーんな金銀パラジウム合金です。

 一部、入れ歯や土台に、違う種類の金属を用いる事はありますが、歯科用で保険で使われる金属のほとんどが、おそらくこの「金銀パラジウム合金」だと思います。

 その金属としての組成は国が決めていて、金12% パラジウム20% 銀50% 銅16%、その他の金属2%、まあ大体こんなところです。

 では、金銀パラジウム合金に害(毒性)はあるのか?と問われると、国が「保険診療にはこの金属を使いなさい!」と決めてしまっていますので、僕個人としては何もそれに反論する事もできませんし、害を実証する、いわゆるエビデンス(根拠)のある論文を持っている訳でもありません。まあルールですので、使わざるを得ない、と言うところが本音にになります。

 ただ、貴金属としての「金」は、昔から金箔としてお酒に入れて飲む人もいるくらいですから、まあ多くの害は無いのでしょうが、残り88%のパラジウム、銀、銅や、その他の金属が、金属それぞれの性質を調べた時に、「大丈夫かどうか?」というのが問題で、少なくとも金属アレルギーの原因になるのはあり得るのかなあ、と言うところです。
 しかし、確かに、金属アレルギーの患者様で、金属を除去することで症状が改善したということは良く経験することですが、たくさん他にも金属が入っているのに、一部の金属を除去するだけで症状が改善する場合もあり、すべてが金銀パラジウム合金のせいでは無い、ということも経験しています。

いわゆる保険外診療で、メタルフリー治療(ノンメタル治療)を専門でやっている医院のサイトを見てみますと、かなり怖いことがいろいろ書いてあります。

いわく、金銀パラジウム合金は、お口の中でアンテナとして働いて、電磁波を集めて、電磁波過敏症を招く。

いわく、唾液で溶けてガルバニ電流を発生し、疲れやすい、めまい、動悸、頭痛、腰痛、肩、首のコリ、ひじ、ひざの痛み、などを起こす・・・などなど。

また、できるだけ早く、「お口の中から金銀パラジウム合金を外す必要があります。」とまで書いてあります・・・(-_-;)。

 Part1にも書きましたが、金属は金属の素晴らしい長所があり、また、保険診療としての長い歴史の中で、膨大な数の金属が患者様のお口の中に入っていますので、この「金銀パラジウム合金をすべて外す」あるいは「使わない」治療を、まともに実践すれば、歯科治療としての根本である、「虫歯を治療して痛くなく噛めるようにする」、という行為が、保険診療ではまったくできなくなってしまい、これはこれで本末転倒、という感じがします・・・(汗)。

 ですから、この金銀パラジウム合金の「毒性」という問題に関しては、ここはちょっと横に置いておきましょう。
アマルガムと違い、100%悪者ではありませんし、安価で手軽に丈夫に治療ができる材料には違いありません。
 僕も、今でも必要に応じて普通に使っていますし、特に強い噛む力がかかる奥歯のクラウン(かぶせ物)などにはどうしても必要な材料になります。

 ただ、「金属の使用量を減らす、あるいはより良い材料を使う」というスタンスは、これからは「アリ」だと思います。
いまは、それに代わる良い材料も出てきています。

 ここからは、また後編に持ち越しましょう。
後編のテーマは、やはり接着性。
歯と金属はあまりに性質が違いすぎるため、クラウン(かぶせ物)はともかく、メタルインレー(金属の詰め物)は、治療後数年も経つと明らかに劣化していきます。
 金銀パラジウム合金は、その合金そのものの毒性よりは、金属としてのその他の性質の方が大きな問題になります。
これは、特に「メタルインレー」治療の大きな欠点であり、そして「貴方の歯と体の健康を守る」ためにとても重要なテーマとなります。
 

