ヘルスケア通信

newshealth.exblog.jp ブログトップ | ログイン

<   2019年 04月 ( 3 )   > この月の画像一覧

「メタルフリー」へと続く道・Part10 セラミックインレーについて

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道、の第10夜。セラミックインレーについてです。

 何度も言うようですが、現在、僕が力を入れているのは「精密接着」を用いたメタルフリー修復です。
 その中でも、虫歯治療の「最初の一歩」として考えておいて頂きたいメタルフリー修復に、高強度プラスティックを「直接接着」して審美修復を行う「ダイレクトボンディング」と、型を取って、金属の代わりにオールセラミックを精密接着する「セラミックインレー」があります。

 「ダイレクトボンディング」と「セラミックインレー」、それぞれ長所、短所がありまして、それに応じて、症例に合わせて使い分けている訳ですが、そのあたりの細かい話はまた改めてにしましょう。まずはセラミックインレーとはどんなものか症例をご覧ください。

 症例1. 52歳、女性。
下顎、一番奥の歯にメタルインレーが入っています(下写真)。
b0119466_23544923.jpg
例によって例のごとく、はずしてみるとこんな感じです(下写真黄色矢印)。
b0119466_23552071.jpg
 セラミックインレーで接着修復しました(下写真)。
b0119466_23553724.jpg
 セラミックインレーも、ダイレクトボンディングと同じく、天然歯と修復物の境い目がわからないリアルな修復を目指しています。


 症例2. 43歳、女性。
 他院で治療した古いハイブリッドインレーが、ひび割れ、着色をしてきたため、審美修復を希望されました(下写真矢印)。
ハイブリッドインレーは、プラスチックにセラミックの粉を混ぜて、強度を上げた審美修復で、セラミックインレーより安価で手軽ですが、ただ白い歯というだけで、透明感もツヤも無く、すぐひび割れや変色を起こすなど耐久性がありませんので、当院では現在行っておりません。
b0119466_23562245.jpg
 はずして見るとやはり大変な事になっています。
下の写真はハイブリッドインレーだけ外したところですが、古いセメントの下に、黒い影があります。
古い修復物を外した時は、「内部を徹底的に除去」。これが基本原則ですが、またこれが時間がかかります・・・(-_-;)。
b0119466_23563907.jpg
 下の写真は古いセメントと虫歯を除去した後です。まだ黒いですが、これは歯そのものの着色で虫歯ではありません。
 これを削りすぎると、後から知覚過敏や疼痛に悩まされます。染色して正確に虫歯を取ることが求められます。
b0119466_23565841.jpg
 術後です。セラミックインレーを接着しました。
接着を精密に行うことで、どこまでがセラミックで、どこからが歯なのか境い目がわからない修復となっています。
b0119466_23572109.jpg
 症例3. 52歳、女性。
下顎小臼歯と大臼歯に金属の詰め物があります。いつものメタルインレーと一部分にアマルガム充填がされています。
b0119466_23575192.jpg
 もう、虫歯だらけの怖い画像はパスしましょう(笑)。
下の写真は、術中、セラミックインレーの型取り寸前の写真です。
金属を外し、虫歯を取り、セラミック修復に必要な形成がほぼ済んだ状態です。

 赤矢印の部分は、小さなアマルガム充填をダイレクトボンディングを用いて「しわ」と着色を入れてリアルに充填しています。
単にセラミックインレーのテクニックだけではなく、ダイレクトボンディングのテクニックを併用することで、できるだけ削らずに、必要な部分だけ修復するMI(最小限)治療が実現できます。
b0119466_23581444.jpg
術後です。
b0119466_23584142.jpg
角度を変えてみましょう。術前です。
b0119466_23591402.jpg
 術後です。
鏡で撮っていますので、横向きの矢印の歯も同じ歯です。お口の中が明るく見えるのがわかります。
b0119466_23592873.jpg
 この患者様は、上下左右にわたり、セラミックで審美修復をさせていただきました。
下の写真が術前です。
b0119466_00223000.jpg
 術後です。

b0119466_00224123.jpg
 昔、銀歯が当たり前だった時代には、気が付かなかった違和感ですが、いざ、銀歯が無くなってみると、それが当たり前ではないことに気が付きます。

