ヘルスケア通信

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臨時休診のお知らせ

平成26年5月31日土曜日は、講習会出席のため臨時休診致します。
あしからずご了承下さい。                      当院
by healthcarenews | 2014-05-31 01:01 | お知らせ

ケガ(打撲)により、抜け落ちた歯を植え直して生着した1症例

 今夜は、「外傷により脱落した永久歯を再植することにより、再び生着させ機能させることができた一症例」についてです・・・・。
 でも、こう書くと非常にわかりにくいと思うので、冒頭のタイトルか、もっとわかりやすく書くと、「ケガで一度抜けた歯をもう一度植え直したらくっついたよ!」って話です(笑)。

 まずは初診時の写真を御覧ください。
 患者様は11歳女性。
受傷後2時間ほど経過してから来院されました。
はじめは近所の歯科医院に行かれたのですが、そちらでは対応できないと断られ、土曜日の午後だったこともあいまって、巡り巡って当院への受診となりました。
 受傷から時間が経っており、もう止血していることと、怪我した本人ももう落ち着いていたため、術前の写真を撮ることができました。
 まずは正面写真です。
b0119466_22331123.jpg

 右側から見たところです。
b0119466_22332684.jpg

 ご覧のように、右側正面から2本目の歯が、根っこから抜け落ちています。
また右側犬歯(糸切り歯)の先端が欠けています。唇も切れています。

 当初、患者様のご家族は、一度抜けた歯は使えない、と思って、ゴミ箱に捨てられていたそうです。
それをお友達の勧めで拾って持ってきて下さっていました。これは不幸中の幸いでした・・・。

 一度抜け落ちた歯でも、条件がそろえば、再植して生着することがあります。(最後の方で要点をまとめます。)
今回の歯は、受傷から時間が経っていたため、ティッシュにくるまれて、カリカリに乾燥していましたが、とりあえず再植してみることに・・・・。

 まず、抜け落ちた歯は、冷やした滅菌生理食塩水でよく洗浄し、そのまましばらく浸けておきます。
その間に、患者様には感染予防に抗生物質を飲んでもらい、麻酔をしていきます。

 それから、傷口をよく洗浄した後、抜けた歯を植えなおして、傷口を縫合し、歯をワイヤーとプラスティックで固定していきます。前歯ですので、傷口が早く治るよう少し細めの縫合糸を使ってあります。
また、先端がかけていた犬歯もプラスティックで補修しました・・・。
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 これで、しばらくの間、組織が再生し生着するための治癒期間を待ちます。
一度抜けた歯は、神経への栄養血管が切れているため、この期間に残っている神経組織を取る治療を行なっておきます。

 約2ヶ月後。術後です。
 正面です。
b0119466_238332.jpg

 右側です。
b0119466_2381580.jpg

 ワイヤーと、固定していたプラスティックを除去し、表面を研磨しました。
 脱落した歯は、問題なく生着しているようです。
ゆらゆら動くことも無く、これならしっかり噛めそうです。
 ただ、今は良くても、将来的には「歯根吸収」、と呼ばれる現象が起こることがあります。
慎重に経過観察を行なっていきたいと思っています。

 また、ワイヤーを除去してから気がついたのですが、右側正面の歯が変色しているように見えます・・・。
隣の歯ですので、外傷時にこの歯へもかなりのダメージがあったことも推測されます。それによるその歯の神経への損傷が考えられますので、これは次回精査をする予定です。

 ケガによる歯の外傷、脱落について、いくつかまとめておきましょう。
1.外傷で欠けたり、脱落した歯でも、接着したり、再植することで、しばらくでも使える(機能を維持できる)場合があります。捨てたりせずに必ずご持参下さい。

2.脱落した歯の根っこの表面には、「歯根膜」という、骨にくっつくための細胞がついています。この細胞は乾燥に弱いため、2時間以上乾燥状態に置かれると死滅すると言われています。(今回の症例はぎりぎりボーダーライン。なので慎重な経過観察が必要です。)できるだけ早くご来院下さい。

3.脱落した歯は、乾燥させないことが大事なので、適切な保存液に入れて保管して、ご持参下さい。
 推奨されるのは、A.牛乳の中、B.学校の保健室などに置いてある歯牙保存液、C.患者様の口の中(歯と唇の間)などです。特に牛乳は入手も簡単なのでお勧めです。逆に水道水での保存は、塩素の影響で歯根膜細胞がダメージを受けるため避けて下さい。土や汚れが付いていても、水道水でゴシゴシ洗ったりせず、そのまま保存液に浸けて来てください。こちらで洗浄を行います。

 再植歯の長期経過に関しては、再植時の状態や、患者の年齢などにより、様々な転帰が考えられます。
そのため、繰り返し言うようですが、長期的に経過観察を行なっていきます。
 しかし、どのような結末を迎えるにせよ、外傷時にいきなり歯が抜けて、そのまま抜けたままになるよりは、再植することにより、ある程度の期間にせよ、機能を回復させたほうが、次に対処するための準備期間もできて、より有意義な治療と考えています。特に、成長過程にある若年者の場合は、成長期が終わるまで、なかなか有効な治療の選択肢がないため、再植の意義は大きいものとなります。ケガなどは、もちろん無いにこしたことはないのですが、万一の場合、こういう選択肢もあることを覚えていていただきたいと思います。

 
by healthcarenews | 2014-05-25 23:48 | 歯の外傷(ケガ)・移植・再植

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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