 





by healthcarenews | 2019-01-30 22:40 | 虫歯治療・MI治療

「メタルフリー」へと続く道・Part2 アマルガム合金について・後編

 今夜のヘルスケア通信は、メタルフリーへと続く道・Part2 アマルガム合金について、の後編です。
前編の後半部分で、アマルガム合金の欠点について触れました。

 簡単に復習しておきますと、アマルガム合金の欠点とは

1. 金属に「水銀」が使われていて「毒性」があること。
2. 劣化して溶けだし、黒色になり、周囲の歯も黒く変色することがあり、審美的にキレイでないこと。
3. アマルガムは歯に接着しないため周囲にスキマが開いて、知らないうちに虫歯になったり歯が割れたりすること・・・などなどです。

 後編のテーマは、この欠点2と欠点3。
両者は、アマルガムの金属としての性質そのものを原因としていますので、まとめて見ていきたいと思います。
 
 まずは写真をご覧ください。
下の写真は「メタルフリーへと続く道・Part1」でも使った写真ですが、奥歯が明らかに変色し、大きく審美性を損ねています。そして、後に紹介しますが、この歯は想像以上に重症で、最悪の結末を迎えます。
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 下の写真、黄色矢印は、とても小さいアマルガム治療ですが、黒変し逆に虫歯のように見えてしまっています。
その間の小臼歯は何十年も虫歯になっておらず、虫歯リスクの考えから見ると、このアマルガム治療も本当に必要だったのか疑問が残るところです。
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 下の写真、黄色矢印部分。
アマルガムは接着性が無いため、長期使用で劣化してスキマができたり、歯にヒビが入ったり割れたりすることがあります。
接着性とは、歯科材料が歯そのものくっつく性質で、接着性があると、歯を補強する場合があります。
接着性が無いと、スキマやヒビができやすくなり、そスキマやヒビの部分から中に細菌が入るため、中で虫歯が進行します(2次虫歯と言います)。
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 下の写真の歯も同様です。
前歯の裏側ですが、ヒビやスキマが入り、中で2次虫歯が進んでいます。
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 さて、下の写真は最初に出てきた症例ですが、そのアマルガムを除去した時のマイクロスコープ画像です。
2次虫歯の部分を取り除いたのですが、矢印部分にヒビが入っています。
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 ヒビからの感染は神経にまで進んでいましたので、やむを得ず神経を取りました。
4本も神経がある歯でしたが、大きく黒いヒビが入っています(黄色矢印)。
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 最も問題なのはこのヒビで、これだけ大きなヒビが入った奥歯は、正直言って予後がまったく予測できず、治療後すぐに割れてしまう可能性もあります。
そうなるとこの歯は抜歯になりますので、もっと早く治療ができなかったか悔やまれるところです。
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 別の症例も見てみましょう。
同じく古いアマルガム治療のマイクロスコープ画像です。
お約束のように、アマルガムの「劣化」「ヒビ」「中の2次虫歯」が出来ています。
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 アマルガムを除去したあとの画像です。
一部ですが、中で深い虫歯になっています。ヒビも入っています(黄色矢印)。
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 この症例も大きなヒビが入っていましたが(下写真、黄色矢印)、幸い神経までは入っていなかったため、詰めなおすだけで治療は終了しました。
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 誤解が無いよう書き添えておきますが、「ヒビ」の問題は、アマルガムだけの問題ではありません。
最近は、ストレス社会のせいか、食いしばりや歯ぎしりで、健康な歯を噛み割ってくる方が増えています。
特に、マイクロスコープなどで覗いていると、問題がある歯の多くの症例に「ヒビ」を発見します。
これはまたどこかで改めて話をしたいと思います。

 さて、最後に、わりと簡単なケースのアマルガム治療の再治療の例を紹介したいと思います。
 下の写真、やはり奥歯の古いアマルガム治療。
「劣化」はありますが、まだ初期で、幸い中の「ひどい2次虫歯」と「ヒビ」はありません。
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下の写真は、アマルガム合金除去後です。虫歯はありませんが、それでもこれだけ変色しています。
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 接着性材料のプラスティック(コンポジットレジン)で修復しました。(下写真)
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 現在では、ていねいにやると、ここまで審美性と歯の形を回復する事ができます。
術前と比べて見たら、やっぱりこっちの方がいいのは、皆さん明白だと思います・・・。