人前でたばこを吸うのが当たり前だった時代が、あっという間に変わったように、銀歯が当たり前だった時代が変わるのも、そう遠くはないと思っています。

 もう、すでに多くの銀歯やブリッジが入っている方が、メタルフリー修復を行うのは、前にも書いたようにコストも時間もかかります。
 もちろん、それを希望される患者様には全力を挙げて治療致しますが、なにより、まだ数本の銀歯しか入っていない患者様に、メタルフリー修復はお勧めしたと思います。

 メタルフリー修復は、歯を失うサイクルから脱却できる可能性を秘めた治療法です。
なるべく歯を削らない精密治療として、また金属を使わない健康的な治療として、そして違和感の少ない審美治療として、大きな価値と魅力を持っています。

 小さな虫歯だからこそ、おざなりな治療を受けずにきちんとコストをかけて修復をして、その歯を末永く大切に予防していく・・・。
これこそが、結果的に患者様の歯を将来的に長期間守ることができる、理想的な歯科治療の形ではないかと思っています。

 

 

by healthcarenews | 2019-04-22 23:59 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

「メタルフリ―」へと続く道・Part9 ダイレクトボンディングについて

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリ―」へと続く道の第9夜。いよいよダイレクトボンディングの症例です。
 ダイレクトボンディングに関しては、今までも何度かご紹介していますが、改めて新しい症例も交えてお話しをしたいと思います。

 「ダイレクトボンディング」とは、一言で言うと、「虫歯の治療や歯の形態修正、形態回復を、保険外の高強度プラスティックを使って、精密に接着修復する治療法」と言えます。

 下の写真をご覧ください。
どの歯が治療された歯かおわかりになりますでしょうか?
b0119466_23555907.jpg
 答えはこの章の一番最後で・・・(笑)。

 まずは症例をご覧ください。
 症例1. 60歳、男性。
何度も出てきますが、メタルインレーのセメントが劣化してはがれた症例です。
下は術前写真です。
b0119466_00105103.jpg
 術後です(下写真)。
歯の咬み合わせの部分の溝や、しわ、着色までプラスチックで再現しています。
 マイクロスコープの8倍拡大でも、修復部と天然歯の部分の境い目がわからないぐらい精密な修復を行っています。
b0119466_00133645.jpg

 症例2. 38歳、女性。
やはり、メタルインレーのセメントはがれから感染を起こした2次虫歯症例です。
術前です(下写真)。
b0119466_00271941.jpg
 レントゲンで見ると、歯とメタルインレーの境い目から黒く虫歯が入っているのがわかります。(下写真黄色矢印)
b0119466_00155883.jpg

 しかし、問題はそれだけではなく、赤い線の囲みの部分、以前の治療で虫歯の深い所をプラスチックで埋めてあるのですが、その下のかなり深い部分まで虫歯が回っています(下写真赤矢印)。
b0119466_00161719.jpg

 まずは、メタルインレーを外します。金属との境い目から黒く感染しています。
 内部の古いプラスチックも接着はがれを起こして浮いてしまっています。
b0119466_00165828.jpg
 もちろん、古いセメントも古いプラスチックも徹底除去です。
 その上で、虫歯も染色して徹底的に除去します。下の写真では、エナメル質の部分にまだ黒い着色が残っていますが、もちろんこれも除去します。
b0119466_00173929.jpg
 ダイレクトボンディングにて、左上第2小臼歯を修復しました。
 咬み合わせの溝や、着色、色むらも再現し、やはりマイクロ8倍拡大画像でも境い目のわからない精密な修復を行っています。
 隣の歯の古いプラスチック充填と比べて見て頂けたらと思います。
b0119466_00144564.jpg

 症例3. 60歳男性。
 同じくメタルインレーが剥がれて脱落しました。
 前にも書いたように、メタルインレーの脱落→2次虫歯という症例は日常的に起こっています。
 一度メタルインレーとして大きく削られた歯へのプラスチック充填は、よほど注意して接着修復を行わないと、術後の咬合痛や不適合、知覚過敏が起こりやすく、想像以上に非常に難易度が高い治療になります。
b0119466_00442859.jpg
 この症例も、やはり、ダイレクトボンディングによる精密接着修復をさせて頂きました。
術後(下写真)です。ちょっと見では、治療してある歯とは見えないリアルな再現をしています。
b0119466_00451961.jpg
 ダイレクトボンディングは、以前に「失われた歯を取り戻す、・・本当の意味の「修復」を目指して。」と言うタイトルでご紹介したことがあります。
 その記事の通り、本物の歯そっくりな「リアル」な修復が魅力ですが、本当の価値は、前にも述べましたが、精密な虫歯除去と接着修復にあります。
精密な接着修復と、リアルな歯の再現を、1~2回の治療で一気に行いますので、ダイレクトボンディングは1回が非常に時間がかかる治療になります。
しかし、術後は本当に患者様に喜んでもらえる治療でもあります。

