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カテゴリ:美容治療・メタルフリー治療( 20 )

「メタルフリー」へと続く道・Part15 メタルボンドセラミッククラウンについて

 今夜は「メタルフリー」へと続く道、の第15夜。
今夜のテーマは「メタルボンドセラミッククラウン」です。「メタルフリー治療」ではありませんので、まあ補完記事ってとこですね。

 前回の症例集にも出てきますが、当院では臼歯部の審美・美容治療には「メタルボンドセラミッククラウン」をよく用いています。
 これは、貴金属の金属フレームに、セラミックを何層にも色合いを分けて焼き付けて歯のように彫刻したクラウンです。
時には、下の写真のように、色むらや皺、着色やひび割れまで再現します。
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 術前写真です。
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術後です。
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 まあ、「メタルボンドセラミッククラウン」について詳しくは、過去に書いてますのでこちらをご覧ください。

 「メタルフリー」を目指しているにもかかわらず、僕の症例にはたびたび「メタルボンドセラミッククラウン」が出てきます。
これは、実は悩ましい選択の結果なのです(汗)。

 理想を言うなら、クラウンもすべてを金属レスにして「ジルコニアオールセラミッククラウン」を入れたいところです。
 しかし、やはり臼歯部、特に大臼歯部の強い力のかかるところには、オールセラミッククラウンは割れるリスクが出てきます。割れないように強度を上げようとすると、セラミックの厚みを増やすことが必要になり、今度は「削りすぎ」になるのです。

 その点、メタルボンドセラミッククラウンは、それなりの欠点はあるものの、強度と審美性、価格、清掃性、いろんな性能がバランス良く保たれています。
金属フレームは入っていますが、絶対量が少ないうえ、貴金属を用いていますので、金属アレルギーの発現も少ないと思われます。
 これが僕が「メタルボンドセラミッククラウン」を臼歯の審美治療の第一選択にする理由なのです。(前歯はオールセラミッククラウンが第一選択です。)
 もちろん、もともと金属アレルギーがある患者様には、すべての歯にメタルフリー治療が第一選択になります。

 芸能人が、仕事のために歯を全部削ってオールセラミックを入れるのはやむを得ないことだと思っています。
しかし、一般の患者様には、なにより安心して長期間使っていただけることが第一と考えています。
必要な治療を効率よく・・・。これが僕が治療をプランニングする上で心掛けている事なのです。



by healthcarenews | 2020-02-02 00:52 | 美容治療・メタルフリー治療

「メタルフリー」へと続く道・Part14 審美・美容治療症例集

  今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリーへと続く道」の第14夜。
2017年12月にスタートした美容治療・メタルフリー治療の特集は、なんと2年以上の歳月をかけて(;^_^A、やっと終盤へと近づいて参りました。
その回を数えること14回・・・。今夜は症例集です。

 当院には、お口の中全体にわたり、メタルフリー治療や、審美治療を行った症例が多数ありますが、とりあえず一部をご紹介しておきましょう。

症例1
53歳、女性。
術前です。
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術後です。 
ダイレクトボンディング9本、セラミックインレー1本、メタルボンドセラミッククラウンを1本入れています。
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臼歯部の術前、術後を拡大してみましょう。
右上術前です。
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右上術後です。
ダイレクトボンディングが2本、セラミックインレーが1本入っています。
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左上術前です。
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左上術後です。
ダイレクトボンディングが2本入っています。
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右下術前です。
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右下術後です。
ダイレクトボンディング2本、メタルボンドセラミッククラウンが1本入っています。
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左下術前です。
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左下術後です。
ダイレクトボンディングが3本入っています。
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 ダイレクトボンディングの醍醐味は、その本物の歯そっくりの圧倒的なリアル感です。
残念ながら、右下1本はすでに銀のクラウンが入っていたため、セラミッククラウンになりましたが、ほかの銀歯は、セラミックインレーとダイレクトボンディングでリアルな質感を取り戻しました。
 金属は、温度を敏感に通すため、金属を外し精密な接着修復を行う事で、長い間悩まされていた「冷たいものがしみる」という不快症状もキレイに無くなったそうで、大変喜んで頂けました。


症例2
60歳、女性。
術前です。
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術後です。
ダイレクトボンディング3本、セラミックインレー3本、メタルボンドセラミッククラウンを4本入れています。
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右上術前です。
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右上術後です。
ダイレクトボンディング1本、セラミックインレー1本入っています。
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左上術前です。
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左上術後です。
メタルボンドセラミッククラウンが2本入っています。
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右下術前です。
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右下術後です。
ダイレクトボンディング1本、メタルボンドセラミッククラウンが1本入っています。
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左下術前です。
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左下術後です。
セラミックインレー1本、メタルボンドセラミッククラウンが1本入っています。
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症例1に比べると、大きな銀歯やクラウンが多く入っていたため、そのぶんセラミッククラウンやセラミックインレーの割合が多くなった症例です。
セラミックは、やや変色した歯などには色が合わせにくい欠点があるのですが、その分丈夫で、寿命も長いので症例に応じて使い分けてます。

症例3
57歳、女性。
術前です。
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術後です。
ダイレクトボンディング12本、メタルボンドセラミッククラウンを2本入れています。
なお金属部分が多く見えるセラミッククラウンは、今回の治療以前に行った古いメタルボンドセラミッククラウンです。
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右上術前です。
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右上術後です。
ダイレクトボンディング2本、メタルボンドセラミッククラウンが1本入っています。
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左上術前です。

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左上術後です。
ダイレクトボンディング1本、メタルボンドセラミッククラウンが1本入っています。
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右下術前です。
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右下術後です。
ダイレクトボンディングが4本入っています。
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左下術前です。
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左下術後です。
ダイレクトボンディングが4本入っています。
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 この患者様には、上の歯に3本、古いメタルボンドセラミッククラウンが入っています。
写真に撮ると、その部分が目立ってしまうのですが、これは当院で15年ぐらい前に入れたものです。
 当時はセラミックの破折のリスクを減らすため、目立たない上の歯にはこのようなメタルボンドセラミックを入れていました。
もう現在ではこんな治療しないですねー(;^_^A。セラミックの性能と強度が上がったため、審美重視で白くしていきます。
 この部分、気にはなるのですが、まだ問題なく経過しているので、今回はそのままにしてあります。


症例4
56歳、女性。
術前です。
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術後です。
今回は下顎だけ、審美治療を行いました。
ダイレクトボンディング4本とメタルボンドセラミッククラウンを1本入れています。
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右下術前です。
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右下術後です。
ダイレクトボンディングが2本入っています。
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左下術前です。
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左下術後です。
ダイレクトボンディングが2本、メタルボンドセラミッククラウンが1本入っています。
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 金属アレルギーの治療を目的に、メタルフリー治療としてお口の中の金属を減らすためには、上下の歯全体で治療が必要ですが、それなりにコストがかかります。
 審美治療として考えるなら、まずは、よく目立つ下顎の歯の審美修復だけでも、かなり感じが変わります。パッと見た時の口元の若々しさが全然変わり、明るく清潔に見えるのです。

症例5
39歳、女性。
術前です。
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術後です。
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ダイレクトボンディング2本、セラミックインレー6本、メタルボンドセラミッククラウン2本、オールセラミッククラウンが3本入っています。。

右上術前です。
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右上術後です。
セラミックインレー2本、メタルボンドセラミッククラウンが1本入っています。
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左上術前です。
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左上術後です。
ダイレクトボンディングが1本入っています。
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右下術前です。
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右下術後です。
セラミックインレーが2本入っています。
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左下術前です。
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左下術後です。
セラミックインレーが2本、メタルボンドセラミッククラウンが1本入っています。
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前歯
術前です。
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術後です。
オールセラミッククラウンが3本入っています。
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 ざっと5症例ご覧いただきましたが、今回見ていただいた症例は、だいたい40代~50代前後の女性ばかりです。
実は、その年代の患者様たちは、まだ予防歯科が確立していない時代、虫歯というだけで無造作に歯を削り金属を入れる治療が行われていた時代に治療を受けた世代なのです。
 そして、いま、その世代の多くの女性が、「銀歯」で悩まれています。
 
 精密接着治療は、いま、その悩みを解決することができます。
大きく削って白い歯でかぶせるのではなく、小さく最小限に削って、白い歯に回復します。そして自信と若さも回復します。
「失われた歯を本当の意味で取り戻す・・・。」
これは審美治療、メタルフリー治療の大きな目標のひとつでもあるのです。


by healthcarenews | 2020-01-08 12:05 | 美容治療・メタルフリー治療

「メタルフリー」へと続く道・Part13いわゆる「スキっ歯」のダイレクトボンディング

 2020年最初のヘルスケア通信は、いわゆる「スキっ歯」のダイレクトボンディングについてです。
 いわゆる「スキっ歯」(あまり良い表現ではありませんが・・・(;'∀'))は、歯と歯の間に「スキ間」が開いている歯です。歯科的には「歯間離開」と呼ばれています。

 その中でも特に問題になるのは、上の前歯の真ん中にスキ間が開いている歯です。
言葉だけではピンと来ないかもしれませんので、まずは写真を・・・・。
「メタルフリー」へと続く道・Part13いわゆる「スキっ歯」のダイレクトボンディング_b0119466_21413812.jpg
まあこんな歯です。

 実は、この「スキっ歯」、以前は意外と治療が難しい歯でした。
 一番の王道は、「矯正治療」ということになりますが、矯正するとなると、前歯2本だけとか4本だけ、とかではなく全体的に動かさないといけない場合が多く、費用的にも時間的にも非常に負担の大きいものになりました。

 一般的にはクラウンでかぶせて「スキ間」を埋めてしまうのが、一番手っ取り早い方法で、以前はよくそういう治療が行われていました。
 しかし、そのためには、その歯全体を削ってしまわねばならず、たとえそれが健康な歯であっても、時には神経を取らないといけなくなるような治療になることもありました。

 また上の症例の写真のように、真ん中のスキ間が大きい場合、2本だけかぶせても2本だけ「大きな歯」となってしまうため、歯の大きさのバランスを取るためには最低前歯4本をかぶせる必要がありました。そうなると、最悪のケースでは、健康な歯を4本削り、神経を取り4本セラミックでかぶせる、というこれまた患者様にとって非常に負担が大きい治療になりました。

 さて、現在では接着治療が進化したおかげで、このような歯にも、ダイレクトボンディングを用いることで、歯をほとんど削らない、低コスト低リスクの治療が行えるようになりました。

 まずは症例をご覧ください。
 症例1、患者様は44歳女性。
術前、正面にスキ間が開いています。
「メタルフリー」へと続く道・Part13いわゆる「スキっ歯」のダイレクトボンディング_b0119466_22375419.jpg
ずっと気にはなっていたそうですが、わざわざ健康な歯を削るほどでもなく、長い間放置されていました。

 下の写真は術後です。
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ほとんど歯は削ることなくスキ間の部分だけダイレクトボンディングにて審美治療しました。

 術前右側から見ると
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術後右側からです。
「メタルフリー」へと続く道・Part13いわゆる「スキっ歯」のダイレクトボンディング_b0119466_22472191.jpg
 正面から2番目の歯も、古いプラスチックが変色していたためスキ間を埋めて再修復を行いました。
正面2本は、1回の治療、約2時間で治療終了となりました。
長年の悩みが簡単に解決できて、患者様にすごく喜んでいただきました。

 症例2、27歳女性。
術前です。
症例1に比べると、ややスキ間が大きい症例です。
「メタルフリー」へと続く道・Part13いわゆる「スキっ歯」のダイレクトボンディング_b0119466_22565367.jpg
 これだけ大きなスキ間になると、ちょっとひと工夫必要になります。
右から見たところと・・・
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左から見たところです
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 これも言葉が悪いですが、いわゆる「出っ歯」気味の部分もあるため、このままではなかなか審美回復は難しい症例です。 
 まずは矯正治療を提案したのですが、やはり費用と治療期間がネックになって却下・・・。
4本をセラミッククラウンでかぶせる、という案は僕が却下。20代で健康な歯を4本削る治療は、これから20年後を考えた時どうしても選択できませんでした。

 悩んだ末に、プチ矯正とダイレクトボンディングを用いて審美回復することにしました。
まず正面の歯のスキ間を詰めます。この部分のスキ間は美しい歯肉にも影響するため、矯正で回復したほうが、より審美的だからです。

 正面の歯に矯正用のゴムをかけます。
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徐々にスキ間を詰めていきます。
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まず正面のスキ間をプチ矯正で回復。
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同時に少し歯を内側に入れ出っ歯を改善し、歯のねじれも回復しておきます。

 術後です。
矯正によって開いた左右のスキ間に前歯4本にダイレクトボンディングをすることで、ほとんど歯を削ることなく審美回復をしました。
正面
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右側
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左側です。
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 着色や白斑もリアルに再現しています。
期間は矯正移動も含めて約4か月。
費用は、セラミックでかぶせる場合の2分の1で済んでいます。矯正治療と比べると、3分の1から4分の1で済んでいると思います。
 改めて術前と較べて見てください。
「メタルフリー」へと続く道・Part13いわゆる「スキっ歯」のダイレクトボンディング_b0119466_22565367.jpg
 ただし、ダイレクトボンディングはベースはプラスチックですので、セラミックに比べると欠けたり変色したり、という可能性は高くなります。
しかし、これも補修が簡単に行う事ができますので、これはどちらのリスクを選ぶか、という皆様の判断になります。

 さて、最後に改めて冒頭の症例の術前術後に行きたいと思います。

 症例3、59歳男性。
 術前です。
正面の歯のスキ間が大きく、このままダイレクトボンディングをしても、正面の歯2本だけ「うちわ」のような大きな歯になることを想像して頂けますでしょうか?
「メタルフリー」へと続く道・Part13いわゆる「スキっ歯」のダイレクトボンディング_b0119466_21413812.jpg
そのため、このケースもプチ矯正を併用し、前歯4本のスキ間をバランス良く調整した上で、4本にダイレクトボンディングを行ってあります。

 術後です。
前歯4本が違和感なく並んでいるのが見ていただけると思います。
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そして術後2年後。
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 安定して経過しています。
ダイレクトボンディングは、日にちが経つほど色がなじみ、どこを詰めたのか自分でも分からなくなることを時々経験します。



by healthcarenews | 2020-01-05 22:08 | 美容治療・メタルフリー治療

「メタルフリ―」へと続く道・Part12 オールセラミッククラウンについて

 今夜のヘルスケア通信は、「オールセラミッククラウン」についてです。
 今まではダイレクトボンディングや、セラミックインレーなど、小さなメタルフリー修復を中心に紹介してきましたが、いよいよ終盤に入ってきて、今回は歯をすっぽりとかぶせてしまう「クラウン」の紹介です。

 「クラウン」とは、神経を取ってしまった場合などに、歯の強度を保つために歯全体をかぶせてしまう治療法です。

 従来は、保険診療では、いわゆる「銀歯」と言われる、歯全体を「金属(メタル)」で包むものが主流でしたが、最近では、適用に制限はあるものの、CADCAMを用いたプラスチックのクラウンも保険でできるようにはなってきています。

 しかし、プラスチックであるため、強度や変色耐久性、色調、適合性、清掃性など難点が多く、仕上がり精度や色ツヤなどの審美性、長期的な耐久性、衛生的である点など、やはりその性能は圧倒的にセラミックが勝っています。

 オールセラミッククラウンに使われるセラミックスは、実は様々な種類があるのですが、当院では、大きく分けて2種類、セラミックインレーにも用いている「E-max」と呼ばれているセラミックスと、ジルコニアという白い強固なセラミックフレームを用いてクラウンの強度を上げている「ジルコニアオールセラミッククラウン」があります。

 とりあえずは症例写真をご覧ください。

 まずは「ジルコニアオールセラミッククラウン」の症例です。
患者様は42歳、女性。
前歯4本をキレイにしたいと言う事で、ジルコニアオールセラミッククラウンを選択しました。

術前です。
「メタルフリ―」へと続く道・Part12 オールセラミッククラウンについて_b0119466_00330109.jpg
術後です。
「メタルフリ―」へと続く道・Part12 オールセラミッククラウンについて_b0119466_00331574.jpg
 もう少し「ジルコニアオールセラミッククラウン」の症例を詳しく見てみましょう。
改めて術前写真をご覧ください。
正面写真です。
「メタルフリ―」へと続く道・Part12 オールセラミッククラウンについて_b0119466_00330109.jpg
右側です。
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左側です。
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上の前歯を裏側から見たところです。
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 前歯4本には、先程述べた保険の「金属フレーム付プラスチック」のクラウンが入っています。
経時変化により前歯のプラスチックは劣化して変色してしまっています。
歯肉も下がって、金属のフレームが黒く見えてきています。
保険診療の金属フレームは残念ながら適合精度も悪く、スキマにバイ菌がたまって歯肉炎も起こしてしまっています。
こうなってしまうんです!

 術後写真です。
正面です。
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右側です。
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左側です。
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裏側から見たところです。
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 この患者様の前歯は、すでに神経が取ってあり、金属の土台が入っていました。
そのため、下地の土台の色が透けて見えないように、光の透過性が無い、白いジルコニアフレームを入れてあります。
 奥歯の銀歯もセラミッククラウンに替えて、ホワイトニングなども行っていますので、全体的に、明るい色調に向上しています。

 まだまだ仮歯の部分もあるのですが、やはりクラウンが入っている部分の「歯肉の状態」を見て頂けたらと思います。
 セラミックは、ガラスと同じような表面性状を持っているため、汚れが付きにくく、また落としやすいという特性を持っています。
そのため清掃がしやすく、バイ菌も付きにくいため、歯肉の炎症が治まり、「歯肉の状態」がものすごく良くなります。

 改めて全体像の術前術後を見てください。
術前全体像です。
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術後全体像です。
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 もう少し症例をご紹介しましょう。
次は、「E-maxオールセラミッククラウン」のケースです。
「E-maxオールセラミッククラウン」は、フレームを使わずに作られたセラミッククラウンです。
フレームが無いので強度がやや落ちますが、そのぶん透明感が高く非常に美しい仕上がりになります。

 芸能人が入れている歯でも、明らかに白い歯は「ジルコニアセラミック」。
私たちプロが見ても天然の歯と見分けがつかないような歯は、「E-maxオールセラミッククラウン」で作られている可能性が高いです。

 症例です。患者様は27歳女性。
自転車で転倒して前歯を折ってしまいました・・・。
術前です。
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術後です。
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天然の歯と変わらない色ツヤと透明感を回復しています。

 今度は改めて「ジルコニアオールセラミッククラウン」の症例です。
患者様は47歳、男性。
術前です。
「メタルフリ―」へと続く道・Part12 オールセラミッククラウンについて_b0119466_00374941.jpg
 左側の一番正面の前歯(向かって右側)が変色歯。
右側(向かって左側)の前歯が金属フレームのメタルボンドセラミッククラウンでかぶせてありました。
クラウンの下には金属の土台が入っていて、この治療のために土台は外しましたが、歯そのものも黒く変色してしまっていました。

 変色歯、金属土台の上にかぶせるセラミッククラウンは、原則として、光と色を通さない「ジルコニアオールセラミッククラウン」の選択になります。

術後です。
「メタルフリ―」へと続く道・Part12 オールセラミッククラウンについて_b0119466_00380203.jpg
 土台の色や歯牙の変色をカバーするために、光を通さないジルコニアオールセラミッククラウンで修復しました。

 もう1症例、「ジルコニアオールセラミッククラウン」の症例です。
 39歳、女性。
お口の中全体を産休を利用して審美修復をしたい!というご希望でした。
とりあえず、ここでは前歯3本、正面の歯2本と左上の2番目の歯の審美修復を見ていただきます。

術前です。
「メタルフリ―」へと続く道・Part12 オールセラミッククラウンについて_b0119466_00434786.jpg
 正面3本、以前に神経がとってある歯で、やや変色しています。
また、古いプラスチックがつぎはぎに詰めてあって、そのうえ、歯の表面性状もザラザラで、しかも歯が角ばってて・・・、少々武骨な印象を与えます(失礼しましたm(__)m)。

 術後です。
やはり、土台となる歯の色が変色していますので、光を通さない「ジルコニアオールセラミッククラウン」を選択しました。
「メタルフリ―」へと続く道・Part12 オールセラミッククラウンについて_b0119466_00440639.jpg
 歯の色調はもちろんの事、やや歯の長さを短くし、角を丸めて女性的な歯の形に修正しました。

ここでも、やはり、特筆すべきは、修復した歯の歯ぐきの部分の美しさです。

「まるで、本物の歯が歯ぐきから生えているみたい!!!」

 これが、この患者様のオールセラミッククラウン装着直後に歯を見ていただいたときの最初の一言でした。
オールセラミッククラウンならではの、歯ぐきとの「なじみ」の良さを、女性ならではの直観的な言葉で表現してくれました。
もちろん、歯の色調や形そのものにも大変満足していただきました。
「もっと早くしておけば良かった・・・・。」これも率直な感想でした・・・(;^_^A。

透明感があり、より自然な歯に近い「E-MAXオールセラミッククラウン」と 強度が高く変色歯に強い「ジルコニアオールセラミッククラウン」

一般的には強度的に安心な「ジルコニアオールセラミッククラウン」を使うことが多いのですが、両者の使い分け、細かい点は症例によりケースバイケースになります。

 前歯の審美不良にお悩みの方は、まずは一度ご相談してみてください。



 



by healthcarenews | 2019-12-08 00:27 | 美容治療・メタルフリー治療

「メタルフリー」へと続く道・Part11 ダイレクトボンディングのここがイイ!

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道、の第11夜。
タイトルは「ダイレクトボンディングのここがイイ!」です(^^;。まあ、テーマはダイレクトボンディングの優れている点についてですね。

 ダイレクトボンディングの一番のメリットは、何と言ってもPart9でご紹介したように、「本物の歯そっくり」のリアルな審美修復です。
 しかし、それ以外にも「ダイレクトボンディングならでは!」という大きなメリットがあります。今夜はそれをご紹介しましょう。
サブタイトルは、「神経に近い、深い虫歯にこそダイレクトボンディング!」

 ダイレクトボンディングは、直訳すると、「直接接着する」という意味です。それは型を取らずに歯を口の中で作る、という事で、最新の接着剤とプラスチックの発達で可能になった最新の治療法と言えます。
 そして、ダイレクトボンディングは、深い虫歯で神経に近い症例や、型が取りにくいような場所の治療に最適の治療法なのです。

 まずは、症例をご覧ください。
37歳、女性。大臼歯に深い虫歯を作ってしまいました(下写真)。
 
「メタルフリー」へと続く道・Part11 ダイレクトボンディングのここがイイ!_b0119466_23332105.jpg
 レントゲンを撮ってみると、もう神経に届きそうなくらい深い虫歯になっています(下写真黄色矢印)。
ひと昔前なら、「後から痛みが出るから、もう神経取ってかぶせてしまいましょうねー。」って言われる事まちがいなしの歯でした。
「メタルフリー」へと続く道・Part11 ダイレクトボンディングのここがイイ!_b0119466_23354521.jpg
 現代の接着剤は性能が本当に良くなって、かなり深い虫歯でも「術前に痛みが出ていなくて」、「正確な接着治療ができれば」神経を取らずに治療できる可能性があります。

 術後をご覧ください。
第一大臼歯を、ダイレクトボンディングで審美修復しました(下写真)。
「メタルフリー」へと続く道・Part11 ダイレクトボンディングのここがイイ!_b0119466_23385583.jpg
 術後レントゲンです。
もうほとんど神経に接触していますが(黄色矢印)、現在の所、知覚過敏や疼痛、咬合痛など不快な症状は一切出ていません。
「メタルフリー」へと続く道・Part11 ダイレクトボンディングのここがイイ!_b0119466_23394709.jpg
 現代の接着治療は、基本を忠実に守れば、こういう治療結果が可能になります。

 もちろん、ここまで深い虫歯ですので、後から痛みが出る事は十分に考えられます。しかし、虫歯はもう取ってちゃんとプラスチックで精密接着してありますので、今度は痛みが出た時に、歯に小さな穴を開けてそこから神経を取って、またその穴をプラスチックで詰めれば、かぶせる事無く簡単に治療を終える事ができます。
ダイレクトボンディングは、その治療後のフォローアップ性がすごく良好な治療なのです。

 はじめに神経を取ってしまってかぶせてしまったら37歳で銀歯!、そしてセメントの寿命はうっかりすると10年程度・・・。
いったんダイレクトボンディングで神経の延命を行った歯と比べてみたら、その10年後、20年後の歯の健康度とQOLには大きな違いが表れてくるのです。


by healthcarenews | 2019-05-19 00:40 | 美容治療・メタルフリー治療

「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道、の第10夜。セラミックインレーについてです。

 何度も言うようですが、現在、僕が力を入れているのは「精密接着」を用いたメタルフリー修復です。
 その中でも、虫歯治療の「最初の一歩」として考えておいて頂きたいメタルフリー修復に、高強度プラスティックを「直接接着」して審美修復を行う「ダイレクトボンディング」と、型を取って、金属の代わりにオールセラミックを精密接着する「セラミックインレー」があります。

 「ダイレクトボンディング」と「セラミックインレー」、それぞれ長所、短所がありまして、それに応じて、症例に合わせて使い分けている訳ですが、そのあたりの細かい話はまた改めてにしましょう。まずはセラミックインレーとはどんなものか症例をご覧ください。

 症例1. 52歳、女性。
下顎、一番奥の歯にメタルインレーが入っています(下写真)。
「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_23544923.jpg
例によって例のごとく、はずしてみるとこんな感じです(下写真黄色矢印)。
「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_23552071.jpg
 セラミックインレーで接着修復しました(下写真)。
「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_23553724.jpg
 セラミックインレーも、ダイレクトボンディングと同じく、天然歯と修復物の境い目がわからないリアルな修復を目指しています。


 症例2. 43歳、女性。
 他院で治療した古いハイブリッドインレーが、ひび割れ、着色をしてきたため、審美修復を希望されました(下写真矢印)。
ハイブリッドインレーは、プラスチックにセラミックの粉を混ぜて、強度を上げた審美修復で、セラミックインレーより安価で手軽ですが、ただ白い歯というだけで、透明感もツヤも無く、すぐひび割れや変色を起こすなど耐久性がありませんので、当院では現在行っておりません。
「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_23562245.jpg
 はずして見るとやはり大変な事になっています。
下の写真はハイブリッドインレーだけ外したところですが、古いセメントの下に、黒い影があります。
古い修復物を外した時は、「内部を徹底的に除去」。これが基本原則ですが、またこれが時間がかかります・・・(-_-;)。
「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_23563907.jpg
 下の写真は古いセメントと虫歯を除去した後です。まだ黒いですが、これは歯そのものの着色で虫歯ではありません。
 これを削りすぎると、後から知覚過敏や疼痛に悩まされます。染色して正確に虫歯を取ることが求められます。
「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_23565841.jpg
 術後です。セラミックインレーを接着しました。
接着を精密に行うことで、どこまでがセラミックで、どこからが歯なのか境い目がわからない修復となっています。
「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_23572109.jpg
 症例3. 52歳、女性。
下顎小臼歯と大臼歯に金属の詰め物があります。いつものメタルインレーと一部分にアマルガム充填がされています。
「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_23575192.jpg
 もう、虫歯だらけの怖い画像はパスしましょう(笑)。
下の写真は、術中、セラミックインレーの型取り寸前の写真です。
金属を外し、虫歯を取り、セラミック修復に必要な形成がほぼ済んだ状態です。

 赤矢印の部分は、小さなアマルガム充填をダイレクトボンディングを用いて「しわ」と着色を入れてリアルに充填しています。
単にセラミックインレーのテクニックだけではなく、ダイレクトボンディングのテクニックを併用することで、できるだけ削らずに、必要な部分だけ修復するMI(最小限)治療が実現できます。
「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_23581444.jpg
術後です。
「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_23584142.jpg
角度を変えてみましょう。術前です。
「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_23591402.jpg
 術後です。
鏡で撮っていますので、横向きの矢印の歯も同じ歯です。お口の中が明るく見えるのがわかります。
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 この患者様は、上下左右にわたり、セラミックで審美修復をさせていただきました。
下の写真が術前です。
「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_00223000.jpg
 術後です。

「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて_b0119466_00224123.jpg
 昔、銀歯が当たり前だった時代には、気が付かなかった違和感ですが、いざ、銀歯が無くなってみると、それが当たり前ではないことに気が付きます。

人前でたばこを吸うのが当たり前だった時代が、あっという間に変わったように、銀歯が当たり前だった時代が変わるのも、そう遠くはないと思っています。

 もう、すでに多くの銀歯やブリッジが入っている方が、メタルフリー修復を行うのは、前にも書いたようにコストも時間もかかります。
 もちろん、それを希望される患者様には全力を挙げて治療致しますが、なにより、まだ数本の銀歯しか入っていない患者様に、メタルフリー修復はお勧めしたと思います。

 メタルフリー修復は、歯を失うサイクルから脱却できる可能性を秘めた治療法です。
なるべく歯を削らない精密治療として、また金属を使わない健康的な治療として、そして違和感の少ない審美治療として、大きな価値と魅力を持っています。

 小さな虫歯だからこそ、おざなりな治療を受けずにきちんとコストをかけて修復をして、その歯を末永く大切に予防していく・・・。
これこそが、結果的に患者様の歯を将来的に長期間守ることができる、理想的な歯科治療の形ではないかと思っています。

 

 

by healthcarenews | 2019-04-22 23:59 | 美容治療・メタルフリー治療

「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリ―」へと続く道の第9夜。いよいよダイレクトボンディングの症例です。
 ダイレクトボンディングに関しては、今までも何度かご紹介していますが、改めて新しい症例も交えてお話しをしたいと思います。

 「ダイレクトボンディング」とは、一言で言うと、「虫歯の治療や歯の形態修正、形態回復を、保険外の高強度プラスティックを使って、精密に接着修復する治療法」と言えます。

 下の写真をご覧ください。
どの歯が治療された歯かおわかりになりますでしょうか?
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_23555907.jpg
 答えはこの章の一番最後で・・・(笑)。

 まずは症例をご覧ください。
 症例1. 60歳、男性。
何度も出てきますが、メタルインレーのセメントが劣化してはがれた症例です。
下は術前写真です。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00105103.jpg
 術後です(下写真)。
歯の咬み合わせの部分の溝や、しわ、着色までプラスチックで再現しています。
 マイクロスコープの8倍拡大でも、修復部と天然歯の部分の境い目がわからないぐらい精密な修復を行っています。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00133645.jpg

 症例2. 38歳、女性。
やはり、メタルインレーのセメントはがれから感染を起こした2次虫歯症例です。
術前です(下写真)。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00271941.jpg
 レントゲンで見ると、歯とメタルインレーの境い目から黒く虫歯が入っているのがわかります。(下写真黄色矢印)
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00155883.jpg

 しかし、問題はそれだけではなく、赤い線の囲みの部分、以前の治療で虫歯の深い所をプラスチックで埋めてあるのですが、その下のかなり深い部分まで虫歯が回っています(下写真赤矢印)。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00161719.jpg

 まずは、メタルインレーを外します。金属との境い目から黒く感染しています。
 内部の古いプラスチックも接着はがれを起こして浮いてしまっています。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00165828.jpg
 もちろん、古いセメントも古いプラスチックも徹底除去です。
 その上で、虫歯も染色して徹底的に除去します。下の写真では、エナメル質の部分にまだ黒い着色が残っていますが、もちろんこれも除去します。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00173929.jpg
 ダイレクトボンディングにて、左上第2小臼歯を修復しました。
 咬み合わせの溝や、着色、色むらも再現し、やはりマイクロ8倍拡大画像でも境い目のわからない精密な修復を行っています。
 隣の歯の古いプラスチック充填と比べて見て頂けたらと思います。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00144564.jpg

 症例3. 60歳男性。
 同じくメタルインレーが剥がれて脱落しました。
 前にも書いたように、メタルインレーの脱落→2次虫歯という症例は日常的に起こっています。
 一度メタルインレーとして大きく削られた歯へのプラスチック充填は、よほど注意して接着修復を行わないと、術後の咬合痛や不適合、知覚過敏が起こりやすく、想像以上に非常に難易度が高い治療になります。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00442859.jpg
 この症例も、やはり、ダイレクトボンディングによる精密接着修復をさせて頂きました。
術後(下写真)です。ちょっと見では、治療してある歯とは見えないリアルな再現をしています。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00451961.jpg
 ダイレクトボンディングは、以前に「失われた歯を取り戻す、・・本当の意味の「修復」を目指して。」と言うタイトルでご紹介したことがあります。
 その記事の通り、本物の歯そっくりな「リアル」な修復が魅力ですが、本当の価値は、前にも述べましたが、精密な虫歯除去と接着修復にあります。
精密な接着修復と、リアルな歯の再現を、1~2回の治療で一気に行いますので、ダイレクトボンディングは1回が非常に時間がかかる治療になります。
しかし、術後は本当に患者様に喜んでもらえる治療でもあります。

 さて、これまでは「1本だけの治療」の症例を拡大して、どの程度精密な修復ができているかを見ていただきましたが、実際のところ、患者様がご自分の歯をここまでの拡大で見る事はありませんし、まして他の人に(歯医者さん以外(^^;)ここまで拡大して見られることはありません。
 ですから、くどいようですが、「リアルな修復」がダイレクトボンディングの目的ではありません。その真の価値と目的は精密な接着修復にあります。
 しかし、昔の治療で無造作にたくさんのメタルインレーが入っているお口の中に、メタルフリー修復としてダイレクトボンディングを行うと、その価値は引き立ってきます。

 症例4. 58歳女性。
奥歯に3本のメタルインレーが入っています(黄色矢印)。昔はこんな治療が当たり前でした。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00482756.jpg
 ダイレクトボンディングで、すべて審美修復しました(下写真黄色矢印)。
お口の中が明るくスッキリとして、とても健康的に見えます。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00495642.jpg
 最近はデジタルテレビが良くなって、芸能人を見ていて思うのですが、お口の中の見え方で、人の印象が大きく変わる時があります。

 メタルフリー修復が、何より精密治療として、そして金属を使わない健康的な治療として、そしてお口の印象を変える審美治療として、大きな価値と魅力を備えている事をおわかりいただけたらと思います。

 さて、冒頭の写真の答えにまいりましょう。
 症例5. 49歳女性。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00023757.jpg
 答えは、奥歯2本の大臼歯にダイレクトボンディングを行っていました。
同じ角度からの術後です。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00025663.jpg
 奥歯2本だけ、真上から拡大してみましょう。
「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて_b0119466_00031931.jpg
 この患者様には、「感動した!」って言っていただけました・・。なによりの誉め言葉です(笑)。

 失われた歯を取り戻す、・・・本当の意味の「修復」を目指して・・・。
明日もまた目指して行きます。


by healthcarenews | 2019-04-16 00:18 | 美容治療・メタルフリー治療

「メタルフリ―」へと続く道・Part8 接着治療における「虫歯除去」について

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリ―」へと続く道、の第8夜。接着治療における「虫歯除去」と「前処理」についてです。

 接着治療には、その前準備としての「精密な下地の処理」がとても大切!って話は前回しました。
その前準備として挙げられるのが、

1.古い詰め物の確実な除去
2.徹底的な虫歯の除去
3.適確なエッチング、プライマーなどの前処理

となります。今夜は、その中でも1.と2.を中心に症例を交えてご紹介したいと思います。

 症例です。ほとんどがマイクロスコープによる写真ですので、見にくい所があると思いますがご容赦下さい。

症例1
 40歳、女性。左上奥歯に強い痛みがあるという事で来院なさいました。
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 診てみると、大臼歯に古いプラスチックが詰めてあり、「接着はがれ」を起こして浮いてしまっています。
 新しい充填と、古い充填が入り交じり、もう、いわゆる「つぎはぎ」の状態になっていました。
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レントゲンで見ると、矢印の部分のプラスチックの下に虫歯ができていました。
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 下の写真は、古い詰め物を少し外したところです。古いプラスチックの下に穴が開いています。
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 精密な接着のためには「古い詰め物は徹底的に除去!」が原則です。
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 マイクロスコープで見ながらだいぶ取ったのですが、まだプラスチックの一部が残っています。
 必要な部分だけを十分に削り、かつ、余計な所は削り過ぎない!、ということは、当たり前のようですが、狭いお口の中の見えにくい所でそれを実行するのは、とても大変な事なのです。

 ここで、より完全に虫歯を取るために、虫歯染め出し液(う触検知液)を使います。
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染めて見るとびっくり。まだまだこんなに染まります。
 さらに虫歯を取り除いて・・・、
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もう一度染め出しをします。
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 大部分は取れましたが、エナメル質と象牙質の境い目や、虫歯の深い部分にまだ少し青く残っています。
 ここまで来ると、普通のドリルでは届きにくいため、超音波器具やハンドのエキスカベータ―などいろいろな器具でトライします。
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 上は全部、虫歯を取り切った後の写真です。大きく削ったように見えますが、隠れている虫歯を取るとこれくらいの削除は必要でした。

 精密な接着の前準備としては、これだけ徹底的に虫歯を取る必要があります。逆に、ここまで削除をすると、治療には精密な接着修復を行わないと、術後の疼痛や、強い知覚過敏に悩まされることになります。

 この症例でも、ここまで虫歯を削除した後、接着修復を行うことで、神経を取ることなく痛みが治まりました。
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症例2
 29歳、女性。やはり左上に違和感と一時的な軽い疼痛がありました。
レントゲン診査で虫歯を認めたため、治療を行いました。
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古いプラスチックを除去すると、中にカリエスが見つかりました。
上の写真は、1回目の虫歯染色をした直後の写真です。中が青く染まっているのがわかります。
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 上の写真は、さらに虫歯除去を続けて2回目の染色の後の写真です。
かなり虫歯を取りましたが、まだエナメル質と象牙質の境い目や、神経に近い部分にわずかに青く残っています。
この部分は、実際、拡大視野で直接覗いて取らないと、確実な虫歯除去が難しい部分です。
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 上の写真は、虫歯を徹底的に除去した後の写真です。
隣の歯との境い目の部分も完全に虫歯除去できて、キレイなエナメル質が見えています。
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 充填後です。マイクロスコープによる8倍の拡大視野でも、歯とプラスチックの境い目がわからないくらい精密な充填ができています。

 虫歯治療の原則は、できるだけ歯を削らないMI、ミニマルインターベーション(最小限治療)です。
これは大原則なのですが、最小限治療にこだわりすぎて、削り足らなくて虫歯を取り残すのは、本末転倒で絶対にやってはいけない治療になります。
 (ただし、唯一、神経に非常に近い虫歯だけは、意図的に、一層虫歯を残す時があります。これな特殊なケースです。)

 虫歯除去という、歯科医師にとってはごく当たり前の治療なのですが、実は非常に奥が深く、難しい時もあります。
ていねいにやると、すごく時間がかかる時もあります。ご理解をお願いしたいと思います。


 最後に、虫歯除去後の下地の前処理の話を「簡単」にしておきましょう。
前処理、とは、歯に接着しやすくするための前準備と思ってください。
また、すべてを必ず行う必要がある訳ではありません。必要に応じて取捨選択をして行います。

1. 虫歯除去した後の歯の接着面を細かい目のドリルで仕上げます。その方が接着力が上がります。

2. エナメル質部分のみ、エッチング剤にて一層溶かして、ザラザラにします。決められた処理時間を厳守します。

3. プライマー液で、象牙質を一層溶かします。
 エナメル質と象牙質は性質がまったく違うため、それぞれ決められた薬剤で、決められた時間と処理方法を厳守します。ここが大きく接着力を左右します。

4. セラミックや、すでにプラスチックが詰められている所には、セラミックプライマー(シランカップリング剤)という薬剤が必要です。これも使用法厳守です。

5. プラスチックの充填は、プラスチックが硬化する時にわずかに収縮するため、その収縮量と方向を考えて充填をしていきます。
 また、プラスチックの色はもちろん、硬さもたくさんの種類があり、場所により使い分けます。

6. 接着の仕上げとして光照射を行います。多方面からできだけ長く照射し、十分に硬化させます。確実な硬化のために酸素を遮断するオキシガードと呼ばれる薬剤を使う  時もあります。

 これ以外にも、確実な接着のためには、考える事、行う事は多岐にわたるのですが、まあ、いずれにせよきちんと接着するためには、いろいろな条件に注意して、ひとつひとつの行程を確実に行う事が大切という事になります。

 確実な「メタルフリ―」修復を行うためには、本当に時間がかかります。患者様も僕もクタクタになってしまう事もあります。

 しかし、虫歯除去にしろ、前処置にしろ、正確な充填にしろ、ひとつひとつ手を抜くことなく正確に仕上げる事で、精密な接着が成り立ちます。この記事がその点をご理解いただける一助になれば幸いです。



by healthcarenews | 2019-04-01 23:11 | 美容治療・メタルフリー治療

「メタルフリ―」へと続く道・part7 現代歯科治療でもっとも大切な「接着治療」

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリ―」へと続く道、の第7夜、テーマは「接着治療」についてです。

 前回の最後の部分で、歯の寿命を延ばすために当院が力を入れているメタルフリ―治療は「ダイレクトボンディング」と「セラミックインレー」と書きました。
 正確に理解をしておいていただきたいのですが、その治療が、患者様にとって「有益」と思い、勧めているのは、実は「メタルフリ―」だからではありません。
きちんと「接着」をして行う「接着治療」だからです。

 もちろん金属を使わない、というメリットはあると思いますし、何より自然な白い歯が入るということは、患者様にとって大きなメリットだとは思います。

 しかし、歯の寿命を延ばすのは、単に「セラミック」を使っているから、とか、「保険外のプラスティック」を使っているから、ではありません。十分な時間と手間ひまをかけて、精密に「接着」を行っているからです。
 ですから「接着治療」は現代の歯科治療の中でもっとも大切なテクニックのひとつと言えます。
では、「接着」とはどんなものなのか?今夜はそれがテーマです。

 まずは「接着」の説明をする前に、従来型の「セメントで着ける」合着(ごうちゃく)と呼ばれるテクニックの話をしましょう。
 「合着」とは「メタルインレー」の所でも話をした、従来型のセメントで金属を歯に着けるテクニックです。とても簡便でいいのですが・・・
このメタルインレーが(下の写真)・・・、
「メタルフリ―」へと続く道・part7 現代歯科治療でもっとも大切な「接着治療」_b0119466_00085701.jpg
 悪くすると、数年後にはセメントが溶けて、こうなります(下の写真)・・・。
「メタルフリ―」へと続く道・part7 現代歯科治療でもっとも大切な「接着治療」_b0119466_00092402.jpg
 こちらのメタルインレーも・・・、
「メタルフリ―」へと続く道・part7 現代歯科治療でもっとも大切な「接着治療」_b0119466_22405547.jpg
 こうなります・・・。
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 なぜ、こうなるのか?理由はいろいろですが、それはちょうど、セメント(モルタル)で留めてあるタイルや敷石が、風雨や車に踏まれて「年月と共に劣化してはがれる」のと似ています。

 ちょうど、下の写真のような感じですね・・・。
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 この「セメントはがれ」が、悲惨な結果を生むのは、前に説明した通りです。

 こうならないために、長い期間をかけて開発されたのが、歯科の「接着治療」なのです。

 では、「接着」をどう説明したものか・・・?とりあえず教科書から、その「接着治療」の説明だけ抜粋してみましょう。

「ボンディングレジンは、歯質とコンポジットレジンを接着させる成分である。エッチングにより被着歯質表面を処理し、プライマー成分を浸透させ、プライマーが浸透した部分にボンディングレジンが浸透し重合することで、レジンと歯質の接着が成立する。」(歯科用の教科書、保存修復学21、第3版、永末書店、よりの抜粋)

 はい!判らないですね(笑)。書かなきゃいいのに・・・(^^;。
でも、いきなり例え話をするよりも、ちゃんとしたエビデンスのある話に基づいて解説をしていった方がより良いでしょう。
言葉の説明を、ひとつずつ加えていきたいと思います。

・「ボンディングレジン」とは、歯科用接着剤(ボンディング剤)の事です。この接着剤の取り扱いが、「接着治療」の中心になります。
・「歯質」そのものズバリ、歯の事です。
・「コンポジットレジン」、歯に詰める白いプラスティックの事です。レジンだけでは無く、セラミックなども「接着治療」が必ず必要になります。
・「エッチング」および「プライマー」、エッチングは歯のエナメル質に、プライマーは、歯の象牙質に作用します。両者とも簡単に言うと、歯の表面を一層溶かす材料です。

 改めて、接着の流れを、簡単に説明してみましょう。
1. 虫歯を取り残しが無いように削ります。

2. エナメル質はエッティング剤で、象牙質はプライマーで、歯の表面を一層溶かし、ミクロンレベルの穴を開けます。

3. そこにボンディング剤(接着剤)を流し込み、光を照射して硬化(重合)させます。

4. プラスティックはもともとボンディング剤と化学的に結合するため、ボンディング剤の上に充填し、光硬化(重合)させることで接着が成立します。

5. セラミックは、内面を同様にセラミックプライマーで一層溶かし、ボンディング剤を流し込んでからレジンセメントで歯と接着します。

 プライマーが溶かした象牙質のすきまにボンディング剤が流れ込んだ部分(接着層)を、難しい言葉ですが「樹脂含浸層(じゅしがんしんそう)」と言います。
この部分は、大体厚さが10ミクロン前後。電子顕微鏡で確認するくらいのレベルです。
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 いわゆる、従来型のセメントに較べ、「接着治療」が、ほとんど「スキマの無い修復」を実現できるのは、このボンディング剤の開発によります。

 もう一度、「合着」と「接着」について話を整理をしておきましょう。

 「合着」は、虫歯を型を取りやすいように外開きに少し大きめに削り、型を取ってその形に合わせて金属を作り、タイルをはめ込むようにセメントで歯に着けます。
その欠点は、前にお話しした通りです。

 「接着」は、歯の表面、および、接着する側のプラスティックやセラミックの表面を溶剤(プライマー)で一層溶かし、そこに柔らかなプラスティック(接着剤)を流し込んで硬化させ、ミクロンレベルで結合させたのが「接着」です。
 
 その接着強度は、象牙質そのものよりも強いため、「正確に接着できれば」、無理やり力をかけると歯の方が壊れてしまうほどです。また、ボンディング剤やレジンセメントは、唾液や酸にも溶けにくいため、お口の中で長期間安定して機能します。

 こう書くと、「接着治療」がいいに決まってるじゃん!って話になりそうですが、実は話はそう簡単ではありません。
「接着」は先ほど書いたように、歯の表面と歯の詰め物を、ミクロンレベルで結合させるため、その接着面、下地の精密な処理がとても重要になり、この処理ができなければ接着は成立しません。「正確に接着できれば・・」と前置きしたのはそのためです。

 虫歯の取り残しはもちろん、古いセメントなどが残っていると、正確な接着はできませんし、個人個人の歯の質によっても接着しにくい場合があります。
また、接着剤も多様なものが発売されていて、それぞれ取り扱いが違いますので、その特性を歯科医師が良く理解して使う必要があります。
取り扱いを誤ると、合着用セメント以下の性能しか発揮できない場合もあります。
 
 また、接着剤やレジンセメントは、非常に固く、また接着力が強いため、間違って歯のスキマなどに入ると取り除く事ができず、かえって歯周病の原因になったりすることもあるため、取り扱いには本当に注意が必要です。

 その点、合着は、取り扱いが簡単な分、そういうテクニカルエラーは起きにくく、保険診療として長い歴史に裏打ちされたメリットはやはりおおいにあると言えます。

 次回からは、いよいよ症例に入っていきたいと思います。
 当院が「メタルフリ―治療」として力を入れているのは、何度も書いていますが「ダイレクトボンディング」と「セラミックインレー」。
それぞれ、精密に「接着」をすることで高い性能を発揮する治療ですが、やはり長所、短所はあり、必要に応じて使い分けています。
それらの症例の中で接着前の下地の処理の話も少しご説明したいと思います。まずは「虫歯の除去」からです。









by healthcarenews | 2019-03-23 21:34 | 美容治療・メタルフリー治療

「メタルフリー」へと続く道・Part6 歯を失う「治療修復のサイクル」からの脱出!

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道の第6夜 「治療修復のサイクル」からの脱出、についてです。

 今夜のテーマは、今回の一連の「メタルフリー」へと続く道、の話の中で最も重要なテーマのひとつになります。話はいよいよ佳境に入ってきました!

まずは次の図をご覧ください。
「メタルフリー」へと続く道・Part6 歯を失う「治療修復のサイクル」からの脱出!_b0119466_22315837.jpg
 この図は、口腔衛生学会という学会で1995年に発表された「歯科修復物の使用年数に関する疫学的研究」と言う論文を基にして作られたものです。
 
 研究のデザインは、「健康な歯」が最初に治療を受けてから、平均して何年後かに再び虫歯になり(2次虫歯と言います)、その再治療をしてから、それがその数年後にさらに大きな虫歯になり・・・、と、その繰り返しをしているうちに最後に「抜歯」になるまでを、統計を取って平均値を出したものです。

 簡単に言うと、プラスチック充填、メタルインレー、そしてクラウン(かぶせ物)などを経て抜歯にいたるまでのそれぞれの治療が、平均して「どれぐらいもつか?」(平均寿命)を表しています。

 この統計によれば、もし単純にそれぞれの平均寿命を足していくと、最初に歯の治療をしてから約18年後には、その歯はダメになって抜かないといけない結果になります・・・(-_-;)。

 これは、実は恐ろしい研究結果で、もし20歳ぐらいの時に最初に治療を受けて、そこから生活習慣、食習慣、歯磨き習慣などに何の改善も行われなければ40歳前後には、その歯は抜歯になる!という事を意味します・・。

 まあ、25年前の研究結果ですので、予防歯科が発達し浸透した現代では、これとは少し事情が違っています。

 それぞれの治療の寿命は、その人の虫歯リスクや歯の場所によって全然違ってきますし、材料もこの25年で格段に良くなっています。
 僕の感覚では、歯が悪い人でも、プラスティックとメタルインレー、そしてクラウンと根管治療をそれぞれ2回くらい「やり直し」が入って、もうプラス10年くらい・・・、すなわち「抜歯」までには約30年ほどはかかる計算になると思います。

 それでも10代中ごろで治療を受け始めれば、40代中ごろには歯を抜いて、ブリッジか何かが入る計算になります。
 確かに、そういう目で見て行けば、30代40代で抜歯になっている患者様は、以前よりは少なくなったとは言え、まだまだ相当数いらっしゃいます。

 これが従来型の治療中心の歯科医療の「治療修復のサイクル」で、言わばこれは「いつかは歯を失う治療修復のサイクル」とも言えると思います。

 この「サイクル」からの脱出を目指して、定期的にメンテナンスを行う「予防歯科」の考えは画期的で、それはそれで大きな成果をあげました。
 しかし、初期虫歯や歯周病を防いだり、ひとつひとつの修復の寿命を延ばすことはできても、予防歯科では修復物の「2次虫歯」を完全には防ぐ事はできません。なぜなら、それは「歯磨き」の問題だけではなく、前に見てもらったメタルインレーのように「金属そのものの欠点」からも起こっているからです。

 マイクロスコープなどを使った「精密根管治療」は、従来の「手探りの根管治療」では、治療が上手くいかない場合があるため、これはこれでとても重要な治療です。
 しかし、神経を取った段階で、歯の寿命はある程度決まってしまうため、根管治療は「治療修復のサイクル」の終末期を、どれだけていねいに行い延命するかに集中している治療です。

 インプラントにいたっては、この「サイクル」が終わってしまった後を、お金と手間をかけてやっているに過ぎません。それでも他の歯を削らずに済むため、他の歯を「サイクル」から守る、という大きなメリットはあるのですが・・・。

  もちろん、予防歯科、精密根管治療、インプラント、それぞれがみんな大切な治療で、当院も力を入れているのですが、「予防歯科」が、「サイクル」の入り口の部分、「精密根管治療」が「サイクル」の最後の部分、「インプラント」が「サイクル」を出た後の部分にあたるのに対し、同じく大切な「サイクル」の中間部分の「プラスティック治療」や「メタルインレー治療」などの修復物の「寿命」には、意外とみんな無頓着で、おざなりにされてきたのが今までの現状です。

 ここを、ひとつひとつできるだけ精密なもの替え、その修復物の寿命を延ばすことにより、この「歯を失う治療修復のサイクル」から改めて脱出しようという試みが「メタルフリー」を目指すのひとつの大きな目的なのです。

 ただし、単に素材を「メタルフリ―」にしたら、歯の寿命が延ばせる、という簡単な話では実はありません。金属アレルギーは減らせるでしょうが、それだけでは歯の寿命は延びません。

 当院が、今、力を入れている「メタルフリ―」診療は、「ダイレクトボンディング」と「セラミックインレー」。
 どちらも、そこには「接着する」という行為が必要になります。しかも、「精密に虫歯を取って、精密に接着する」という行為です。
次回は、その「接着」についてお話をします。

 

 

 

by healthcarenews | 2019-02-24 23:12 | 美容治療・メタルフリー治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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