 さて、今回始めた『「メタルフリー」への道』・・・、その「最初の第一歩」がアマルガム合金の除去です。
わざわざ、『「メタルフリー」への道』、と、仰々しいタイトルをつけたのは、それが実は思いのほか、遠い遠い大変な道のりだからです・・(-_-;)。

 「Part1、歯科用金属の功罪」、でも述べたように、金属にも「強度」という大きなメリットがあり、また過去からの保険診療の流れで、お口の中全体に金属が入っている患者様もいらっしゃっいますので、そのすべてをいきなり外してメタルフリーにすることは、時間的にも費用的にも性能的にも到底不可能です。
また、小さな詰め物は保険診療でも大丈夫ですが、大きな虫歯の詰め物は保険外診療になる可能性が高いのも、道のりを遠くする大きな問題です。

 次回は金銀パラジウム合金の話になりますが、これにくらべると、小さなアマルガム治療なら、多くは保険でプラスティックに替える事ができますので、アマルガムのマイナス面を考えると、手軽でコストパフォーマンスの高い治療になります。
 それでも、このアマルガム治療が、現在どれくらいの量、患者様皆様のお口の中に眠っているのか想像もつきません。
それだけ長い長い歴史がある治療なのです。

 アマルガムの除去は「メタルフリー」への第一歩!
少しずつやっていきたいと思います。

 

 






by healthcarenews | 2019-01-23 16:16 | 虫歯治療・MI治療

「メタルフリー」へと続く道・Part2 アマルガム合金について・前編

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道、の第2夜です。
前回にも少し触れましたが、歯科でお口の中に使われる金属は、大きく分けて
1.アマルガム合金
2.金銀パラジウム合金
3.銀合金
4.チタン合金
5.コバルトクロム合金
6.金や白金などの貴金属
などなどです。

 今夜のテーマはその中の、1.「アマルガム合金」についてです。
「アマルガム合金」とは、銀やスズ、銅や少量の亜鉛などの金属を「水銀」と混ぜて「練り合わせて作る合金」の事です。
 混ぜ合わせた当初は柔らかいため、型を取る必要が無く、削ってすぐに虫歯の穴などに詰める事ができます。
硬化すると固い金属に変わり、少し膨張するため、虫歯の穴に密着してしっかりと詰める事ができます。

 とにかく簡単で安価で丈夫。「接着」のための面倒な下準備も要らず、銀の殺菌作用のせいか少々虫歯の取り残しがあっても「それなり」の治療ができるため、今から40~50年前の「虫歯の洪水」と言われた時代、歯医者さんが患者さんであふれた時代には、非常に重宝された治療法でした。

 40代から50代の方なら心当たりがあるでしょうが、学校検診で「虫歯だねー」って言われて、歯医者さんに行くと、ろくな説明も無くチャチャっと削って詰められた「銀歯」、そうアレです(^^;。

まあ、下の写真のコレ(黄色矢印)とか・・・・、
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コレとか・・・、
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コレとか・・・、
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コレなどです。
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 上の写真の症例でも、もう何十年もお口の中で痛くなく噛めていて、あの訴訟大国で安全性にうるさいアメリカでも50年以上問題にならずに使われてきた材料ですので、一概に「悪い治療」と言う訳ではないのですが・・・、まあ、コレに変わる「接着治療」が確立した現代では、使う理由は無いですねえ。

 アマルガム治療は、虫歯の治療が、
「歯科医院は歯が悪くなってからかかるもの」
「穴が開いたら削って詰めたら治療は終わり」
「どうせ、また悪くなる」
 そう思われていた時代~歯科治療が、長期的な全身の健康を守るなど、まったく考えられていなかった時代~の、前時代の遺物と言えます。
日本でも2~3年前に、保険診療での使用が廃止されました。

 簡便なアマルガム治療ですが、現代で用いるにはアマルガムには三つの大きな欠点があります。

 アマルガム合金の、大きな欠点のひとつ目はまず金属に「水銀(無機水銀)」が使われている事。
水俣病で有名な「有機水銀」ほど強い毒性がある訳ではないですが、長期間使用しているうちに唾液で溶けて、粘膜や消化器官から吸収されて体内に蓄積されて毒性を発揮すると言われています。

 人を脅かすようなサイトを見れば、「アマルガム(水銀、スズ)は、神経毒性が強く!、不眠、イライラ、めまい、肩こり、頭痛、アレルギー、アトピー性皮膚炎の原因になり、免疫力が落ちてリウマチなどの膠原病や、不妊の原因にさえなる」などと書いてあります・・・・(-_-;)。
 まあ、小学校の頃にアマルガムを詰めて、50代60代までピンピンしている人がほとんどですので、上のようなサイトの情報を鵜呑みにしてはいけませんし、不必要に恐れて過剰に反応する必要はありませんが、金属アレルギーの原因になることは間違いないと思っています。
 また、原因不明の体調不良に悩まれている方が、アマルガムを除去することで回復するなら、それはそれで素晴らしい事だと思います。

 50代60代を超えてくると、ホルモンバランスの狂いや、体力、免疫のバランスの悪化も、「老化現象」として起きてきますので、その不安定要素を減らすためにも、最近では患者様の了解が得られたら、できるだけアマルガムを外してプラスティック(コンポジットレジン)などで詰め替えるようにしています。

 二つ目の欠点は、見た目が審美的に悪い事。
単なる銀色ではなく、年数が経ってくると金属が劣化して黒い銀色に変わってきます。
上の写真でもそうですが、単に金属が劣化するだけでなく、銀が溶けだして、周りの歯まで黒く変色させていきます。
これは、歯の歯質そのものを変色させますので、後からアマルガムだけ除去して、プラスティックを詰めてもきれいな色にもどらない時があります。

 三つ目の重大な欠点は、(現在の予防歯科的見地から言うと、僕的にはこちらの方が重要なのですが・・・)アマルガムは歯に接着性が無い事。
そのため、長期使用で、歯とアマルガムのスキマに知らないうちに深い虫歯が出来ていたり、歯が割れたりすることです・・・(-_-;)。
 また、これはこれで、多くの症例と写真が必要になります。
こちらの話は後編に回しましょう。


 


 




by healthcarenews | 2019-01-22 13:26 | 虫歯治療・MI治療

ダイレクトボンディング、という選択・2

 今夜のヘルスケア通信は、「ダイレクトボンディング」第2話。
カテゴリーなら「MI治療」、ミニマルインターベンション(最小限治療)の世界の話です。

 今、治療技術の進化に伴い、歯科治療は確実にダウンサイジングの方向に向かっています。
まずは症例をご覧ください。

 患者様は67歳、女性。右上2番目と3番目(側切歯と犬歯)に大きな虫歯が出来てしまいました。
術前です。
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 歯の3分の1におよぶような大きな穴が開いていて、犬歯にいたっては向うが透けて見えています。一昔前なら、もう神経を取ってかぶせていた歯でしょう。

術後です。
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慎重に色合わせをしてダイレクトボンディングした後、ルーペ(拡大鏡)下にて、形態を整え研磨しました。

 2例目。
 術前です。
以前詰めてあったプラスティックがある日ポロリと取れました。
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中で虫歯が進行して、黒い影が透けて見えています。

 術後です。
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やはりルーペ(拡大鏡)下でダイレクトボンディングを行いました。
どちらも症例も、この歯の治療は1回で終了しています。
審美的にも大変満足して頂きました。