 さて、これまでは「1本だけの治療」の症例を拡大して、どの程度精密な修復ができているかを見ていただきましたが、実際のところ、患者様がご自分の歯をここまでの拡大で見る事はありませんし、まして他の人に(歯医者さん以外(^^;)ここまで拡大して見られることはありません。
 ですから、くどいようですが、「リアルな修復」がダイレクトボンディングの目的ではありません。その真の価値と目的は精密な接着修復にあります。
 しかし、昔の治療で無造作にたくさんのメタルインレーが入っているお口の中に、メタルフリー修復としてダイレクトボンディングを行うと、その価値は引き立ってきます。

 症例4. 58歳女性。
奥歯に3本のメタルインレーが入っています(黄色矢印)。昔はこんな治療が当たり前でした。
b0119466_00482756.jpg
 ダイレクトボンディングで、すべて審美修復しました(下写真黄色矢印)。
お口の中が明るくスッキリとして、とても健康的に見えます。
b0119466_00495642.jpg
 最近はデジタルテレビが良くなって、芸能人を見ていて思うのですが、お口の中の見え方で、人の印象が大きく変わる時があります。

 メタルフリー修復が、何より精密治療として、そして金属を使わない健康的な治療として、そしてお口の印象を変える審美治療として、大きな価値と魅力を備えている事をおわかりいただけたらと思います。

 さて、冒頭の写真の答えにまいりましょう。
 症例5. 49歳女性。
b0119466_00023757.jpg
 答えは、奥歯2本の大臼歯にダイレクトボンディングを行っていました。
同じ角度からの術後です。
b0119466_00025663.jpg
 奥歯2本だけ、真上から拡大してみましょう。
b0119466_00031931.jpg
 この患者様には、「感動した!」って言っていただけました・・。なによりの誉め言葉です(笑)。

 失われた歯を取り戻す、・・・本当の意味の「修復」を目指して・・・。
明日もまた目指して行きます。


by healthcarenews | 2019-04-16 00:18 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

「メタルフリ―」へと続く道・Part8 接着治療における「虫歯除去」について

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリ―」へと続く道、の第8夜。接着治療における「虫歯除去」と「前処理」についてです。

 接着治療には、その前準備としての「精密な下地の処理」がとても大切!って話は前回しました。
その前準備として挙げられるのが、

1.古い詰め物の確実な除去
2.徹底的な虫歯の除去
3.適確なエッチング、プライマーなどの前処理

となります。今夜は、その中でも1.と2.を中心に症例を交えてご紹介したいと思います。

 症例です。ほとんどがマイクロスコープによる写真ですので、見にくい所があると思いますがご容赦下さい。

症例1
 40歳、女性。左上奥歯に強い痛みがあるという事で来院なさいました。
b0119466_22314372.jpg
 診てみると、大臼歯に古いプラスチックが詰めてあり、「接着はがれ」を起こして浮いてしまっています。
 新しい充填と、古い充填が入り交じり、もう、いわゆる「つぎはぎ」の状態になっていました。
b0119466_22332000.jpg
レントゲンで見ると、矢印の部分のプラスチックの下に虫歯ができていました。
b0119466_16264914.jpg

 下の写真は、古い詰め物を少し外したところです。古いプラスチックの下に穴が開いています。
b0119466_22333875.jpg
 精密な接着のためには「古い詰め物は徹底的に除去!」が原則です。
b0119466_22393294.jpg
 マイクロスコープで見ながらだいぶ取ったのですが、まだプラスチックの一部が残っています。
 必要な部分だけを十分に削り、かつ、余計な所は削り過ぎない!、ということは、当たり前のようですが、狭いお口の中の見えにくい所でそれを実行するのは、とても大変な事なのです。

 ここで、より完全に虫歯を取るために、虫歯染め出し液(う触検知液)を使います。
b0119466_22405236.jpg
染めて見るとびっくり。まだまだこんなに染まります。
 さらに虫歯を取り除いて・・・、
b0119466_22423508.jpg
もう一度染め出しをします。
b0119466_22431682.jpg
 大部分は取れましたが、エナメル質と象牙質の境い目や、虫歯の深い部分にまだ少し青く残っています。
 ここまで来ると、普通のドリルでは届きにくいため、超音波器具やハンドのエキスカベータ―などいろいろな器具でトライします。
b0119466_22435149.jpg
 上は全部、虫歯を取り切った後の写真です。大きく削ったように見えますが、隠れている虫歯を取るとこれくらいの削除は必要でした。

 精密な接着の前準備としては、これだけ徹底的に虫歯を取る必要があります。逆に、ここまで削除をすると、治療には精密な接着修復を行わないと、術後の疼痛や、強い知覚過敏に悩まされることになります。

 この症例でも、ここまで虫歯を削除した後、接着修復を行うことで、神経を取ることなく痛みが治まりました。
b0119466_16282915.jpg

症例2
 29歳、女性。やはり左上に違和感と一時的な軽い疼痛がありました。
レントゲン診査で虫歯を認めたため、治療を行いました。
b0119466_23240421.jpg
b0119466_23062067.jpg
古いプラスチックを除去すると、中にカリエスが見つかりました。
上の写真は、1回目の虫歯染色をした直後の写真です。中が青く染まっているのがわかります。
b0119466_23071108.jpg
 上の写真は、さらに虫歯除去を続けて2回目の染色の後の写真です。
かなり虫歯を取りましたが、まだエナメル質と象牙質の境い目や、神経に近い部分にわずかに青く残っています。
この部分は、実際、拡大視野で直接覗いて取らないと、確実な虫歯除去が難しい部分です。
b0119466_23073567.jpg
 上の写真は、虫歯を徹底的に除去した後の写真です。
隣の歯との境い目の部分も完全に虫歯除去できて、キレイなエナメル質が見えています。
b0119466_23075688.jpg
 充填後です。マイクロスコープによる8倍の拡大視野でも、歯とプラスチックの境い目がわからないくらい精密な充填ができています。

 虫歯治療の原則は、できるだけ歯を削らないMI、ミニマルインターベーション(最小限治療)です。
これは大原則なのですが、最小限治療にこだわりすぎて、削り足らなくて虫歯を取り残すのは、本末転倒で絶対にやってはいけない治療になります。
 (ただし、唯一、神経に非常に近い虫歯だけは、意図的に、一層虫歯を残す時があります。これな特殊なケースです。)

 虫歯除去という、歯科医師にとってはごく当たり前の治療なのですが、実は非常に奥が深く、難しい時もあります。
ていねいにやると、すごく時間がかかる時もあります。ご理解をお願いしたいと思います。


 最後に、虫歯除去後の下地の前処理の話を「簡単」にしておきましょう。
前処理、とは、歯に接着しやすくするための前準備と思ってください。
また、すべてを必ず行う必要がある訳ではありません。必要に応じて取捨選択をして行います。

1. 虫歯除去した後の歯の接着面を細かい目のドリルで仕上げます。その方が接着力が上がります。

2. エナメル質部分のみ、エッチング剤にて一層溶かして、ザラザラにします。決められた処理時間を厳守します。

3. プライマー液で、象牙質を一層溶かします。
 エナメル質と象牙質は性質がまったく違うため、それぞれ決められた薬剤で、決められた時間と処理方法を厳守します。ここが大きく接着力を左右します。

4. セラミックや、すでにプラスチックが詰められている所には、セラミックプライマー(シランカップリング剤)という薬剤が必要です。これも使用法厳守です。

5. プラスチックの充填は、プラスチックが硬化する時にわずかに収縮するため、その収縮量と方向を考えて充填をしていきます。
 また、プラスチックの色はもちろん、硬さもたくさんの種類があり、場所により使い分けます。

6. 接着の仕上げとして光照射を行います。多方面からできだけ長く照射し、十分に硬化させます。確実な硬化のために酸素を遮断するオキシガードと呼ばれる薬剤を使う  時もあります。

 これ以外にも、確実な接着のためには、考える事、行う事は多岐にわたるのですが、まあ、いずれにせよきちんと接着するためには、いろいろな条件に注意して、ひとつひとつの行程を確実に行う事が大切という事になります。

 確実な「メタルフリ―」修復を行うためには、本当に時間がかかります。患者様も僕もクタクタになってしまう事もあります。

 しかし、虫歯除去にしろ、前処置にしろ、正確な充填にしろ、ひとつひとつ手を抜くことなく正確に仕上げる事で、精密な接着が成り立ちます。この記事がその点をご理解いただける一助になれば幸いです。



by healthcarenews | 2019-04-01 23:11 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


by healthcarenews
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite