ヘルスケア通信

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「メタルフリー」へと続く道・Part6 歯を失う「治療修復のサイクル」からの脱出!

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道の第6夜 「治療修復のサイクル」からの脱出、についてです。

 今夜のテーマは、今回の一連の「メタルフリー」へと続く道、の話の中で最も重要なテーマのひとつになります。話はいよいよ佳境に入ってきました!

まずは次の図をご覧ください。
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 この図は、口腔衛生学会という学会で1995年に発表された「歯科修復物の使用年数に関する疫学的研究」と言う論文を基にして作られたものです。
 
 研究のデザインは、「健康な歯」が最初に治療を受けてから、平均して何年後かに再び虫歯になり(2次虫歯と言います)、その再治療をしてから、それがその数年後にさらに大きな虫歯になり・・・、と、その繰り返しをしているうちに最後に「抜歯」になるまでを、統計を取って平均値を出したものです。

 簡単に言うと、プラスチック充填、メタルインレー、そしてクラウン(かぶせ物)などを経て抜歯にいたるまでのそれぞれの治療が、平均して「どれぐらいもつか?」(平均寿命)を表しています。

 この統計によれば、もし単純にそれぞれの平均寿命を足していくと、最初に歯の治療をしてから約18年後には、その歯はダメになって抜かないといけない結果になります・・・(-_-;)。

 これは、実は恐ろしい研究結果で、もし20歳ぐらいの時に最初に治療を受けて、そこから生活習慣、食習慣、歯磨き習慣などに何の改善も行われなければ40歳前後には、その歯は抜歯になる!という事を意味します・・。

 まあ、25年前の研究結果ですので、予防歯科が発達し浸透した現代では、これとは少し事情が違っています。

 それぞれの治療の寿命は、その人の虫歯リスクや歯の場所によって全然違ってきますし、材料もこの25年で格段に良くなっています。
 僕の感覚では、歯が悪い人でも、プラスティックとメタルインレー、そしてクラウンと根管治療をそれぞれ2回くらい「やり直し」が入って、もうプラス10年くらい・・・、すなわち「抜歯」までには約30年ほどはかかる計算になると思います。

 それでも10代中ごろで治療を受け始めれば、40代中ごろには歯を抜いて、ブリッジか何かが入る計算になります。
 確かに、そういう目で見て行けば、30代40代で抜歯になっている患者様は、以前よりは少なくなったとは言え、まだまだ相当数いらっしゃいます。

 これが従来型の治療中心の歯科医療の「治療修復のサイクル」で、言わばこれは「いつかは歯を失う治療修復のサイクル」とも言えると思います。

 この「サイクル」からの脱出を目指して、定期的にメンテナンスを行う「予防歯科」の考えは画期的で、それはそれで大きな成果をあげました。
 しかし、初期虫歯や歯周病を防いだり、ひとつひとつの修復の寿命を延ばすことはできても、予防歯科では修復物の「2次虫歯」を完全には防ぐ事はできません。なぜなら、それは「歯磨き」の問題だけではなく、前に見てもらったメタルインレーのように「金属そのものの欠点」からも起こっているからです。

 マイクロスコープなどを使った「精密根管治療」は、従来の「手探りの根管治療」では、治療が上手くいかない場合があるため、これはこれでとても重要な治療です。
 しかし、神経を取った段階で、歯の寿命はある程度決まってしまうため、根管治療は「治療修復のサイクル」の終末期を、どれだけていねいに行い延命するかに集中している治療です。

 インプラントにいたっては、この「サイクル」が終わってしまった後を、お金と手間をかけてやっているに過ぎません。それでも他の歯を削らずに済むため、他の歯を「サイクル」から守る、という大きなメリットはあるのですが・・・。

  もちろん、予防歯科、精密根管治療、インプラント、それぞれがみんな大切な治療で、当院も力を入れているのですが、「予防歯科」が、「サイクル」の入り口の部分、「精密根管治療」が「サイクル」の最後の部分、「インプラント」が「サイクル」を出た後の部分にあたるのに対し、同じく大切な「サイクル」の中間部分の「プラスティック治療」や「メタルインレー治療」などの修復物の「寿命」には、意外とみんな無頓着で、おざなりにされてきたのが今までの現状です。

 ここを、ひとつひとつできるだけ精密なもの替え、その修復物の寿命を延ばすことにより、この「歯を失う治療修復のサイクル」から改めて脱出しようという試みが「メタルフリー」を目指すのひとつの大きな目的なのです。