 ダイレクトボンディングは、歯科用の強化プラスティックとボンディング材(接着剤)の進化により、ここ数年急激に発達してきた治療です。最新のボンディング材は、歯の神経を刺激しにくく、昔なら痛みが出るような深い虫歯でも神経を残して治療できるケースが増えてきました。

 ダイレクトボンディングは、審美治療、MI治療としては大変有効な治療ですが、やはり欠点もあります。少し利点欠点を整理してみましょう。
利点
・歯を削る量を最小限にできる。
・審美的に、かつ短期間(ほとんどが1回)で治療できる。
・セラミック等を用いる治療より比較的安価にできる。
・大きく歯質を削らないため、その歯が再び虫歯になった時の治療の選択肢が広い。
・最新のボンディング材は性能が良くなったため、深い虫歯でもとりあえず神経を残せる事がある。

欠点
・深い虫歯を神経を残してダイレクトボンディングした場合、後から神経を取ることが必要になる場合がある。
・プラスティックはセラミック等に較べると強度、ツヤ、耐久性が落ちる。
・特に、歯ぎしり、くいしばり、固い食べ物が好きな人にはプラスティックが破折することがあるの で注意を要する。
by healthcarenews | 2015-05-23 00:36 | 虫歯治療・MI治療

MI・2  MI治療=ミニマルインターベンション=最小限治療

 今夜のヘルスケア通信は、MI治療についてです。
「MI治療」とは「ミニマルインターベンション」の略で、日本語に直すと「最小限治療」、ということになります。
これは「虫歯に対する治療方針の基本原則」をあらわす言葉ですが、まあもっと簡単な日本語に直すと、「虫歯は悪いところだけ取るようにして、歯をできるだけ削らないようにしましょう!」という考え方です。

これは理屈抜きで、まず症例をご覧ください。

術前です。
左下小臼歯の虫歯です。
以前にプラスティック充填してありましたが、歯ぐきのスキマから2次カリエス(一度治療した歯が虫歯になること)になりました。
麻酔後、5倍拡大下で治療を行います。

歯ぐきのスキマからの2次カリエスなので、かなり深い部分まで虫歯が進行していました。
大まかな部分をラウンドバーと呼ばれる機械で削り、深いところはスプーンエキスカベーターという器具で、手で慎重に削っていきます。深いところは機械では削り過ぎになることがあるからです。

下の写真は薬液で消毒しながら虫歯の除去を進めているところです。
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一昔前なら、「痛みが出るといけないから、神経取っときましょか?」ってな話になってもおかしくないくらいの深さです。少なくとも型を取ってインレーと呼ばれる銀の詰め物が詰められていたでしょう。

術後です。
最新の接着材(ボンディング材)を用いて、歯と同じ色の白いプラスティックを詰めました。
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「とりあえず」治療はこれで終了です。
この「とりあえず」の考え方は、「MI・1」の時と同じです。ご参照下さい。

 僕の現在の基本的な虫歯治療の考え方としては、まず強い自発痛(ズキズキとした痛み)や強い冷温痛(熱いものや冷たいものがひどくしみる)、咬合痛(咬むと痛い)が無ければ、深い虫歯でもまず詰めるようにしています。
 一昔前に比べ、最近はボンディング材(接着材)が非常に進化したので、深い虫歯でも、後から痛みが出てくるケースが少なくなったからです。
このボンディング材(接着材)は
・歯とプラスティックとの接着
・スキマをシールして、虫歯菌の再感染を防ぐ
・知覚過敏の予防
・歯髄(神経)の保護
などの機能を持ち、この部分は、いま日本が一番進歩しています。

