ヘルスケア通信

newshealth.exblog.jp ブログトップ | ログイン

カテゴリ:歯の外傷(ケガ)・移植・再植( 6 )

虫歯治療の奥の手 - 移植という選択 -続報

今回のヘルスケア通信は、2011年10月に報告した「虫歯治療の奥の手 - 移植という選択 -」の続報です。
 前回に続き今回も続報となりました。
まあ、当院は特殊な症例や、長期経過を追う症例がわりと多いので、いろいろな理由で続報、ということになります。治療はかぶせて、はい終わり!ではなく、その後のメンテナンスの中で、10年後20年後を考えて仕事をしています。
今後も、おいおい「続報」はしていきたいと思います。

 改めて、「虫歯治療の奥の手 - 移植という選択 -」の続報です。
詳細は、リンクを張っておきますのでそちらもご覧ください。
 術前写真と概要だけ述べておきます。
初診時、左下奥から2番目の歯が大きな虫歯になりました。これは第2大臼歯と呼ばれる歯で、奥歯の噛み合わせを支えるとても大切な役目をしています。
しかし、その後ろにある親知らずの影響で虫歯になってしまいました。
b0119466_23342265.jpg

レントゲンでも大きな虫歯が見えています。
b0119466_23344625.jpg

抜いた第2大臼歯です。移植するのはこの後ろの親知らずです。
b0119466_23345347.jpg
 
当院では、このような症例では、よく親知らずの移植を行うようにしています。
意外(と言ってはなんですが・・・)と成功率は高く、有効、有益な治療です。
親知らずの治療は抜くだけではありません。
「生えてるものは親知らずでも使え・・・・(-_-;)」

術後です。
まるで、初めからそこに有ったかのような顔をして収まっています。
b0119466_23373097.jpg


ジルコニアセラミックで修復しました。
b0119466_2337092.jpg


 移植は特殊な治療のように聞こえますが、特殊になるのは、他人の体から移植する場合で、自分の体から自分の体に移すのは、免疫反応もなく、多くは予後良好となります。

 奥歯は、噛む力を確保し前歯の破壊を防ぐために、インプラントも含め、どんな治療を選択しても残しておきたい重要な部分です。
 親知らずと第2大臼歯は、咬合力を連携している場合もあり、私自身は、何の症状もない親知らずを盲目的に抜歯する治療には疑問を感じています。
 親知らずまで、きちんと歯ブラシをするのは大変ですが、患者様それぞれのリスクに応じて、親知らずを抜歯するのか、あえて残して将来に備えるのか、考えるようにしています。
by healthcarenews | 2016-02-22 00:09 | 歯の外傷(ケガ)・移植・再植

まずは「移植」という選択

 今回は、マイクロスコープネタを少しお休みして移植症例をご紹介しましょう。

 虫歯や歯の破折などで、残念ながらどうしても歯を抜かないといけなくなった場合、現在では様々な治療法が選択できるようになりました。従来なら、ブリッジや入れ歯などが主でしたが、それぞれメリット・デメリットがあり、今ならインプラントを選択することも、将来的な歯の保護という観点からも、自信を持ってお勧めすることができる治療になりました。

 しかし、それでも費用やリスクなどの点で、インプラントに踏み出す勇気が出ない方もいらしゃると思います。そのような方には、一度「移植」治療ができないかを、僕は検討するようにしています。

 術前です。
b0119466_23355871.jpg

向かって左上(口の中では右上一番奥の歯)、黄色い丸の中の歯は、もう根っこだけになっていて、しかもボロボロで治療で治る見込みがありません。治療としては抜歯なのですが、この、「奥1本だけ抜いた」って治療は、その後ブリッジもできないし、入れ歯も難しい、インプラントをしないなら、「そのまま放置」になることも多い難しい治療です。

 今回もインプラントの選択も考えましたが、やはりよく見ると(口の中では)左上の親知らずが半分だけ埋もれて虫歯になっています(向かって右上奥の赤丸)。この親知らず、大きな虫歯になっていますので、近いうちに抜くことになっていましたので、「それくらいならダメ元で移植しようか?」って話になりました・・・(^^;。

 術後です。
赤丸の部分の歯を抜いて、黄色の丸の部分に移植しました。
b0119466_041147.jpg

 実は、今回、このドナー側の歯が少し大きくて、移植にはちょっと苦労しました・・・。
大きすぎる部分を少し削って、そこをスーパーボンドと呼ばれる生体と相性が良いセメントで埋めて
ワイヤーで固定して・・・、といろいろ悩ましい術式になりました・・・。

 まあ、今のところ、痛みや腫れなどの異常なく、順調に経過しています。
今後が楽しみです・・・。
by healthcarenews | 2014-11-03 00:10 | 歯の外傷(ケガ)・移植・再植

ケガ(打撲)により、抜け落ちた歯を植え直して生着した1症例

 今夜は、「外傷により脱落した永久歯を再植することにより、再び生着させ機能させることができた一症例」についてです・・・・。
 でも、こう書くと非常にわかりにくいと思うので、冒頭のタイトルか、もっとわかりやすく書くと、「ケガで一度抜けた歯をもう一度植え直したらくっついたよ!」って話です(笑)。

 まずは初診時の写真を御覧ください。
 患者様は11歳女性。
受傷後2時間ほど経過してから来院されました。
はじめは近所の歯科医院に行かれたのですが、そちらでは対応できないと断られ、土曜日の午後だったこともあいまって、巡り巡って当院への受診となりました。
 受傷から時間が経っており、もう止血していることと、怪我した本人ももう落ち着いていたため、術前の写真を撮ることができました。
 まずは正面写真です。
b0119466_22331123.jpg

 右側から見たところです。
b0119466_22332684.jpg

 ご覧のように、右側正面から2本目の歯が、根っこから抜け落ちています。
また右側犬歯(糸切り歯)の先端が欠けています。唇も切れています。

 当初、患者様のご家族は、一度抜けた歯は使えない、と思って、ゴミ箱に捨てられていたそうです。
それをお友達の勧めで拾って持ってきて下さっていました。これは不幸中の幸いでした・・・。

 一度抜け落ちた歯でも、条件がそろえば、再植して生着することがあります。(最後の方で要点をまとめます。)
今回の歯は、受傷から時間が経っていたため、ティッシュにくるまれて、カリカリに乾燥していましたが、とりあえず再植してみることに・・・・。

 まず、抜け落ちた歯は、冷やした滅菌生理食塩水でよく洗浄し、そのまましばらく浸けておきます。
その間に、患者様には感染予防に抗生物質を飲んでもらい、麻酔をしていきます。

 それから、傷口をよく洗浄した後、抜けた歯を植えなおして、傷口を縫合し、歯をワイヤーとプラスティックで固定していきます。前歯ですので、傷口が早く治るよう少し細めの縫合糸を使ってあります。
また、先端がかけていた犬歯もプラスティックで補修しました・・・。
b0119466_230627.jpg


 これで、しばらくの間、組織が再生し生着するための治癒期間を待ちます。
一度抜けた歯は、神経への栄養血管が切れているため、この期間に残っている神経組織を取る治療を行なっておきます。

 約2ヶ月後。術後です。
 正面です。
b0119466_238332.jpg

 右側です。
b0119466_2381580.jpg

 ワイヤーと、固定していたプラスティックを除去し、表面を研磨しました。
 脱落した歯は、問題なく生着しているようです。
ゆらゆら動くことも無く、これならしっかり噛めそうです。
 ただ、今は良くても、将来的には「歯根吸収」、と呼ばれる現象が起こることがあります。
慎重に経過観察を行なっていきたいと思っています。

 また、ワイヤーを除去してから気がついたのですが、右側正面の歯が変色しているように見えます・・・。
隣の歯ですので、外傷時にこの歯へもかなりのダメージがあったことも推測されます。それによるその歯の神経への損傷が考えられますので、これは次回精査をする予定です。

 ケガによる歯の外傷、脱落について、いくつかまとめておきましょう。
1.外傷で欠けたり、脱落した歯でも、接着したり、再植することで、しばらくでも使える(機能を維持できる)場合があります。捨てたりせずに必ずご持参下さい。

2.脱落した歯の根っこの表面には、「歯根膜」という、骨にくっつくための細胞がついています。この細胞は乾燥に弱いため、2時間以上乾燥状態に置かれると死滅すると言われています。(今回の症例はぎりぎりボーダーライン。なので慎重な経過観察が必要です。)できるだけ早くご来院下さい。

