ヘルスケア通信

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インプラント再考・10 審美を極める・・!「抜歯即時インプラント」。

 今夜のヘルスケア通信は、「インプラント再考」の第10夜。
今夜のテーマは「抜歯即時インプラント」。平たく言うと「歯を抜くと同時に、すぐインプラントを入れるテクニック」についてです。
前歯に、インプラントを美しく入れるためには、絶対に欠かせないテクニックです。

 ひと口に「インプラント」と言っても、じつは様々な種類やアプローチ法があり、治療の目的に合わせてそれらを組み合わせ、選択していく時代になっています。
第9夜までが「インプラントの基礎編」なら、ここからは「インプラントの応用編」ってとこでしょうか・・・。ちょっとマニアックな話にもなり、難しく感じるかもしれませんがご了承下さいm(__)m。

 まずは例によって症例から・・・。
患者様は52歳男性。
右前の正面の歯に問題を抱えて来院なさいました・・・(黄矢印)。
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 まあ一見、なんの異常もないように見える正面写真ですが・・・・、
でもCTを撮ってみると・・・・。
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歯の根っこが折れています。黄色い矢印の部分の黒い線が、歯が折れているところです。

 ケガなどで歯が折れた時、歯ぐきの浅いところで折れた場合は、再植や矯正など、いろいろな方法で歯を残すのですが、歯ぐきの中の深い所で折れた場合はやむなく抜歯になる確率が高くなります。

 今回のケースも歯ぐきの深い所で歯が折れ、残る根っこも短かったため、抜歯の選択になりました。
そして、左右の歯は健康な歯であったため、当然ブリッジは避けてインプラント治療をすることになりました。

 さて、ここで「抜歯即時インプラント」の登場です。
 インプラント治療は、あごの骨の中に金属のねじを埋め込む治療ですので、土台となる骨がしっかりしていないとうまくいきません。ですので、通常、歯を抜いた後3か月くらい骨の治りを待ってからインプラントの埋め込み手術を行うのが一般的です。
骨の回復の経過は個人差がありますので、「骨がしっかり治癒したこと」を確認してから行った方が安心なのです。

 ただし、「例外」があります。前歯、特に「上顎の前歯のインプラント」は、「歯を抜いて、しっかり土台が治癒するのを待ってインプラントを入れる」のではなく、「歯を抜くと同時に、すぐにインプラントを入れる」方が有利な場合があるのです・・・。何故か?

 実は、上顎の前歯の骨は、とても薄くもろい構造になっています。
ですから、歯を抜いて治癒を待つと、骨がしっかり固まるどころか、骨が無くなってしまうのです。

 術前のCTで説明しましょう。
下の写真の黄色囲み枠の部分は、上顎の一番外側(一番目立つ部分)の骨で、薄くてもろい構造になっています。
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その部分の歯を抜くと、薄い骨が全部無くなってしまって、骨が固まるどころか、下の写真の赤線囲み枠のように、大きな部分の骨が無くなってしまいます。
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 その結果、何が起こるのか・・・、症例でご紹介しましょう。

下の写真は前歯抜歯症例(冒頭の症例とは別の患者様です)、抜歯前の写真です。

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黄色矢印の歯を抜歯しました。黄色い円の中の歯ぐきの状態をご覧ください。

下は抜歯後、傷口の治癒が完了した後の写真です。
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歯が無くなると同時に、歯ぐきの部分も大きく無くなっているのがお判りいただけますでしょうか?(黄色丸部分)

 結果、この状態でブリッジをしたとしても、その空洞に食べ物が挟まりやすかったり、空気が漏れて発音がしにくいブリッジになりやすくなります。
また、仮にインプラントを入れたにしても、隣の歯とくらべて、1本だけ間延びした長い歯が入ることになります。

 これは、現在のインプラントテクノロジーから言えば、重大な審美障害です!
この障害を回避するために、「抜歯即時インプラント」があるのです。

 このテクニックのポイントは二つです。
1.歯を抜くと同時に、その部分には人工骨を入れる。
2.インプラントは、抜歯した部分のやや後方に入れる。
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と、いう訳で、冒頭の症例の術後です。
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ちなみにもう一度術前を・・・。
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 どうだ!、と言うほどの変化はありません・・・(笑)。
と言うかこの変化が無いことが、「抜歯即時インプラント」の一番のキモなのです(^^;。
抜歯と同時に入れるので、歯が無い時がありません。表から見て、歯肉の変化もほとんどありません(歯肉がほとんど下がりません)。
術前、術後の差が無いことが、このテクニックの一番大事なところなのですが、ゆえに、術前術後写真でその価値を表現することは本当に難しいです(^^;。

 でもインプラントはちゃんと入っています・・・。その証拠に・・・。
ほら!
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 最後に裏から見たところの写真を一枚。
裏側に見える、白い丸はインプラントのネジを締めるためのネジ穴です。
これも一番最後に歯と同じ色のプラスティックで埋めて、治療終了となります。
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 では、もう1例、ご紹介しておきましょう。
 患者様は初診時26歳女性。
 不幸にも交通事故に会われました。
下は術前写真です。
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 矢印の歯が折れ、歯ぐきの中の方まで割れていました。
その左右の歯にはヒビが入り、強い知覚過敏を起こしていました。
そこで、折れた歯には「抜歯即時インプラント」を行い、両隣の歯は神経を取り、オールセラミッククラウンでかぶせることにしました。
この症例は、以前にも紹介したことがあります。詳細はコチラをごらんください。

 術中です。
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矢印の部分がインプラントです。その左右両隣の歯は土台の状態です。

 下は術後写真です。
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インプラントの歯の部分の歯ぐきとオールセラミックの部分の歯ぐきを比べて見て下さい。
ほとんど変わりが無いのがわかっていただけると思います。
もしブリッジにしていたら、真ん中の部分の歯ぐきが下がって、こんな審美的な回復は望めませんでした。

 すべての治療に言えることですが、すべての症例に必ず好結果が期待できると言う訳ではありません。中には思うような結果が出ない事もあることは承知しておいていただきたいと思います。
ただ、一度骨が無くなってしまったら、この状態に戻すのは本当に難しい道筋になるのは事実です・・・。

 前にも言いましたが「抜歯即時インプラント」は、美しく前歯にインプラントを入れるのに欠かせないテクニックです。
前歯のインプラントをお悩み中の方がいらっしゃれば、歯を抜いてしまってからでは手遅れです。一度ご検討下さい。





by healthcarenews | 2018-03-25 00:49 | インプラント

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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