ヘルスケア通信

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「メタルフリ―」へと続く道・part7 現代歯科治療でもっとも大切な「接着治療」

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリ―」へと続く道、の第7夜、テーマは「接着治療」についてです。

 前回の最後の部分で、歯の寿命を延ばすために当院が力を入れているメタルフリ―治療は「ダイレクトボンディング」と「セラミックインレー」と書きました。
 正確に理解をしておいていただきたいのですが、その治療が、患者様にとって「有益」と思い、勧めているのは、実は「メタルフリ―」だからではありません。
きちんと「接着」をして行う「接着治療」だからです。

 もちろん金属を使わない、というメリットはあると思いますし、何より自然な白い歯が入るということは、患者様にとって大きなメリットだとは思います。

 しかし、歯の寿命を延ばすのは、単に「セラミック」を使っているから、とか、「保険外のプラスティック」を使っているから、ではありません。十分な時間と手間ひまをかけて、精密に「接着」を行っているからです。
 ですから「接着治療」は現代の歯科治療の中でもっとも大切なテクニックのひとつと言えます。
では、「接着」とはどんなものなのか?今夜はそれがテーマです。

 まずは「接着」の説明をする前に、従来型の「セメントで着ける」合着(ごうちゃく)と呼ばれるテクニックの話をしましょう。
 「合着」とは「メタルインレー」の所でも話をした、従来型のセメントで金属を歯に着けるテクニックです。とても簡便でいいのですが・・・
このメタルインレーが(下の写真)・・・、
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 悪くすると、数年後にはセメントが溶けて、こうなります(下の写真)・・・。
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 こちらのメタルインレーも・・・、
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 こうなります・・・。
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 なぜ、こうなるのか?理由はいろいろですが、それはちょうど、セメント(モルタル)で留めてあるタイルや敷石が、風雨や車に踏まれて「年月と共に劣化してはがれる」のと似ています。

 ちょうど、下の写真のような感じですね・・・。
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 この「セメントはがれ」が、悲惨な結果を生むのは、前に説明した通りです。

 こうならないために、長い期間をかけて開発されたのが、歯科の「接着治療」なのです。

 では、「接着」をどう説明したものか・・・?とりあえず教科書から、その「接着治療」の説明だけ抜粋してみましょう。

「ボンディングレジンは、歯質とコンポジットレジンを接着させる成分である。エッチングにより被着歯質表面を処理し、プライマー成分を浸透させ、プライマーが浸透した部分にボンディングレジンが浸透し重合することで、レジンと歯質の接着が成立する。」(歯科用の教科書、保存修復学21、第3版、永末書店、よりの抜粋)

 はい!判らないですね(笑)。書かなきゃいいのに・・・(^^;。
でも、いきなり例え話をするよりも、ちゃんとしたエビデンスのある話に基づいて解説をしていった方がより良いでしょう。
言葉の説明を、ひとつずつ加えていきたいと思います。

・「ボンディングレジン」とは、歯科用接着剤(ボンディング剤)の事です。この接着剤の取り扱いが、「接着治療」の中心になります。
・「歯質」そのものズバリ、歯の事です。
・「コンポジットレジン」、歯に詰める白いプラスティックの事です。レジンだけでは無く、セラミックなども「接着治療」が必ず必要になります。
・「エッチング」および「プライマー」、エッチングは歯のエナメル質に、プライマーは、歯の象牙質に作用します。両者とも簡単に言うと、歯の表面を一層溶かす材料です。

 改めて、接着の流れを、簡単に説明してみましょう。
1. 虫歯を取り残しが無いように削ります。

2. エナメル質はエッティング剤で、象牙質はプライマーで、歯の表面を一層溶かし、ミクロンレベルの穴を開けます。

3. そこにボンディング剤(接着剤)を流し込み、光を照射して硬化(重合)させます。

4. プラスティックはもともとボンディング剤と化学的に結合するため、ボンディング剤の上に充填し、光硬化(重合)させることで接着が成立します。

5. セラミックは、内面を同様にセラミックプライマーで一層溶かし、ボンディング剤を流し込んでからレジンセメントで歯と接着します。

 プライマーが溶かした象牙質のすきまにボンディング剤が流れ込んだ部分(接着層)を、難しい言葉ですが「樹脂含浸層(じゅしがんしんそう)」と言います。
この部分は、大体厚さが10ミクロン前後。電子顕微鏡で確認するくらいのレベルです。
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 いわゆる、従来型のセメントに較べ、「接着治療」が、ほとんど「スキマの無い修復」を実現できるのは、このボンディング剤の開発によります。

 もう一度、「合着」と「接着」について話を整理をしておきましょう。

 「合着」は、虫歯を型を取りやすいように外開きに少し大きめに削り、型を取ってその形に合わせて金属を作り、タイルをはめ込むようにセメントで歯に着けます。
その欠点は、前にお話しした通りです。

 「接着」は、歯の表面、および、接着する側のプラスティックやセラミックの表面を溶剤(プライマー)で一層溶かし、そこに柔らかなプラスティック(接着剤)を流し込んで硬化させ、ミクロンレベルで結合させたのが「接着」です。
 
 その接着強度は、象牙質そのものよりも強いため、「正確に接着できれば」、無理やり力をかけると歯の方が壊れてしまうほどです。また、ボンディング剤やレジンセメントは、唾液や酸にも溶けにくいため、お口の中で長期間安定して機能します。

 こう書くと、「接着治療」がいいに決まってるじゃん!って話になりそうですが、実は話はそう簡単ではありません。
「接着」は先ほど書いたように、歯の表面と歯の詰め物を、ミクロンレベルで結合させるため、その接着面、下地の精密な処理がとても重要になり、この処理ができなければ接着は成立しません。「正確に接着できれば・・」と前置きしたのはそのためです。

 虫歯の取り残しはもちろん、古いセメントなどが残っていると、正確な接着はできませんし、個人個人の歯の質によっても接着しにくい場合があります。
また、接着剤も多様なものが発売されていて、それぞれ取り扱いが違いますので、その特性を歯科医師が良く理解して使う必要があります。
取り扱いを誤ると、合着用セメント以下の性能しか発揮できない場合もあります。
 
 また、接着剤やレジンセメントは、非常に固く、また接着力が強いため、間違って歯のスキマなどに入ると取り除く事ができず、かえって歯周病の原因になったりすることもあるため、取り扱いには本当に注意が必要です。

 その点、合着は、取り扱いが簡単な分、そういうテクニカルエラーは起きにくく、保険診療として長い歴史に裏打ちされたメリットはやはりおおいにあると言えます。

 次回からは、いよいよ症例に入っていきたいと思います。
 当院が「メタルフリ―治療」として力を入れているのは、何度も書いていますが「ダイレクトボンディング」と「セラミックインレー」。
それぞれ、精密に「接着」をすることで高い性能を発揮する治療ですが、やはり長所、短所はあり、必要に応じて使い分けています。
それらの症例の中で接着前の下地の処理の話も少しご説明したいと思います。まずは「虫歯の除去」からです。









by healthcarenews | 2019-03-23 21:34 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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