小さな虫歯なら、歯と同じプラスティックを詰めるだけで、1回で治療も終わり、保険診療でかつ審美的に治療することができます。
深い虫歯でも、詰めてみて痛みが出なければラッキー!、痛みが出れば、後から小さな穴を開けて神経を取れば済むだけなので、トータル歯を削る量を少なくすることが出来、結果的に歯を守ることにつながります・・・。
ただし、咬み合わせの強い歯にはマイナスになるときもあるので、この場合は個別に要カウンセリングになります。

ただ、いつも使うオチですが、どうぞ毎日のお手入れとメンテナンスだけはしっかりやって頂きたいと思います。
予防に勝るMI治療は無いからです。















by healthcarenews | 2015-01-14 23:17 | 虫歯治療・MI治療

レーザーを用いた、より確実な虫歯治療について・・・

 今回はレーザー治療の続きです。

 実は今まで、このヘルスケア通信で、あまりレーザー治療は取り上げた事がありませんでした。

 それには理由がありまして、ひとつは最小限治療として虫歯に用いた場合、画像として小さすぎてインパクトに欠けてその価値の表現が難しい、という事。もうひとつは、歯肉に用いた場合、今度は痛みや出血はありませんが、ざっくり開いた歯肉はインパクトがありすぎて、画像がショッキング過ぎて、これまたその価値の表現が難しいということです(苦笑)。

 でも、今回は、新しいレーザーも紹介したので、まだ「ささやかな」症例からご紹介したいと思います。
まずは画像をご覧下さい。
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 患者様は15歳女性。一番奥の歯のその奥側に虫歯でぽっかり穴が開いています。
実は、本来、この位置はほとんど虫歯ができる場所ではありません。しかし患者様は矯正治療を受けておられたので、その装置(バンド)が入っていた、この歯の奥側に(歯肉の内側から)虫歯が出来てしまいました。残念ながら、これは矯正治療のデメリットのひとつです。

 正直、この場所の治療は普通にやると難しい治療になります。虫歯に歯ぐきがかぶさってきてますので、虫歯を削ると歯ぐきから出血してきて、プラスチックを詰めるための接着剤が付かないのです。もちろんそのスキマは再び虫歯になりやすい場所になります。

 では、どうするか・・・。レーザーを使えば簡単に解決できます。
術後です。
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奥側の歯肉を麻酔をしてレーザーで焼き切ります。
くどいようですが、痛くありませんし、出血もありません。出血しませんので、後はいつも通りプラスチックを詰めるだけです。簡単に確実な治療が行えます。

 では、切り取った歯ぐきはどうなるのか?これも簡単です。歯肉の回復力は強く、放置していても元通りきれいに治ります。

 やはり、パックリ開いた傷口はショッキングでしょうか?
誤解を恐れず言いますと、初めてレーザーメスを使ったときは、音もなく出血も無く、プスプスと、見る見る切れていく歯ぐきに感動すら覚えました。そして、その治りの早さに、またまた感動をするのですが・・・。
やっぱり伝わらないですかね・・・(苦笑)。表現が難しいです(^_^;)。
by healthcarenews | 2012-11-29 00:08 | 虫歯治療・MI治療

「何人もの方の紹介で・・・・」

  下の写真は、当院に来院された、ある患者様の問診票の一部です。
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もちろん、重要な個人情報であるお名前や住所はマスク。病歴とかもマスクさせて頂いています。

 当院では、問診票の中で、当院に来院されたきっかけは何か、をお伺いしています。
特に紹介患者様の場合は、ご紹介者のお名前を書いていただく欄も設けています。どなた様のご紹介かを把握しておくことで、診療中の会話にも役に立つからです。
 ただ、ほとんどの方は、この欄に個人名を書かれるか(「妻」とか、「家族」って場合もあります)、あるいは紹介患者様でも、この欄は空欄の方が、結構いらっしゃいます。お友達に配慮してか・・・、あるいは口コミなんかの場合は、紹介者の名前も知らない・・・なんてこともよくある話ですから。