3.脱落した歯は、乾燥させないことが大事なので、適切な保存液に入れて保管して、ご持参下さい。
 推奨されるのは、A.牛乳の中、B.学校の保健室などに置いてある歯牙保存液、C.患者様の口の中(歯と唇の間)などです。特に牛乳は入手も簡単なのでお勧めです。逆に水道水での保存は、塩素の影響で歯根膜細胞がダメージを受けるため避けて下さい。土や汚れが付いていても、水道水でゴシゴシ洗ったりせず、そのまま保存液に浸けて来てください。こちらで洗浄を行います。

 再植歯の長期経過に関しては、再植時の状態や、患者の年齢などにより、様々な転帰が考えられます。
そのため、繰り返し言うようですが、長期的に経過観察を行なっていきます。
 しかし、どのような結末を迎えるにせよ、外傷時にいきなり歯が抜けて、そのまま抜けたままになるよりは、再植することにより、ある程度の期間にせよ、機能を回復させたほうが、次に対処するための準備期間もできて、より有意義な治療と考えています。特に、成長過程にある若年者の場合は、成長期が終わるまで、なかなか有効な治療の選択肢がないため、再植の意義は大きいものとなります。ケガなどは、もちろん無いにこしたことはないのですが、万一の場合、こういう選択肢もあることを覚えていていただきたいと思います。

 
by healthcarenews | 2014-05-25 23:48 | 歯の外傷(ケガ)・移植・再植

咬合が原因で健康な歯が抜歯に至り、移植を行った1症例

 今回は、強い咬み合わせが原因で起きた一連のトラブルと、その治療をご紹介しましょう。
 
 
今回紹介する患者様は女性。
最初の初診は1989年5月、25歳の時で、今からちょうど24年前。ですから、さすがに初診時の写真はありません。この時は小さな虫歯を数本治療して終了しています。
 
 翌1990年秋に再初診、やはり数本の虫歯を治療して、左の上下の親知らずを抜歯しました。
そして、それから数えて20年以上、この方はずーっと定期的なメンテナンスを続けて頂きました。

 このメンテナンス期間中、お口の中の環境は非常に安定しており、小さな詰め物の補修は数本ありましたが、1本の抜歯はおろか、神経を取る治療すら行う必要はありませんでした。

 しかし、2010年12月、思わぬトラブルが私たちを襲いました。左下の奥歯が痛い!と言うのです。

 その時の写真です。
鏡で撮っていますので、左右逆に見えますが、左下一番奥が問題の歯です。
b0119466_22344462.jpg

何も異常はありません。そう虫歯も歯周病もありません。実は、これが問題なのです。


b0119466_23283494.jpg

レントゲンにも何も写ってきません。虫歯や歯周病ではないのです。メンテナンスは確実に虫歯、歯周病を予防してくれています。

 当初は、さすがに当てずっぽうでは、この歯を削ることができず、咬み合せの微調整をして経過観察としました。しかし、症状は、どんどん強くなるばかりでした(汗)。

 翌2011年2月、とうとうあきらめて神経を取りました。結果は・・・・、痛みの原因は、歯の咬み合せの力により、健康な歯にヒビが入っていたのです。
b0119466_23443376.jpg

ピシッとヒビが入っているのが写真で判ります。

 神経を取った後、ヒビは歯科用レジンで接着し、型枠をはめるように金属でかぶせました。
b0119466_23523928.jpg

 術後は痛みも不快症状も消え、噛んだ時の痛みも無くなったため、「この歯は、いつ痛くなってもおかしくありませんよ。」、と患者様に念押しした上で、一応は治療は一段落しました。

 とりあえず、その後も不快症状は出ず、治療は成功したかに見えましたが・・・・。
しかし、2年後、レントゲンを撮ってみると・・・・。
b0119466_23543837.jpg

 ダメです。
患者様は痛くもかゆくもなく、噛んでも何にも苦痛もないのですが、ヒビが入ったところから感染を起こし、歯を支える歯槽骨が破壊され始めています。(歯の周りに見える黒い影がそれです。)

 このままでは、奥歯は、顎の骨ごとダメになってしまいます。顎の骨さえ残っていれば、まだインプラントという選択肢もあります。僕は抜歯を決意しました・・・。


 ここで、プランニングのために、改めて全体のレントゲンを見てみると・・・・・。

ふむ、もう一つの選択肢を思い出しました。歯の移植です。
b0119466_2163234.jpg

右上に、おあつらえむきの親知らずが生えています(向かって左側の黄色い丸。向かって右下の黄色い丸が、ヒビがはいった問題の歯です。)
歯科用CTを撮ってみると、サイズもなかなかぴったり合いそうです。

2013年1月 左下の大臼歯を抜歯し、同日に右上親知らずを左下に移植しました。

下は、術直後のレントゲンです。
b0119466_21374653.jpg

向かって左側の歯は無くなって、向かって右側に移植されています。
口腔内の写真です。
b0119466_21413687.jpg

移植後、細いワイヤーとセメントかプラスティックで固定します。

約3ヶ月後。
術直後から痛みや腫れもなく、順調に経過したため、3ヶ月弱にて固定ワイヤーを除去しました。
b0119466_21454248.jpg

移植した歯は、グラグラ動くことなく、しっかり生着しています。
 
 レントゲンです。
b0119466_21464418.jpg

まだ術後3ヶ月弱なので、黒い影は残っていますが、移植直後よりは、あきらかに顎の骨が回復してきています。
今日現在では、まだかぶせてはいませんが、もう2~3ヶ月ほど経過をみた後、補綴をする予定です。

 この症例には、現在の歯科治療に関する多くのエッセンスが含まれている気がします。
まとめてみます。

1.メンテナンスにより、虫歯と歯周病は確実に予防でき、その方たちは将来、まちがいなく健康な多くの歯を持って、生涯暮らすことができる、ということ。(25年間、ほとんど虫歯にならなかった人が、その後の20~30年間で、何本も一気に歯が悪くなって抜くということは、通常起こりません。)

2.逆に咬合の問題は、虫歯と歯周病と同等、あるいはそれ以上に、今後、歯の健康を守る上で、重要なリスクファクターになってくる、ということ。(歯ぎしり、顎関節症、歯の破折など、咬合のトラブルが急増しています。)

3.歯の破折、またはヒビが入った歯は、多くの症例で予後不良。すなわち長持ちしません。
自覚症状がない場合は、説明に苦慮しますが、後々の顎の骨の破壊などの被害を十分に考えて、慎重な経過観察と時には大胆な処置も必要だと思います。

4.移植はドナーとレシピエントが適合して初めて成り立つ治療ですので、いつでも、誰にでも、どんな症例にでも適用できる訳ではありません。しかし、移植が行われた症例では、順調に回復し、長期間機能したことが多数報告されています。また、同じ患者様内で行われますので、免疫の問題や拒否反応が起こることもありません。条件さえ合えば、安易にインプラントを選択するまえに、十分検討に値する治療だと思います。



 平成25年8月17日 補足 
 移植より6ヶ月経過しましたので、レントゲン検査をいたしました。
左下、奥、骨の中にあった影がきれいに消えています。移植は成功と言えそうです。
b0119466_171332.jpg

 術後の口腔内の写真です。型を取って、クラウンをかぶせました。
b0119466_1744495.jpg

  ここまでくると、もう普通の歯と同じです。
 この患者様には、もう歯を噛み割ることがないように、保護用のマウスピースを作製し、使ってもらうことにしました。あとは、しっかり毎日の歯磨きをがんばってもらい、メンテナンスをしていくだけです。

 今回は、タイミング良く、移植を行い成功させることができました。インプラントは、視野に入っていましたが、選択することなく済みました。ほとんどを保険診療で済ますことができましたので、大変喜んで頂きました。

 現在は、歯を残すための歯科技術は、長足の進歩をとげています。
安易にインプラントを選択するまえに、他に可能な治療がないか、今後とも考えさせる症例となりました。

 参考■虫歯治療の奥の手-移植という選択-
by healthcarenews | 2013-08-17 16:37 | 歯の外傷(ケガ)・移植・再植

あるクリスマスイブの出来事~歯の外傷~

 今回は、2010年12月24日、クリスマスイブの午後に起きた出来事の話です。

 まずはレントゲンをご覧下さい。
b0119466_1911488.jpg

黄色い丸の中、歯が2本ありません。

 患者様は、当時7歳の男の子。自宅で遊んでいて、階段から落ちて口を強打し、生えたばかりの下の永久歯の前歯2本が、抜け落ちてしまいました。

 階段の下は血まみれ。子供も口から、だらだら血を流しながら、抜けた2本の歯はお母さんが手にしっかり握りしめて、まさに血相を変えて飛び込んで来られました。

 ですから、初診時の口の中の写真は、今回はありません。
お母さんも完全にパニクってしまっていますし、こちらも痛がっている子供の口の中の写真を撮るような、悠長なことをしている暇はありません。処置は一刻を争います。