 ただし、単に素材を「メタルフリ―」にしたら、歯の寿命が延ばせる、という簡単な話では実はありません。金属アレルギーは減らせるでしょうが、それだけでは歯の寿命は延びません。

 当院が、今、力を入れている「メタルフリ―」診療は、「ダイレクトボンディング」と「セラミックインレー」。
 どちらも、そこには「接着する」という行為が必要になります。しかも、「精密に虫歯を取って、精密に接着する」という行為です。
次回は、その「接着」についてお話をします。

 

 

 

by healthcarenews | 2019-02-24 23:12

「メタルフリー」へと続く道・Part5 チタン、コバルトクロム、貴金属について

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道、の第5夜です。
 一連の「メタルフリー」の話は、とにもかくにも、まず歯科用金属の事を知ってもらう事から始まりますので、アマルガム、金銀パラジウム合金、銀合金、と紹介してきました。

 残る金属は、チタン合金、コバルトクロム合金、貴金属・・・。
 これらの金属は皆、今まで出てきた「保険診療で使われる金属」とは違い、「特殊」かつ、「他に替え難い」ケタ違いな性能を持つ一芸に秀でたスーパースターで、言わばイチロー選手か羽生結弦選手みたいな存在です(こんな表現していいのかなあ・・・(^^;)。
 すべて保険外診療で使われる金属ですが、「他に替え難い」ので、おそらくこれからもずっと使われます。欠点無し、とは言いませんが、メリットの方が大きく、「他に替え難い」ので「功罪を問う」のでなく、そのスーパースターぶりをチャチャっとまとめて紹介だけしておきましょう(笑)。

 1.チタン合金。
この金属が使われているのは、まず「インプラント」です。
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 それも、骨の中に埋まる、「人工歯根」と呼ばれるネジの方です。

 もともとチタンは骨に細胞的に「くっつく(結合する)」という性質を持っています。
また「生体親和性」と言って難しい言葉ですが、要するに「体に害が出にくい」「アレルギーも出にくい」性質を持った金属なのです。
 整形外科などで、骨折した骨をつなぐプレートやネジにはチタンが多く使われているのはそういう性質を利用したものです。
 そのため医学界では古くから使われてきましたが、そのチタンを、歯根の代わりに顎の骨に埋める事を思いついて、形状や長さ、太さなど現在のインプラントの基礎となる原型を作ったのがスウェーデンの整形外科医ブローネマルク博士なのです!!!

 「現代インプラントの父」と呼ばれるブローネマルク博士の事を語ると熱くなりますのでほどほどにしときますが(笑)、要は「チタン合金」無しにはインプラントは成り立たず、「チタン合金」無しには現代のインプラントがもたらした多くの福音も成り立たない事になります。(インプラントが与えるQOLのメリットは、実はインプラントを実際に入れた方しかわからないかもしれません。「カツラ」や「植毛」と同じように、多くの有名人が密かに入れていると思います。)

 余談ですが、最近では金属アレルギーの患者様対策としてインプラント本体も「ジルコニア」というセラミックで作られるようにもなってきていて、その意味では口の中の「メタルフリー」はインプラントでも可能と言えます。

 チタン合金は、もうひとつ、「入れ歯の金属フレーム」にも使われています。
チタンは比重が小さいため、「軽くて丈夫」というもうひとつの大きなメリットを持っています。
 入れ歯の金属フレームには「コバルトクロム合金」も良く使われますので、次にまとめてご紹介したいと思います。
 
 2.コバルトクロム合金
 コバルトクロム合金は、非常に硬く丈夫な合金です。
薄くても丈夫で簡単には変形しないため、歯科では「入れ歯の芯となる金属フレーム」に使われています。
 まずはどんなものか写真ですね。
 
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部分入れ歯と、
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 総入れ歯です。
 
 まあ、スマホやPCでこの記事をご覧になっているような年齢の方にはあまり縁が無くて興味がないかもしれませんが、上の写真は、一般に「金属床」とか「メタルプレート」とか呼ばれる金属フレームを持った入れ歯です。保険外診療となっています。

