ヘルスケア通信

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MI・ 1

 今回は、M.Iの話の1回目です。

 M.Iと言っても「ミッションインポッシブル」ではありません。
「ミニマルインターベンション」、日本語に訳すと「最小侵襲治療」。
なんとも難しい言葉になりますが、要するに、「できるだけ歯を削らずに、最小限の治療で済ませましょう!」というコンセプトです。
詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧下さい

 まあ考えて見れば当たり前の話です。誰でもガリガリ歯を削られたくありません。しかし、この当たり前が当たり前にできるようになるには、時代と機材の進歩が必要でした。

 症例をご覧ください。
 まずは、術前の口腔内写真。
鏡で撮っていますので左右逆に写ります。少し鏡の傷が写って見にくくなっています。ご容赦下さい。
右上の小臼歯に、大きな虫歯ができています。
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レントゲン写真はこちらです。黄色い丸の中に影ができています。
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どの世界でも影は曲者です。この歯も、痛くもかゆくも無く、初めは穴が開いてる事すら患者様は気づいていませんでした。しかし、ちょっと削ると上の写真のように大きな穴が隠れていました。神経に近い所まで虫歯に冒されていますので、昔ならまちがいなく神経を取ってクラウンをかぶせる治療になるでしょう。

 術後です。
とりあえず、大きな穴を歯と同じ色のプラスチックで詰めました。これで治療終了です!。
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実は、大事なのは、この「とりあえず」という考え方なのです。

 術後のレントゲン写真です。
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最新のプラスチックはレントゲンに写りますので、白く写っています。神経のギリギリ近くまで虫歯に冒されていたのが解ります。

 この患者様は、治療後、現在で3ヶ月余り経過していますが、何の問題も無く経過しています・・・・。


 では、昔はなぜこんな治療ができなかったのか?

 ひとつは、材料が大きく進歩したことです。特に、プラスチックの接着剤や、殺菌消毒の概念が格段に進歩して、深い虫歯でも神経に害を与えずに治療することができるようになりました。

 もうひとつは、デジタルレントゲンやカメラ、虫歯発見レーザー(ダイアグノデント)など、診断やカウンセリングの器材が発達したことです。M.Iには、やはり正確な診断とカウンセリングが必要になります。
 
 でもデメリットが無いわけではありません。先ほど「とりあえず」、と書いたように、深い虫歯の場合、後日、痛みが出て、短期間に神経を取る治療が必要になることもあります。ですから、このリスクを、術前に正確に理解してもらう必要があります。また、経過を定期的に追い、メンテナンスをする必要もあります。

 ふた昔ほど前、私が大学を出たばかりの頃は、術後、すぐに痛みが出たら、歯科医としての評判を落とす、と先輩から教えられていました。だから、深い虫歯は、必ず神経を取れ!と。

 現代の患者様には、こんなゴマカシは通用しません。当院に見えられる患者様は、本当に自分の歯を大事に思っておられます。ですから、正確なカウンセリングが必須になります。その上で「後で痛みが出る可能性はありますが、とりあえず、神経を残して最小限の治療で済ませましょうか?」と、問いますと、ほとんどの方が納得して頂けます。

 しかも、仮に痛みが出ても、多くの場合、中の神経を小さな穴を開けて取るだけで解決しますので、やはり、大きく削ってクラウンをかぶせる、という治療は避けることができます。ここがM.Iの大きなメリットなのです。

 現在のM.Iは、20年前は文字通り「ミッションインポッシブル」でした。実行不可能だったのです。
医学は進化し、予防技術はどんどん発展しています。この続きはMI・2へ。













by healthcarenews | 2012-04-25 01:56 | 虫歯治療・MI治療

歯周病予防の基礎の基礎

 今回は歯周病治療の基礎のお話です。

 まずは写真をご覧ください。
写真は2000年7月。女性。32歳頃の初診時のものです。
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 一見、というか、言葉は悪いですが「素人目」には、何のインパクトもない画像です。虫歯もありません。
患者様の訴えは何だったのか、僕ももう忘れてしまいました。おそらく痛くもかゆくも、何の症状も無かったでしょう。時々ちょっと歯肉から血が出るなあ・・・、くらいはあったかもしれません。患者様も、「ちょっと歯石取って下さい。」みたいなノリだったかもしれません。

 でも、良く見ると歯の表面、特に奥歯の部分にはべったりバイオフィルムが付着しています。
そのため、歯肉も少し炎症を起こして腫れかけています。
 「べったりバイオフィルム」は生活習慣、特に食習慣が悪い証拠です!
こういうお口の中を見ると、ゾクゾク「胸騒ぎ」がします。予防歯科医として、見過ごす事はできません。

 歯周病は、初期は自覚症状がまったくありません。ここが歯周病が恐ろしく、また難しいところなのです。
まずは、カウンセリングの後、全体のバイオフィルムをクリーニング(PMTC)して、歯1本1本について、SRPと呼ばれる除菌処置をほどこしていきます。そして2ヶ月後。
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 歯肉炎は、やや改善しましたが、奥歯のバイオフィルムはまだまだ残っています。特に下の奥歯の表面に、ヌルヌル、ザラザラが残っています。生活習慣が、まだ改善されてないのです。
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 いつもそうですが、生活習慣に立ち入るのは、本当に難しいと感じます。誰でも、自覚症状がないのに、好きな食べ物を制限されたくはありません。それでも、このままでは危険です。
改めて、当院の、経験と機材を総動員して、再カウンセリング、再モチベーション(再教育)します。

 歯周病を理解してもらえたかどうか?メンテナンスに応じてくれるかどうか?
ここからが運命の分かれ道になります。

 幸いこの患者様は、3ヶ月に1回。きちんとメンテナンスに来院いただける患者様になりました。
下の写真は、2011年10月の時点です。初診より約11年。バイオフィルムも無く、綺麗に磨けています。もちろん、この11年間、抜歯はおろか、1本の虫歯すら出来ていません。
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右下奥歯の写真です。
バイオフィルムが綺麗に無くなり、独自の歯のツヤが戻っています。
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僕が、時々、「真珠のツヤ」とご説明する艶です。

 皆さんは、それぞれ、お口の中に「真珠」を持っています。
どうか、その宝物を、末永く大切にしていただきたいと思います。

 この患者様も、今は「胸騒ぎ」なく、メンテナンスで拝見させてもらっています。
今後とも頑張ってくださいね。

 
by healthcarenews | 2012-04-16 00:03 | 歯周病治療

ホワイトニング・セラミック・ハイブリッドインレー

 今回は、ホワイトニング、メタルボンドセラミック、ハイブリッドインレーとトータルで審美治療を行なった症例です。
 まずは、例によって術前と術後をご覧ください。
術前です。
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術後です。
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 患者様のそれぞれの治療には、各人各様、それぞれの悩みや想いやストーリーがあります。ヘルスケア通信では、単に症例の術前術後の写真だけではなく、そのストーリーを読んでいただき、他の皆様の治療の選択の助けになればと思っています。

 さて、改めて術前です。
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 患者様は、前歯を綺麗にしたい、という希望で来院なさいました。

 残念ながら、前歯4本のうち3本は神経が取ってある歯でした。神経がない歯(失活歯)のホワイトニングもできることはできるのですが、希望通りの美しさになるかと言われると、難しい時があります。
 幸い予算的には許されたので、3本はメタルボンドセラミック修復を選択しました。
オールセラミックという選択肢もありましたが、下の歯との噛み合わせの関係で、今回は除外されました。

 まず3本の初期治療を終え、仮歯を入れます。この時点でトレーを作り術前のホワイトニングを始めます。

 最近は、セラミック修復前に、ホワイトニングを行うのがマイブームなっています。
はじめにホワイトニング剤に、どの程度反応するかを見ることができますし、またセラミックの色調選択の参考になります。そして、最後にかぶせるセラミックもやや明るめの色を選んでおいて、残りの歯をホワイトニングでさらに白くするのです。そうすると短時間で効率良く、歯を白く明るくすることができます。

 改めて術後です。
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 やや欠けたように変形していた形を整えて、角度と長さも整えました。
色調も、初めは3本だけ白く浮いて見えていましたが、右から2番目の歯(右上側切歯)は、明るい色のプラスチック充填を行い、他の歯は続けてホワイトニングすることで、綺麗に全体のバランスが取れてきました。

 最後に右上の小臼歯の銀の詰め物を、ハイブリッドインレーに替えました。

右上小臼歯、ハイブリッドインレー。外から見た時の術前、術後です。
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内側から見た時の術前術後です。
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 この症例は、初診から5ヶ月で終診しました。
歯周病もなく、ブラッシングもお上手でしたので、それでも比較的短期間で終了しました。
そのうちの1~2ヶ月はホワイトニングの経過観察期間。
あとは、なかなかアポイントが取りづらいことが5ヶ月かかる原因です。

 この患者様は、治療終了時にホワイトニングトレーを新しく作成し、現在でも、時々、ホームホワイトニングをしてもらっています。
 ヘアカラーをご自宅で気軽にするように、ホームホワイトニングも気分に合わせてご自宅でしてもらう。
僕はそれでいいと思っています。

 

 
by healthcarenews | 2012-04-07 00:04 | 審美治療・セラミック

歯周病と審美治療の複合症例

 まずは術前と術後をごらんください。
術前
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術後です。
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 こうやって並べると、簡単に歯を削って、セラミックでかぶせただけの単純な治療に見えるかもしれません。
しかし、上の術前写真から、下の術後写真まで、実に1年6ヶ月の時間がかかりました。
原因は、歯周病です。

 改めて、術前写真をご覧下さい。
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 患者様は、ツギハギだらけの歯が汚い、と審美治療を希望されましたが、検査してみると、それ以前に重症の歯周病にかかっています。前歯の間の歯ぐきがブヨブヨに腫れ、特に左右の犬歯周囲からは出血を通り越して、膿みとなって溢れてきています。
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 このまま、単純にかぶせても、すぐまた歯ぐきが腫れて、長持ちしないことは目に見えています。
患者様と十分に話し合いをした後、まず歯周治療を優先することにしました。

 これは、初期治療を終えて、仮歯を入れたところです。この時点で、初診から8ヶ月です。
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 重症の歯周治療は、単に歯周病菌を除菌すれば治る、というものではありません。

 歯肉の深い所に感染した毒素が抜け、体の免疫反応が上がらないと、なかなか治療の効果が現れないことがあります。また患者様の生活習慣が改善することも大事な要件のひとつ。

 そのため、複数の治療法を試行錯誤しながら使うこともあり、どうしても治療期間が長くなるため、仮歯は必要ならかならず入れるようにしています。

 改めて、術後、正面、左右です。
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 左上、内側(舌側)から見た所です(鏡にて撮影)。
ブヨブヨした歯肉が引き締まり、歯肉の色が薄いピンク色に変化しているのがご覧いただけると思います。
これが、健康な歯ぐきの色なのです。
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あ、もちろん、下の歯もホワイトニングを行なって、明るく白い歯にしてあります。その上で全体を明るい色調でかぶせました。次は右下を綺麗にしないといけませんね。

 補足:
 メタルボンドセラミックの内側の部分が金属になっている事が気になる方がいらしゃるかもしれません。
当院では、審美的に影響の少ない部分には、あえて金属を露出させている場合があります。
硬いセラミックと言えども、咬み合わせなどの強い力がかかる部分は、100パーセント割れない、と断言はできません。また逆に、セラミックは硬すぎて噛み合う反対側の歯を痛める可能性もゼロではありません。

そのため、症例に応じて、目立たない部分は金属で噛ませるように工夫してあるのです。
ただし、これは各ケースにおいて十分なカウンセリングの上、決めています。
気になる方は、ご相談下さい。
by healthcarenews | 2012-04-05 23:51 | 審美治療・セラミック

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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