 で、この患者様は、上の写真のように書いて下さいました。

 ふむ。なんか新鮮。正直、ちょっと嬉しかったですね(笑)。
この患者様は、ちょっとユーモラスな素敵なおばあちゃんでしたので、どれだけの交友範囲があるかはわかりませんが、どこでどうゆう話を聞いてこられたのか・・・・・。想像してちょっと笑ってしまいました・・・。でも、ありがたい話です。

 主訴(何が、一番気になるか?)は、あえてマスクしませんでした。ご覧のように、たくさんある様子。
でも、一番困っているのは、「友達とカラオケに行ったときに、入れ歯では歌えないこと・・・。」(笑)
さあ責任重大です。もちろん他の患者様と、責任の重さに変わりはありませんが・・。
わかりました。なんとかしましょう・・・・。

 まずは例によって初診時の写真です。
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 患者様は、初診時78才、女性。平成23年1月の初診になります。
右上の歯が抜けている所に入れ歯が入っていましたが、歯肉が腫れて痛くて噛めません。
もちろん入れ歯も合っていません。他の歯も、一見たくさん有るように見えますが、多くの歯が抜かれブリッジになっており、そのブリッジもほとんどカブセのすきまからひどい虫歯になっています。
 
 左右から見たところとレントゲン像も載せておきます。特に、左の上下が重症で、根っこから離れて、カブセだけが浮いています。本来なら抜歯の症例です。
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 カブセのスキマに虫歯ができているので、どうしてもその部分に食べカスがたまって、うまく歯磨きできません。
そうすると、そこで歯肉炎を起こして歯ぐきが腫れて、歯ブラシが当たると痛いもんだから、余計歯磨きができなくなって、悪循環を起こしています。その上、甘い物も大好きで、歯肉炎で痛いのを、アメちゃんを舐めてごまかしていました。Oh my God!
 
 しかし、今まで通っていた歯医者は、お口の掃除をするだけで治療をしてくれなかったそうです。そりゃそうでしょう。うっかりカブセをはずすと、次から次へとはずさないといけなくなって、噛むところが無くなり、大きな入れ歯になってしまいます。本来QOLを上げるための治療が、逆にQOLを下げる結果になります。
これはかなりの難物です・・・・(汗)。

 まずは、カブセの下の虫歯をなんとかしなければなりません。虫歯を埋めて、食べカスが入らないようにして、歯周治療で歯肉炎を治し、歯磨きがし易い環境に作り替えて行きます。そのためには1本1本仮歯に替えるところからスタートです・・・・・・。時間がかかりますよ・・・。

 約1年4ヶ月後。術後の写真です。
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 長期間、患者様が本当にがんばってくれたおかげで、入れ歯なしの治療を実現することができました。
保険診療ですから、前歯の形や色味が完璧とはいきませんが、まあご愛嬌でしょう。

 歯肉炎は改善されて、歯ぐきは引き締り、キレイなピンク色の歯ぐきを取り戻しました。
やむなく2本だけ抜歯しましたが、この初診の状態で、2本だけで済んだのは正直奇跡。
噛んで痛くないのはもちろん、歯磨きしても痛くないので、歯磨きが楽しくなったそうです。

 なにより、カラオケで大きな口を開けて歌えるし笑える!って大喜びしてもらえました・・・。
よかったねー。

 私たちが嬉しかったのは、患者様の生活習慣が変わったこと。
甘いものを減らしてフルーツ中心に切り替えられたそうです。
 こちらから制限する治療は可能ですが、どうしても患者様に欲求不満がたまります。
治療の中で、患者様に悪習慣を気づいていただき、自発的に習慣が変わる・・・・、治療に時間がかかっても、患者様と一緒に歩む、そういうヘルスケア型の診療の大切さを改めて実感させてもらいました。

 これからも一緒にがんばりましょうね。

ヘルスケア型予防歯科の真髄
by healthcarenews | 2012-06-04 00:39 | 虫歯治療・MI治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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