 いわゆる保険診療の入れ歯は、ほとんどがプラスチックで出来ています。これは一見、丈夫なように見えますが、歯の「噛む力」は意外と強力で、このプラスチックを簡単に「変形」させます。この「変形」が実は大問題で、一生懸命「正確」な型を取って精密に作っても、噛んだ時に「変形」してしまっては、結局余計なところが当たって痛みが出るのです。もともと「合っている」のですが、「変形」して「痛み」が出るのでそこは削らなければ痛みは止まらず、そこを削ると今度は噛んでないときにそこにスキマができて食べ物が入ります・・・(-_-;)。こうしていつまでたっても具合の悪い入れ歯ができていくのです。

 金属フレーム入れ歯(メタルプレート義歯)のメリットをまとめておきましょう。
1. 丈夫で剛性が高い金属フレームは、噛んだ時に入れ歯が変形せず、噛む力が安定し、痛みが出にくい入れ歯になる。
2. 剛性が高いため「薄く」作る事ができて、舌触りや違和感、異物感が少ない。
3. 剛性が高いため「薄く」作っても入れ歯が割れにくい。
4. プラスチックに比べ、温度を通しやすいため、熱い物、冷たい物が判り、食事が美味しく感じる。
5. 異物感が少なく丈夫なため、デザインの自由度が高い。
6. 丈夫で変形が少ないため義歯の動きが少なく、咬み合わせが安定し、その分残った歯を守ることができる。
7. 一度金属フレームを作っておくと、残った歯が抜けたりしても、そのフレームを修理することで非常に長く使う事ができる。
8. チタン合金と同じくコバルトクロム合金も生体親和性が高いため、アレルギーやその他の害が出にくい。

 さて、歯科用金属の紹介もいよいよ大詰めとなってきました、最後は3.「貴金属」です。
歯科で使われる貴金属は、ざっと分けて「金合金」と「白金(プラチナ)合金」です。
まずは金合金から。
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 上の写真、黄色矢印が「金合金」でできたいわゆる「ゴールドクラウン」。
ちなみに、赤矢印は当院で入れた「セラミックインレー」です。

 貴金属のメリットはなんといってもその「安定性と安全性」。
 貴金属は、その他の保険診療の金属が唾液で腐食して溶けるのに比べ、ほとんど唾液で溶けず腐食しません。また殺菌作用を有するのか、貴金属の周囲に汚れが付きにくいのも良く経験します。
 また技工操作がやりやすく精度を高く作る事ができるため、それらの事があいまって、治療したあとも歯の寿命を延ばすことができます。もちろん唾液に溶けにくく生体親和性が高いため、チタンやコバルトクロム合金と同じく金属アレルギーなどもゼロではありませんが少ないと報告されています。

 この高性能な「ゴールドクラウン」ですが、ただ現在では、ほとんどの患者様が自然に見える白い歯をご希望になりますので、使用する機会は減ってきています。
この写真の患者様も、この「ゴールドクラウン」を外して隣のセラミックインレーと同様の白い歯をご希望になっていますが、あまりに上手に入っていて外すのはもったいないので、もう少し様子を見て頂いている所です。

 最後に白金(プラチナ)合金です。
性質は金合金と同様ですが、強度と高温に耐えるようにデザインされた金属フレームにセラミックを焼き付けして、高強度のセラミッククラウン(メタルボンドセラミッククラウン)として使われています。

 下の写真は術前です。
黄色矢印の銀歯をセラミッククラウンに変更します。
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 術後です。
 黄色矢印の部分が「メタルボンドセラミッククラウン」です。
その左右の歯は「ダイレクトボンディング」で修復してあります。
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 メタルボンドセラミッククラウンは、ジルコニアなどのオールセラミッククラウンに比べ、強度が高く、歯を削る量が少なくて済む、というメリットがあります。
歯にかかる力が強い奥歯などは、メタルボンドセラミッククラウンを入れる場合も多くあります。

 歯ぐきとの境目に見えるラインはプラチナ合金のラインです。ただし、これは、お口の内側ですので絶対に人に見える事はありません。
クラウンを薄く仕上げ舌触りを良くしながら、かつ歯を削る量を減らすため、ここは金属フレームが見える構造になっています。

 チタン合金、コバルトクロム合金、貴金属については以上です。
次回からは、いよいよ「メタルフリ―」へと続く道、の本題に入っていきたいと思います。
 

 
  
 

 

 


 

by healthcarenews | 2019-02-23 19:49 | 虫歯治療・MI治療

「メタルフリー」へと続く道・Part4 銀合金について

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道・Part4 銀合金について、です。
 歯科用金属の紹介も、「アマルガム」、「金銀パラジウム合金」、と来て、今回のテーマは「銀合金」です。

 銀合金の組成は、銀72%、インジウム12%、スズ9%、、亜鉛7%、などなどです。
 貴金属が含まれていないため、銀合金は金銀パラジウム合金より安価で、また柔らかく削りやすく、細工が楽ですので、主に「金属の土台(メタルコア)」として使われてきました。

 写真をご覧ください。
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 黄色矢印5本が金属のメタルコア(金属の土台)、赤矢印3本がまだ根管治療中の歯です。この治療が済んだら、根管治療で開いた穴の中に芯棒を入れ土台を作り、かぶせていきます。

 下の写真は、その後です。
治療中の前歯3本に、土台が入りました(2本のメタルコア、1本のプラスチックコア)。
 両奥歯の土台の部分は、白い歯(クラウン)でかぶせました。前歯の土台も、もちろんこの後クラウンでかぶせています。
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 主に、土台とクラウンの関係は、下のような感じになります。

神経を取る→芯棒を入れて土台を作る→周りを削って型を取る→クラウンでかぶせる。

 メタルコアは、もう何十年もの歴史がある、治療技術が確立した治療法です。
 また型を取って作るため、歯の場所や、歯科医師の技量に左右されない精度の高い治療法でしたし、一度に何本もの歯を治療するときは、いっぺんに土台が作れて便利な治療法でもありました。そして、金属を入れる事で歯を丈夫に補強できるとも考えられていました。
 ですので、「接着治療」が確立する前までは、このメタルコアが一番丈夫で良い治療法だと思われていました。

 しかし、金属である以上、メタルインレーと同じような欠点を持っています。
治療して年数が経った土台を外してみると、中のセメントが溶けて、こんな風になっています。
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 しかし、メタルコアには「セメントが溶ける」より、もっと怖い「結末」があります。
それは、メタルコアが歯より硬い材質でできているため、メタルコアの尖った部分が「くさび」の役目をして、噛んでいるうちに歯が割れてしまう事です。

 下のレントゲン写真をご覧下さい。メタルコアの部分、黄色矢印の部分で歯が割れています。
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 下のレントゲン写真もメタルコアですが・・・・、
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 赤矢印の歯は、歯が割れてメタルコアが取れてしまいました。黄色矢印の歯は、ヒビが入ってそこから感染し病巣ができています。
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以下も同様の症例です。
下の写真。いつも歯ぐきが腫れて不具合が続いていた前歯です。
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 レントゲンを撮ると、メタルコアと歯の間にスキマができています。
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 メタルコアが入っている歯ですが、隣の歯とつながっているの外れては来ませんでした。
外してみると・・・、割れています・・・。
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お口の中もご覧ください。
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外れてきたメタルコアです。
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 エンピツみたいに尖っている部分がメタルコアの先の部分です。ここが「硬いくさび」になって歯が割れてしまいます。

 歯が割れてしまった場合の治療法は、原則として抜歯になります。今回レントゲン写真で紹介した歯も、残念ながらすべて抜歯になっています。

 念のために書いておきますが、メタルコアの歯すべてが割れてしまう訳ではありません。
 ただ傾向としては、もうすでに「重症の虫歯だった歯」にメタルコアが入った場合、歯が割れる確率は高くなります。また噛む力が強い部分とか、歯の本数が少なくて、少ない歯に無理な力がかかる場合も要注意です。このような歯は、メタルコアで無くても割れる確率は高いのですが、メタルコアの方がより多く割れるのはたしかです。

 歯科医師側も、実はこのことは早くからわかってはいたのですが、メタルコアに代わる良い治療法がなかなか開発されなかったため、長い間、この欠点は解消されませんでした。

 しかし現在では、金属の芯棒の代わりにグラスファイバーの芯棒を使った「ファイバーコア」と呼ばれるプラスチックコアが開発されました。
 プラスチックと言っても最新のプラスチックは劇的に強度が上がり、歯と同程度の強さと硬さを持っています。それを「歯科用接着剤」を用いて歯と一体化させることで、さらに強度を上げることができます。またグラスファイバーの芯は柔軟性を持ち、メタルコアのように硬くないため、歯が割れるリスクを減らすことができます。

 この「ファイバーコア」は、開発された当初は保険が利かなかったため、高額でなかなか普及しませんでした。しかし、数年前から保険適用できるようになったため、現在、当院ではメタルコアはまったく使わなくなり、新しく根管治療をして作るコアは、ほぼ100%ファイバーコアを使うようになっています。
この点では、コアに関しては「メタルフリー」を達成した、と言えるでしょう。

 下の写真が「ファイバーコア」です。黄色矢印の先にある半透明の丸がグラスファイバーの芯の部分です。
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 ファイバーコアのメリットはこれだけではなく、例えばオールセラミッククラウンを入れる時など、土台に白いファイバーコアを入れておけば色調をキレイに出すことができます。
 
 このファイバーコアは、「接着治療」が高度に進化したおかげでやっと開発できた治療法です。
「接着治療」は、実は日本が常に世界をリードしてきました。折しも、先日、その「接着治療」をリードしてきた東京医科歯科大学の田上順次教授の講演を聞きに行ってきました。この30年余りの「接着治療」開発の経緯や実験データなどを見せて頂き、改めて「接着治療」への信頼を確かなものにしました。

 マイクロスコープや、歯科用CT、インプラント、そして「接着治療」など、最近の歯科治療の進化は、30年前の歯科治療を知る僕としては、もう「隔世の感」があります。
 昔、できなかった治療が、今は確かにできるようになっています。しかし、歯科治療の原則は変わらないと思います。
 どんなに技術が進歩しても、まずはそれに頼らないように、予防が第一。次に早期発見と、最小限の治療。そして精密な治療です。



by healthcarenews | 2019-02-16 23:45 | 虫歯治療・MI治療

「メタルフリー」へと続く道・番外編 クラウン(かぶせ物)について

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道・番外編、クラウン(かぶせ物)についてです。
今回は、前回までのメタルインレーの記事に対しての補足版と思ってください。

 とりあえず写真です。
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 念のため、改めて説明を加えておきますが、黄色矢印の全部銀歯になっている歯が「クラウン」。
その隣(赤矢印)、一部歯が残って、一部銀歯になっている歯が「メタルインレー」です。

 メタルインレーは、前回、ある程度説明をさせてもらいましたが、歯の一部分に虫歯があったため、そこを削って型を取って、銀の詰め物をしたものです。
それに対し、クラウン(かぶせ物)は、歯の周囲を一層全部削って、全体をかぶせたものです。

 では、何故そういう治療をしたのか?おそらくここが一番大事な所だと思います。誰でも、大きな銀歯は入れたくないでしょうから・・・。
でもクラウンを入れるのはそれなりの大事な理由があるのです。

 「クラウン(かぶせ物)」でかぶせる場合、ごく一部の例外を除いて、ほとんどは神経を取った歯です。
神経を取った歯は、神経の部分に大穴が開いている上、もともとの虫歯の部分も大きく歯が削ってあるため、大なり小なり「もろく」なっていきます。そのため、歯の周囲を取り囲むようにしっかり包んでおかないと、噛んだ時に歯が割れてしまうのです。

 まだ、歯の上の方だけで割れた場合はましですが、時には根っこの方まで割れてしまう事があり、そういう場合は抜歯になることがあります。
それを避けるために、神経の穴(根管)に芯棒を入れ、丈夫な土台(コア)を作った上で、その周囲を一層削りすっぽりとかぶせる「クラウン」という治療法をやむなく選択しています。

 症例をご覧ください。
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 神経を取って、土台(コア)が作ってある歯です。
黄色矢印が金属でできた「メタルコア」。赤矢印がプラスチックでできた「レジンコア」です。

 下の写真は術後です。大臼歯2本は金属のクラウン、小臼歯2本はプラスチックのクラウンでかぶせました(下写真)。
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現在では、グラスファイバーの芯を入れた「ファイバーコア」というコアも出来ています(下写真黄色矢印)。
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 クラウンは「銀歯」とは限らず、セラミックを使った「セラミッククラウン」もあります(下写真)。
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  クラウンは、メタルインレーに比べると、セメントがカバーする部分も多く、また咬合力学的にも力のかかり方が安定しているため、多くはメタルインレーより長い寿命が期待されます。
 しかし、反面、メタルインレーより多くの歯を削ってある事と、神経が無く知覚が無い歯であるため、歯の治療としては最終段階まで来ており、「雑」に作られたり、歯磨きなどの管理が悪かったりすると、スキマから入った虫歯が、今度は見えない中の部分で知らないうちに大きくなって、クラウンの寿命が来た時には、もう抜歯になってしまう可能性も高くなります・・。言わば「両刃の剣」と言えるでしょう。
 
 もうひとつ、クラウンの寿命を決める大きな因子として、コア(土台)の問題があります。
クラウンの寿命は、このコア(土台)の治療法次第と言っても過言ではないくらい、現在ではコアは重要な役割を果たします。

 前にも出てきましたが、コアには、メタルコア、レジン(プラスチック)コア、ファイバーコア、などがあります。
次回のテーマは「クラウンの寿命を左右するコア」・・・。中でも、「銀合金」が使われている「メタルコア」がメインテーマとなります。
 
 
 
 

by healthcarenews | 2019-02-13 23:11 | 虫歯治療・MI治療

「メタルフリー」へと続く道・Part3 金銀パラジウム合金について 後編

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道・Part3 金銀パラジウム合金について、の後編です。

 前編終盤で、歯と金属はあまりに性質が違いすぎるため、クラウンはともかく、メタルインレー(金属の詰め物)は、治療後数年も経つと明らかに劣化していく、と書きました。そして、これはメタルインレー治療の大きな欠点、と書きました。

 この「メタルフリー」へと続く道・Part3のテーマは、金銀パラジウム合金の欠点と言うよりは、実は「メタルインレー治療そのものの欠点」と言えます。

 メタルインレー治療は、虫歯を治療するためには、保険診療で出来て、丈夫で手軽で、とりあえず安価に虫歯を詰めるには非常に便利な治療法です。
 ですので、今でも普通に行われていますし、当院でも普通に行っています。
 でも、その裏には大きな欠点が潜んでいる事も知っておいて頂きたいと思います。今夜はまず、その検証からです・・・・。

 下の写真をご覧ください。
古いメタルインレー(金属の詰め物)ですが、歯との間にスキマが出来ています。
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 金属を外してみると・・・・、中でセメントが溶けてこんな風になっています。
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 メタルインレーの平均寿命は5.4年(口腔衛生学会データ)。上の写真のような症例は毎日のように見かけます。
 こうなる原因はいろいろですが、大きな根本的な原因のひとつが、歯と金属は性質が大きく違う、という事です。

 その性質とはなんでしょう?
ひとつはその硬さ。歯と金属は硬さが大きく違います。
 特に奥歯は咬む力が強いため、金属そのものは硬くて丈夫で長持ちしても、その周囲の歯が欠けて、ひび割れやスキマができてしまいます。

 もうひとつは熱膨張です。「熱膨張」ってむずかしい言葉ですが、要は熱い物、冷たい物を食べた時のミクロの目で見た時の変形のしかたが全然違うという事です。
 歯はほとんど冷熱の温度による変化がありませんので、詰めてある金属だけが、熱い物や冷たい食べ物により膨張と収縮を繰り返しているうちに、着けてあるセメントが溶けて、歯との間にスキマが出来てしまうのです。

 いずれにしても、そのスキマから、虫歯菌が入り、知らないうちに虫歯になってしまうのです。
 もう少し、写真を見ながらご説明しましょう。
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 上の写真は、メタルインレー(金属の詰め物)をして、長期間経っている歯です。
 ひとつは貴金属の「金」、ひとつは金銀パラジウム合金が入っています。
 よく見ると、どちらも歯から浮き上がってしまっています(黄色矢印)。金銀パラジウム合金の方は硬いのでヒビまで入っています(赤色矢印)。
 角度を変えて見ましょう。
下の写真。スキマが開いて(黄色矢印)ヒビが入っています(赤矢印)。その下は黒く変色し、虫歯になっています。
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 次の症例です。下の写真は、一見、何の異常も無いように見えますが、「時々、違和感がある」歯です。歯科治療をしていて、「時々、違和感がある」って言う訴えは、診断に苦しむことが多々あります。
 そしてメタルインレーはレントゲンを通さないため、ますます虫歯の診断を難しくします。
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 下の写真、大きい歯の方の銀歯を1本外してみると、これだけ虫歯ができかけています。
 セメントが溶けたスキマから虫歯が感染したのです。
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 別の症例をご紹介しましょう。
メタルインレー(金属の詰め物)がポロリと外れてきました。自分から取れてくるインレーは要注意です・・・(-_-;)。
詰め物の裏側は真っ黒になっています。
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 歯の方はと言うと・・・・、もうこれだけ深い虫歯になっています(下写真)。
 でも、外れるまで何の痛みもありませんでした・・・。
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 同様の症例をもうひとつ・・・。
下の写真、ポロリとメタルインレーが取れてきました。やはり症状はありませんでした・・。
黄色矢印部分が黒くなっています。
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歯の中は、と言うと・・・。
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こんな状態です。
試しに一度、元の歯に戻してみると・・・・、
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スキマが開いたり、歯が欠けているのが判ります(黄色矢印部分)。

 最初にも書いたように、もう、このような症例は、毎日毎日見ています。
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銀歯を外すと・・・、
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こうなっています・・・。

コレも・・・。
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コレも・・・。
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メタルインレーがポロリと外れてきた後の歯の写真です・・・。

 メタルインレー・・・・金属の詰め物の本当に怖い所、本当の欠点は、実はココなのです。
欠点をまとめてみましょう。

1. メタルインレーと歯は性質が違いすぎるため、治療数年後にはスキマやヒビ割れが開く事が多い。
2. 開いたスキマからセメントが溶けて虫歯が入り、気が付かないうちに虫歯が進行する。
3. インレーの2次虫歯の症状は、「違和感」程度で痛みが出にくいため気付くのが遅れる事がある。
4. メタルインレーはレントゲンを通さないため、初期は診断が難しい。
5. インレーが取れてきた時には大きな虫歯になっている事がある。

 治療をしても、また悪くなる・・・。削ったら、またまた虫歯になって、そのうち神経も取って、また虫歯になって結局いずれ歯も抜いて・・・。
かつて、それが「当たり前」の時代がありました。
 治しても、治しても、すぐまた虫歯になって患者さんが「痛い」と戻ってくる。虫歯の予防法もわからず、歯磨きすらまともにしてくれない時代・・・。
メタルインレーは、そんな時代に開発された、虫歯を簡単に治療して「噛むことができる」ようにする、当時としては当たり前の「良い治療」でした。
 その治療が「また悪くなる事」は当たり前でしたので「欠点」ではありませんでした。

 アマルガムのように「環境汚染」の問題もありませんので、メタルインレー治療は小さな虫歯治療なら、今でもコンポジットレジン(プラスティック)治療と並ぶ有力な治療の選択肢です。

 しかし、現代では虫歯の予防法も発達し、昔のように次々と虫歯になることは無くなりました。
 また、治療法も材料も高度に発達しましたので、現在では、接着治療など、治療法と材料を選ぶことにより(もちろん予防が大前提ですが・・)、より長期間、歯の寿命を延ばすことができるようになりました。

 当院では、現在メタルインレーの治療でも、虫歯の深い所や削った部分の内面を、接着剤やコンポジットレジン(プラスティック)を使ってカバーし、2次虫歯になりにくいように配慮しています。また、それをすることで、術後、冷たいものがしみたりする事も減らすことができます。

 しかし、それでも、金属そのものの欠点は、完全には解消できません。
そこで、次なるステップアップとして出てくる治療法が「メタルフリー」、金属を使わない治療なのです。

 金銀パラジウム合金とメタルインレーの話はここまでにしておきます。次回は、番外編として、「クラウン」・かぶせ物の話をします。

 最後にメタルインレーの「メタルフリー」修復症例を挙げておきます。
大きなメタルインレーを除去し、「メタルフリー」修復をする場合、当院では多くは「ダイレクトボンディング」か「セラミックインレー」を用います。
 この症例では、セラミックインレーを用いています。
ダイレクトボンディングとセラミックインレーについては、また近々改めてご紹介したいと思います。

 患者様は38歳、女性。
術前です。
大臼歯に2本、メタルインレーが入っています。
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術後です。
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 大臼歯2本をセラミックインレーで修復しました。
 セラミッククラウンではありませんので、一部分に自分の歯が残っているのですが、どこまでがセラミックで、どこまでが自分の歯か判別が付かないのがわかって頂けると思います。隣の小臼歯の古いセラミックインレーと比較してみて下さい。
 現在の「接着技術」はここまで来ています。境い目と段差が無い接着技術が虫歯菌の侵入を防ぎます。 









by healthcarenews | 2019-02-06 00:32 | 虫歯治療・MI治療

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