 その時いらしていた患者様にはおわびをして、応急処置で済ませ、スペースを開けます。
そしてまず、お口の中以外に大きなケガがないのを確認してから、抜けた歯を、冷やした滅菌生理食塩水に浸け、洗浄と冷却をします。冷やしておくと組織の破壊を遅くすることができるからです。

 それから、傷の中に折れた歯の根っこが残ってないか、レントゲンを撮ります。これが最初にお見せしたレントゲンです。

 幸い、根っこは折れていないようでしたので、麻酔をして、抜けた傷口を生理食塩水で良く洗浄し、抜けた歯を元通りに復位し、傷口を縫合後、ワイヤーを曲げて、歯をつないで固定をします。細菌の感染が無ければ、歯の移植ができるのと同様、歯は意外とくっつくのです。若い生命力に期待したいと思います。

 下は、術直後。出血も止まったので、全体の大きなレントゲンを撮らせて頂きました。抜けた2本は、大体、正常な隣の歯と同じ位置に植え直しできています。横に走る白い線は、固定用のワイヤーです(黄色い丸内)。
b0119466_1922032.jpg

麻酔はまだ効いていますが、出血も止まり、痛みも取れて、男の子はケロリとしています。
お母さんは、ホッとしたのか、体の力が抜けて一言。「もう、なんてクリスマスでしょ!」。

 下は術後3週間後の写真です。年が明け、縫合した糸も抜いて、傷口もやや落ち着いてきたところで、初めてお口の中の写真を撮らせていただきました。後は待つだけです。(上の歯は、ケガで抜けたのではありませんよ。まだ生えてないだけです(笑)。)
b0119466_19335016.jpg

 術後1ヶ月 レントゲンを撮ってみました。
ケガをしたところで、歯の根っこに段差ができています。根っこは成長はしているみたいですが、うまく生着するでしょうか?
b0119466_1922211.jpg


 下は術後2ヶ月。ワイヤーを除去します。これ以上固定すると、歯の成長の邪魔になるからです。ドキドキしましたが、とりあえず無事に付いているようです。
b0119466_19373138.jpg

 その時の、レントゲン写真です。ポロリと、歯は取れてはきませんでしたが、段差は前より大きくなったみたい?このまま成長が止まるのでしょうか?心配です。
b0119466_19204353.jpg


 術後3ヶ月目のお口の中の写真です。時々、歯ぐきが腫れて、ひやりとさせますが、だんだん歯肉も安定してきました。
b0119466_19443813.jpg

 
 術後5ヶ月目のレントゲン。段差は残っていますが、あきらかに歯が成長を見せています。
どうやら成功のようです。
b0119466_19241697.jpg


 術後7ヶ月目のレントゲン写真とその下はお口の中の写真です。歯も問題なく伸びてきて、根っこも順調に成長しています。全体としての歯の形が完成してきました。(上の歯も生えてきました。)
b0119466_19244215.jpg
b0119466_1941266.jpg



 術後9ヶ月目の全体のレントゲン写真です。前歯の永久歯4本が、ほぼ同じ形で成長してきています。ケガによる障害や、後遺症は今のところ見られません。そろそろ、ひと安心かなあ。
b0119466_19243628.jpg


 下は、術後1年6ヶ月後の口腔内写真です。
b0119466_19411892.jpg

下の前歯4本、上の前歯も4本、大体そろってきました。
ケガした歯にも、痛みはもちろん変色や動揺もなく、普通に噛めて機能しています。
あー、良かった良かった(^_^;)。

 クリスマスに思わぬトラブルに見舞われた患者様でしたが、今回はなんとか無事に2本の歯を守ることができました・・・。ただ、実際のところ、一度大きな外傷を経験した歯は、のちのち思わぬ転帰を取ることもあります。幸い、この子は、このあとも定期的なメンテナンスをしっかり続けてくれています。今後とも注意深く、この歯を見守っていきたいと思っています。

 
 最後になりますが、この話には後日談があります。
実は、この男の子には、アトピー性皮膚炎があったそうです。お母さんは必死になって、毎晩風呂に入れ、ゴシゴシ洗ってたのに、洗っても洗ってもアトピーは治らなかったそうです。
 ところが、このケガで、お母さんは怖くって、ケガしてから1週間、お風呂に入れなかったそうです。
そしたら、ケロッとアトピーが治ったそうです!・・・・・・・・洗いすぎだったんですねー(笑)。

 実は、これがお母さんに対するクリスマスプレゼントだったんですねー。
ほんっとに良かった(笑)!

 
by healthcarenews | 2013-05-08 19:48 | 歯の外傷(ケガ)・移植・再植

虫歯治療の奥の手 - 移植という選択 -

 この症例が、どのカテゴリーに入るのか、当初おおいに悩みました・・・。
きっと虫歯治療の奥の手・・・うっちゃり技でしょう。今回のテーマは「歯の移植」です。

 患者様は40代女性。
左下奥歯が痛いと来院なさいました。
当初、他院にかかっておられましたが、いまいち意見が噛み合わず当院へ・・・。
 初診時の写真です。
b0119466_233941.jpg

 左下奥から2番目、いわゆる12歳臼歯(第2大臼歯)に大きな虫歯ができています。その奥からは親知らずも顔を出しています。その周辺の歯肉も炎症を起こして腫れて、見るからに痛そうです。次はレントゲン写真です。
b0119466_22253217.jpg

 ううむ、奥から2番目の歯に、見事な大きな穴が開いています。中はボロボロで、残念ながらこの歯は抜かなければなりません。
 しかし、ここで問題です。抜くにしても、奥の親知らずが引っかかって、そのままでは簡単に抜けそうもありません。この親知らずも、ななめに低い位置に半分埋まっているため、このままでは使い物になりません。
 こんな場合、一番簡単な方法は、2本とも抜くことです・・・。しかし、そうすると、この患者様は、奥歯を2本、いっぺんに失うことになります・・・。
 前の歯科医院と意見が合わなかったのも、このあたりが原因かもしれません。

 さて、どうしたものか・・・・。思案しながらレントゲン写真を眺めていましたが、ふともう一つの選択肢を思い出しました・・・・・移植です。

 よく見ると、この患者様の場合、親知らずと第2大臼歯の歯の形がよく似ています。(第1大臼歯はまったく形が違います)
根の部分の、骨の形さえ合えば、歯は植え替えても結構くっつくものなのです。
虫歯治療の奥の手、裏ワザ、うっちゃり技、呼び名はなんでも、とりあえず、親知らずを、虫歯になった第2大臼歯の部分に植え替えることにしました。

 ここで、患者様には、しっかりカウンセリング。
移植は有効な選択肢ですが、必ず生着するとは限りません。無駄手間になる可能性もあります。
しかし、同時に2本抜歯になるよりは、試してみる価値のある治療、ということで納得してもらいました。

 念のため、3DCTも撮影。歯の形を立体的に確認します。炎症は大きいですが、骨の形は合いそうです(上側の黄丸)。ついでに下顎の大動脈と神経の位置も確認しておきます(下側の小さな黄丸)。手術中これを傷つけると大変なことになります。しかし、十分距離があるので、大丈夫そうです。この安全確認がCTの良いところです。
b0119466_23404916.jpg


手順としては、まず親知らずの抜歯。これを抜かないと第2大臼歯がきれいに抜けません。抜いた親知らずは
冷やした滅菌生理食塩水の中で一時保存です。(残念ながら、一刻を争うため、抜いた親知らずの写真はありません・・・。)親知らずを保存したら、すぐに第2大臼歯を抜歯。抜いた第2大臼歯の跡に、先ほど抜いた親知らずを移植します。なるべく根っこを触らないように、感染をおこさないように、ていねいに移植していきます。

 直感どおり、まるで、あつらえたかのように、親知らずが第2大臼歯の位置に収まりました。
術直後のレントゲン写真です。移植歯を固定するためのワイヤーが白く写っています。まあギプスみたいなものです。
b0119466_2341257.jpg

 抜いた第2大臼歯です。中もボロボロでした。
b0119466_2339154.jpg


 移植をすると、中の神経は死んでしまうため2週間ほどして、根っこの治療をいます。
そのころの口腔内写真です。初診時の写真と比較してみて下さい。
b0119466_23392739.jpg


 根っこの治療終了時のレントゲン写真。経過は良好に推移しています。
b0119466_23411383.jpg


 移植が成功するためには、いろいろな条件が合う必要があります。必ずしも、万能の治療法ではありませんが、今回のケースの場合は、条件がドンピシャはまり、喜んで頂ける治療になったと思います。
今後とも、綿密な経過観察を行っていきたいと思います。
by healthcarenews | 2011-10-03 01:01 | 歯の外傷(ケガ)・移植・再植

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


by healthcarenews
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite