ヘルスケア通信

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「メタルフリー」へと続く道・Part3 金銀パラジウム合金について 後編

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道・Part3 金銀パラジウム合金について、の後編です。

 前編終盤で、歯と金属はあまりに性質が違いすぎるため、クラウンはともかく、メタルインレー(金属の詰め物)は、治療後数年も経つと明らかに劣化していく、と書きました。そして、これはメタルインレー治療の大きな欠点、と書きました。

 この「メタルフリー」へと続く道・Part3のテーマは、金銀パラジウム合金の欠点と言うよりは、実は「メタルインレー治療そのものの欠点」と言えます。

 メタルインレー治療は、虫歯を治療するためには、保険診療で出来て、丈夫で手軽で、とりあえず安価に虫歯を詰めるには非常に便利な治療法です。
 ですので、今でも普通に行われていますし、当院でも普通に行っています。
 でも、その裏には大きな欠点が潜んでいる事も知っておいて頂きたいと思います。今夜はまず、その検証からです・・・・。

 下の写真をご覧ください。
古いメタルインレー(金属の詰め物)ですが、歯との間にスキマが出来ています。
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 金属を外してみると・・・・、中でセメントが溶けてこんな風になっています。
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 メタルインレーの平均寿命は5.4年(口腔衛生学会データ)。上の写真のような症例は毎日のように見かけます。
 こうなる原因はいろいろですが、大きな根本的な原因のひとつが、歯と金属は性質が大きく違う、という事です。

 その性質とはなんでしょう?
ひとつはその硬さ。歯と金属は硬さが大きく違います。
 特に奥歯は咬む力が強いため、金属そのものは硬くて丈夫で長持ちしても、その周囲の歯が欠けて、ひび割れやスキマができてしまいます。

 もうひとつは熱膨張です。「熱膨張」ってむずかしい言葉ですが、要は熱い物、冷たい物を食べた時のミクロの目で見た時の変形のしかたが全然違うという事です。
 歯はほとんど冷熱の温度による変化がありませんので、詰めてある金属だけが、熱い物や冷たい食べ物により膨張と収縮を繰り返しているうちに、着けてあるセメントが溶けて、歯との間にスキマが出来てしまうのです。

 いずれにしても、そのスキマから、虫歯菌が入り、知らないうちに虫歯になってしまうのです。
 もう少し、写真を見ながらご説明しましょう。
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 上の写真は、メタルインレー(金属の詰め物)をして、長期間経っている歯です。
 ひとつは貴金属の「金」、ひとつは金銀パラジウム合金が入っています。
 よく見ると、どちらも歯から浮き上がってしまっています(黄色矢印)。金銀パラジウム合金の方は硬いのでヒビまで入っています(赤色矢印)。
 角度を変えて見ましょう。
下の写真。スキマが開いて(黄色矢印)ヒビが入っています(赤矢印)。その下は黒く変色し、虫歯になっています。
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 次の症例です。下の写真は、一見、何の異常も無いように見えますが、「時々、違和感がある」歯です。歯科治療をしていて、「時々、違和感がある」って言う訴えは、診断に苦しむことが多々あります。
 そしてメタルインレーはレントゲンを通さないため、ますます虫歯の診断を難しくします。
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 下の写真、大きい歯の方の銀歯を1本外してみると、これだけ虫歯ができかけています。
 セメントが溶けたスキマから虫歯が感染したのです。
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 別の症例をご紹介しましょう。
メタルインレー(金属の詰め物)がポロリと外れてきました。自分から取れてくるインレーは要注意です・・・(-_-;)。
詰め物の裏側は真っ黒になっています。
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 歯の方はと言うと・・・・、もうこれだけ深い虫歯になっています(下写真)。
 でも、外れるまで何の痛みもありませんでした・・・。
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 同様の症例をもうひとつ・・・。
下の写真、ポロリとメタルインレーが取れてきました。やはり症状はありませんでした・・。
黄色矢印部分が黒くなっています。
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歯の中は、と言うと・・・。
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こんな状態です。
試しに一度、元の歯に戻してみると・・・・、
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スキマが開いたり、歯が欠けているのが判ります(黄色矢印部分)。

 最初にも書いたように、もう、このような症例は、毎日毎日見ています。
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銀歯を外すと・・・、
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こうなっています・・・。

コレも・・・。
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コレも・・・。
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メタルインレーがポロリと外れてきた後の歯の写真です・・・。

 メタルインレー・・・・金属の詰め物の本当に怖い所、本当の欠点は、実はココなのです。
欠点をまとめてみましょう。

1. メタルインレーと歯は性質が違いすぎるため、治療数年後にはスキマやヒビ割れが開く事が多い。
2. 開いたスキマからセメントが溶けて虫歯が入り、気が付かないうちに虫歯が進行する。
3. インレーの2次虫歯の症状は、「違和感」程度で痛みが出にくいため気付くのが遅れる事がある。
4. メタルインレーはレントゲンを通さないため、初期は診断が難しい。
5. インレーが取れてきた時には大きな虫歯になっている事がある。

 治療をしても、また悪くなる・・・。削ったら、またまた虫歯になって、そのうち神経も取って、また虫歯になって結局いずれ歯も抜いて・・・。
かつて、それが「当たり前」の時代がありました。
 治しても、治しても、すぐまた虫歯になって患者さんが「痛い」と戻ってくる。虫歯の予防法もわからず、歯磨きすらまともにしてくれない時代・・・。
メタルインレーは、そんな時代に開発された、虫歯を簡単に治療して「噛むことができる」ようにする、当時としては当たり前の「良い治療」でした。
 その治療が「また悪くなる事」は当たり前でしたので「欠点」ではありませんでした。

 アマルガムのように「環境汚染」の問題もありませんので、メタルインレー治療は小さな虫歯治療なら、今でもコンポジットレジン(プラスティック)治療と並ぶ有力な治療の選択肢です。

 しかし、現代では虫歯の予防法も発達し、昔のように次々と虫歯になることは無くなりました。
 また、治療法も材料も高度に発達しましたので、現在では、接着治療など、治療法と材料を選ぶことにより(もちろん予防が大前提ですが・・)、より長期間、歯の寿命を延ばすことができるようになりました。

 当院では、現在メタルインレーの治療でも、虫歯の深い所や削った部分の内面を、接着剤やコンポジットレジン(プラスティック)を使ってカバーし、2次虫歯になりにくいように配慮しています。また、それをすることで、術後、冷たいものがしみたりする事も減らすことができます。

 しかし、それでも、金属そのものの欠点は、完全には解消できません。
そこで、次なるステップアップとして出てくる治療法が「メタルフリー」、金属を使わない治療なのです。

 金銀パラジウム合金とメタルインレーの話はここまでにしておきます。次回は、番外編として、「クラウン」・かぶせ物の話をします。

 最後にメタルインレーの「メタルフリー」修復症例を挙げておきます。
大きなメタルインレーを除去し、「メタルフリー」修復をする場合、当院では多くは「ダイレクトボンディング」か「セラミックインレー」を用います。
 この症例では、セラミックインレーを用いています。
ダイレクトボンディングとセラミックインレーについては、また近々改めてご紹介したいと思います。

 患者様は38歳、女性。
術前です。
大臼歯に2本、メタルインレーが入っています。
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術後です。
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 大臼歯2本をセラミックインレーで修復しました。
 セラミッククラウンではありませんので、一部分に自分の歯が残っているのですが、どこまでがセラミックで、どこまでが自分の歯か判別が付かないのがわかって頂けると思います。隣の小臼歯の古いセラミックインレーと比較してみて下さい。
 現在の「接着技術」はここまで来ています。境い目と段差が無い接着技術が虫歯菌の侵入を防ぎます。 









# by healthcarenews | 2019-02-06 00:32 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

「メタルフリー」へと続く道・Part3 金銀パラジウム合金について 前編

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道、の第3夜、金銀パラジウム合金についてです。

「金銀パラジウム合金」とはどんな金属か?と、いうと、今の日本で、保険診療の銀歯、メタルインレー(金属の詰め物)やクラウン(かぶせ物)に使われている金属、そのほぼ「すべて」という事ができます。

 ちなみに、メタルインレー(金属の詰め物)とは、歯の一部分を削って、型を取って、それからできた金属をセメントで歯に着ける治療です。
 クラウン(かぶせ物)とは、歯の全部を削って、型を取って、全体をすっぽりかぶせるように包んだ金属をセメントで歯に付ける着ける治療です。

 下の写真のコレ(黄色矢印)や隣の歯の銀歯がメタルインレーで、材料は金銀パラジウム合金・・・、
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また、下の写真の黄色矢印もめメタルインレーで、その隣の歯がクラウンです。そして材料は金銀パラジウム合金・・・。
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下の写真の3つの黄色矢印も・・・、
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みーんな金銀パラジウム合金です。

 一部、入れ歯や土台に、違う種類の金属を用いる事はありますが、歯科用で保険で使われる金属のほとんどが、おそらくこの「金銀パラジウム合金」だと思います。

 その金属としての組成は国が決めていて、金12% パラジウム20% 銀50% 銅16%、その他の金属2%、まあ大体こんなところです。

 では、金銀パラジウム合金に害(毒性)はあるのか?と問われると、国が「保険診療にはこの金属を使いなさい!」と決めてしまっていますので、僕個人としては何もそれに反論する事もできませんし、害を実証する、いわゆるエビデンス(根拠)のある論文を持っている訳でもありません。まあルールですので、使わざるを得ない、と言うところが本音にになります。

 ただ、貴金属としての「金」は、昔から金箔としてお酒に入れて飲む人もいるくらいですから、まあ多くの害は無いのでしょうが、残り88%のパラジウム、銀、銅や、その他の金属が、金属それぞれの性質を調べた時に、「大丈夫かどうか?」というのが問題で、少なくとも金属アレルギーの原因になるのはあり得るのかなあ、と言うところです。
 しかし、確かに、金属アレルギーの患者様で、金属を除去することで症状が改善したということは良く経験することですが、たくさん他にも金属が入っているのに、一部の金属を除去するだけで症状が改善する場合もあり、すべてが金銀パラジウム合金のせいでは無い、ということも経験しています。

いわゆる保険外診療で、メタルフリー治療(ノンメタル治療)を専門でやっている医院のサイトを見てみますと、かなり怖いことがいろいろ書いてあります。

いわく、金銀パラジウム合金は、お口の中でアンテナとして働いて、電磁波を集めて、電磁波過敏症を招く。

いわく、唾液で溶けてガルバニ電流を発生し、疲れやすい、めまい、動悸、頭痛、腰痛、肩、首のコリ、ひじ、ひざの痛み、などを起こす・・・などなど。

また、できるだけ早く、「お口の中から金銀パラジウム合金を外す必要があります。」とまで書いてあります・・・(-_-;)。

 Part1にも書きましたが、金属は金属の素晴らしい長所があり、また、保険診療としての長い歴史の中で、膨大な数の金属が患者様のお口の中に入っていますので、この「金銀パラジウム合金をすべて外す」あるいは「使わない」治療を、まともに実践すれば、歯科治療としての根本である、「虫歯を治療して痛くなく噛めるようにする」、という行為が、保険診療ではまったくできなくなってしまい、これはこれで本末転倒、という感じがします・・・(汗)。

 ですから、この金銀パラジウム合金の「毒性」という問題に関しては、ここはちょっと横に置いておきましょう。
アマルガムと違い、100%悪者ではありませんし、安価で手軽に丈夫に治療ができる材料には違いありません。
 僕も、今でも必要に応じて普通に使っていますし、特に強い噛む力がかかる奥歯のクラウン(かぶせ物)などにはどうしても必要な材料になります。

 ただ、「金属の使用量を減らす、あるいはより良い材料を使う」というスタンスは、これからは「アリ」だと思います。
いまは、それに代わる良い材料も出てきています。

 ここからは、また後編に持ち越しましょう。
後編のテーマは、やはり接着性。
歯と金属はあまりに性質が違いすぎるため、クラウン(かぶせ物)はともかく、メタルインレー(金属の詰め物)は、治療後数年も経つと明らかに劣化していきます。
 金銀パラジウム合金は、その合金そのものの毒性よりは、金属としてのその他の性質の方が大きな問題になります。
これは、特に「メタルインレー」治療の大きな欠点であり、そして「貴方の歯と体の健康を守る」ためにとても重要なテーマとなります。
 

 





# by healthcarenews | 2019-01-30 22:40 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

「メタルフリー」へと続く道・Part2 アマルガム合金について・後編

 今夜のヘルスケア通信は、メタルフリーへと続く道・Part2 アマルガム合金について、の後編です。
前編の後半部分で、アマルガム合金の欠点について触れました。

 簡単に復習しておきますと、アマルガム合金の欠点とは

1. 金属に「水銀」が使われていて「毒性」があること。
2. 劣化して溶けだし、黒色になり、周囲の歯も黒く変色することがあり、審美的にキレイでないこと。
3. アマルガムは歯に接着しないため周囲にスキマが開いて、知らないうちに虫歯になったり歯が割れたりすること・・・などなどです。

 後編のテーマは、この欠点2と欠点3。
両者は、アマルガムの金属としての性質そのものを原因としていますので、まとめて見ていきたいと思います。
 
 まずは写真をご覧ください。
下の写真は「メタルフリーへと続く道・Part1」でも使った写真ですが、奥歯が明らかに変色し、大きく審美性を損ねています。そして、後に紹介しますが、この歯は想像以上に重症で、最悪の結末を迎えます。
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 下の写真、黄色矢印は、とても小さいアマルガム治療ですが、黒変し逆に虫歯のように見えてしまっています。
その間の小臼歯は何十年も虫歯になっておらず、虫歯リスクの考えから見ると、このアマルガム治療も本当に必要だったのか疑問が残るところです。
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 下の写真、黄色矢印部分。
アマルガムは接着性が無いため、長期使用で劣化してスキマができたり、歯にヒビが入ったり割れたりすることがあります。
接着性とは、歯科材料が歯そのものくっつく性質で、接着性があると、歯を補強する場合があります。
接着性が無いと、スキマやヒビができやすくなり、そスキマやヒビの部分から中に細菌が入るため、中で虫歯が進行します(2次虫歯と言います)。
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 下の写真の歯も同様です。
前歯の裏側ですが、ヒビやスキマが入り、中で2次虫歯が進んでいます。
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 さて、下の写真は最初に出てきた症例ですが、そのアマルガムを除去した時のマイクロスコープ画像です。
2次虫歯の部分を取り除いたのですが、矢印部分にヒビが入っています。
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 ヒビからの感染は神経にまで進んでいましたので、やむを得ず神経を取りました。
4本も神経がある歯でしたが、大きく黒いヒビが入っています(黄色矢印)。
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 最も問題なのはこのヒビで、これだけ大きなヒビが入った奥歯は、正直言って予後がまったく予測できず、治療後すぐに割れてしまう可能性もあります。
そうなるとこの歯は抜歯になりますので、もっと早く治療ができなかったか悔やまれるところです。
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 別の症例も見てみましょう。
同じく古いアマルガム治療のマイクロスコープ画像です。
お約束のように、アマルガムの「劣化」「ヒビ」「中の2次虫歯」が出来ています。
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 アマルガムを除去したあとの画像です。
一部ですが、中で深い虫歯になっています。ヒビも入っています(黄色矢印)。
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 この症例も大きなヒビが入っていましたが(下写真、黄色矢印)、幸い神経までは入っていなかったため、詰めなおすだけで治療は終了しました。
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 誤解が無いよう書き添えておきますが、「ヒビ」の問題は、アマルガムだけの問題ではありません。
最近は、ストレス社会のせいか、食いしばりや歯ぎしりで、健康な歯を噛み割ってくる方が増えています。
特に、マイクロスコープなどで覗いていると、問題がある歯の多くの症例に「ヒビ」を発見します。
これはまたどこかで改めて話をしたいと思います。

 さて、最後に、わりと簡単なケースのアマルガム治療の再治療の例を紹介したいと思います。
 下の写真、やはり奥歯の古いアマルガム治療。
「劣化」はありますが、まだ初期で、幸い中の「ひどい2次虫歯」と「ヒビ」はありません。
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下の写真は、アマルガム合金除去後です。虫歯はありませんが、それでもこれだけ変色しています。
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 接着性材料のプラスティック(コンポジットレジン)で修復しました。(下写真)
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 現在では、ていねいにやると、ここまで審美性と歯の形を回復する事ができます。
術前と比べて見たら、やっぱりこっちの方がいいのは、皆さん明白だと思います・・・。

 さて、今回始めた『「メタルフリー」への道』・・・、その「最初の第一歩」がアマルガム合金の除去です。
わざわざ、『「メタルフリー」への道』、と、仰々しいタイトルをつけたのは、それが実は思いのほか、遠い遠い大変な道のりだからです・・(-_-;)。

 「Part1、歯科用金属の功罪」、でも述べたように、金属にも「強度」という大きなメリットがあり、また過去からの保険診療の流れで、お口の中全体に金属が入っている患者様もいらっしゃっいますので、そのすべてをいきなり外してメタルフリーにすることは、時間的にも費用的にも性能的にも到底不可能です。
また、小さな詰め物は保険診療でも大丈夫ですが、大きな虫歯の詰め物は保険外診療になる可能性が高いのも、道のりを遠くする大きな問題です。

 次回は金銀パラジウム合金の話になりますが、これにくらべると、小さなアマルガム治療なら、多くは保険でプラスティックに替える事ができますので、アマルガムのマイナス面を考えると、手軽でコストパフォーマンスの高い治療になります。
 それでも、このアマルガム治療が、現在どれくらいの量、患者様皆様のお口の中に眠っているのか想像もつきません。
それだけ長い長い歴史がある治療なのです。

 アマルガムの除去は「メタルフリー」への第一歩!
少しずつやっていきたいと思います。

 

 






# by healthcarenews | 2019-01-23 16:16 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

「メタルフリー」へと続く道・Part2 アマルガム合金について・前編

 今夜のヘルスケア通信は、「メタルフリー」へと続く道、の第2夜です。
前回にも少し触れましたが、歯科でお口の中に使われる金属は、大きく分けて
1.アマルガム合金
2.金銀パラジウム合金
3.銀合金
4.チタン合金
5.コバルトクロム合金
6.金や白金などの貴金属
などなどです。

 今夜のテーマはその中の、1.「アマルガム合金」についてです。
「アマルガム合金」とは、銀やスズ、銅や少量の亜鉛などの金属を「水銀」と混ぜて「練り合わせて作る合金」の事です。
 混ぜ合わせた当初は柔らかいため、型を取る必要が無く、削ってすぐに虫歯の穴などに詰める事ができます。
硬化すると固い金属に変わり、少し膨張するため、虫歯の穴に密着してしっかりと詰める事ができます。

 とにかく簡単で安価で丈夫。「接着」のための面倒な下準備も要らず、銀の殺菌作用のせいか少々虫歯の取り残しがあっても「それなり」の治療ができるため、今から40~50年前の「虫歯の洪水」と言われた時代、歯医者さんが患者さんであふれた時代には、非常に重宝された治療法でした。

 40代から50代の方なら心当たりがあるでしょうが、学校検診で「虫歯だねー」って言われて、歯医者さんに行くと、ろくな説明も無くチャチャっと削って詰められた「銀歯」、そうアレです(^^;。

まあ、下の写真のコレ(黄色矢印)とか・・・・、
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コレとか・・・、
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コレとか・・・、
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コレなどです。
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 上の写真の症例でも、もう何十年もお口の中で痛くなく噛めていて、あの訴訟大国で安全性にうるさいアメリカでも50年以上問題にならずに使われてきた材料ですので、一概に「悪い治療」と言う訳ではないのですが・・・、まあ、コレに変わる「接着治療」が確立した現代では、使う理由は無いですねえ。

 アマルガム治療は、虫歯の治療が、
「歯科医院は歯が悪くなってからかかるもの」
「穴が開いたら削って詰めたら治療は終わり」
「どうせ、また悪くなる」
 そう思われていた時代~歯科治療が、長期的な全身の健康を守るなど、まったく考えられていなかった時代~の、前時代の遺物と言えます。
日本でも2~3年前に、保険診療での使用が廃止されました。

 簡便なアマルガム治療ですが、現代で用いるにはアマルガムには三つの大きな欠点があります。

 アマルガム合金の、大きな欠点のひとつ目はまず金属に「水銀(無機水銀)」が使われている事。
水俣病で有名な「有機水銀」ほど強い毒性がある訳ではないですが、長期間使用しているうちに唾液で溶けて、粘膜や消化器官から吸収されて体内に蓄積されて毒性を発揮すると言われています。

 人を脅かすようなサイトを見れば、「アマルガム(水銀、スズ)は、神経毒性が強く!、不眠、イライラ、めまい、肩こり、頭痛、アレルギー、アトピー性皮膚炎の原因になり、免疫力が落ちてリウマチなどの膠原病や、不妊の原因にさえなる」などと書いてあります・・・・(-_-;)。
 まあ、小学校の頃にアマルガムを詰めて、50代60代までピンピンしている人がほとんどですので、上のようなサイトの情報を鵜呑みにしてはいけませんし、不必要に恐れて過剰に反応する必要はありませんが、金属アレルギーの原因になることは間違いないと思っています。
 また、原因不明の体調不良に悩まれている方が、アマルガムを除去することで回復するなら、それはそれで素晴らしい事だと思います。

 50代60代を超えてくると、ホルモンバランスの狂いや、体力、免疫のバランスの悪化も、「老化現象」として起きてきますので、その不安定要素を減らすためにも、最近では患者様の了解が得られたら、できるだけアマルガムを外してプラスティック(コンポジットレジン)などで詰め替えるようにしています。

 二つ目の欠点は、見た目が審美的に悪い事。
単なる銀色ではなく、年数が経ってくると金属が劣化して黒い銀色に変わってきます。
上の写真でもそうですが、単に金属が劣化するだけでなく、銀が溶けだして、周りの歯まで黒く変色させていきます。
これは、歯の歯質そのものを変色させますので、後からアマルガムだけ除去して、プラスティックを詰めてもきれいな色にもどらない時があります。

 三つ目の重大な欠点は、(現在の予防歯科的見地から言うと、僕的にはこちらの方が重要なのですが・・・)アマルガムは歯に接着性が無い事。
そのため、長期使用で、歯とアマルガムのスキマに知らないうちに深い虫歯が出来ていたり、歯が割れたりすることです・・・(-_-;)。
 また、これはこれで、多くの症例と写真が必要になります。
こちらの話は後編に回しましょう。


 


 




# by healthcarenews | 2019-01-22 13:26 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

「メタルフリー」へと続く道・Part1 歯科用金属の功罪について・・・。

 2019年、最初のヘルスケア通信は、昨年末からの続きで「メタルフリー」をテーマにしていきたいと思います。

 2018年、年初から集中して「インプラント」をテーマにしたように、今年の年初の特集は「メタルフリー」。
まあ、「インプラント」ほどたくさん書くことがある訳ではありませんが、逆に、「インプラント」が虫歯が重症になって、いよいよ歯を抜かないといけない段階まで来た患者様の悩ましい選択肢として上がってくるのに対し、「メタルフリー」は、最初の虫歯の1本から、いや、最初の虫歯の1本だからこそ考えておかないといけないテーマで、老若男女、健康な歯の方も含め、多くの患者様に非常に身近なテーマなのです。

 2015年7月より始まったダイレクトボンディングは安定した成績を残していますし、2018年にバージョンアップしたオールセラミックスの接着システムも、時間はかかりますが、非常に好成績を残してくれており、これで当院で安心して「メタルフリー」治療を提供できる環境が整ったと思っています。

 くしくも、今年の5月には「○○元年」と年号が変わります。当院も、今年はそれにあやかって「メタルフリー元年!」(笑)として(冗談ではなく)、真剣に患者様の事を考えてメタルフリーに取り組んでいきたいと思っています。

 「メタルフリー」治療、医院によってはノンメタル治療と呼ぶこともありますが、まあ簡単に言うと、お口の中に行う歯科治療に際し、金属を使わない治療の事です。
何故「メタルフリー」に真剣に取り組むかと言うと、やっぱりそれが良いと思うからなのですが、その説明のためには、歯科の治療に使われている金属について、ちゃんと説明しておく必要があると思います。

 で、メタルフリー特集Part・1は歯科用金属の功罪、から・・・。

 まず誤解の無いように最初にお断りしておきますが、歯科用金属として今まで歯科で長く使われてきた金属は、その時代時代のニーズにマッチした、どれも素晴らしい性能を持つ材料です。
 金属アレルギーの問題のように、有害な部分も無視はできないのですが、歯科治療から金属の使用を永久に完全に「ゼロ」にすることは、コストと材料の性質の問題から見ても非現実的で、非常に難しいと思っています。

 特に、金属が持つ大きな長所は「丈夫」な事です
歯には、時には体重と同じかそれ以上と言われるくらいの「強大な噛む力」がかかるのですが、金属なら噛む部分を厚さ0.3㎜ぐらいまで薄く仕上げることができます。
 それは、クラウンとして歯をかぶせてしまう時は、歯を削る量を薄く最小限に抑える事ができますし、ブリッジとして複数本つなぐ場合も、削る量を最小限にして薄く仕上げて形や舌触り良くし、その上でブリッジの強度を十分に保つことができます。
これはオールセラミックスやプラスティックにはできない芸当です。

 もうひとつ、金属は技工のやりやすさも大きな長所で、丈夫な事とあいまって、非常に繊細な加工が可能になります。
例えば、指輪やネックレスなどの貴金属を想像して頂ければ良いと思います。
あれこそ金属ならではの繊細な加工性が生み出すもので、仮に大きいダイヤが付いていたとしてもセラミクスだけの太い指輪やナイロンの糸でつながれたダイヤのネックレスに心がときめくでしょうか・・・?

 では、なぜ、今メタルフリーなのか・・・?
実は、クラウンやブリッジでは、いまだに有利な面も持つ「金属」ですが、特に小さな歯の「詰め物」となると現代では事態は大きく変わってきています・・・。

 画像をご覧ください・・・。
奥から2番目の歯の銀歯の周辺が真っ黒に変色しています。
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 患者様は48歳、女性。
 20年以上前に詰めた銀歯が腐食し、中が2次う蝕(1度治療した歯のスキマからまた虫歯になること)になりました。残念ながら虫歯に気付くのが遅れたため、この歯は神経を取ることになりました・・・。
 しかし、この患者様は、実は銀歯以外のところは虫歯になっていません。もともと虫歯にはなりにくい体質なのです。ところが、銀歯の部分だけが神経を取るくらい虫歯が進んだのです。ここに金属の詰め物の大きな問題があるのです!

 この治療に使われている金属は、一般に「アマルガム」と呼ばれている金属です。
その他に、歯科で使われている金属は、細かく分ければまあ無数にあるのですが、大きく分けると、この「アマルガム合金」、「金銀パラジウム合金」「銀合金」、金や白金などの「貴金属」そして、インプラントに使われている「チタン合金」などがあります。

 次回からは、そのそれぞれの金属について、もう少し詳しくお話をしていきたいと思います。

 最後に、最近のダイレクトボンディングの症例を一例ご紹介して、本日の話を終わりたいと思います。
最新のダイレクトボンディングのテクニックは、ここまで自分の歯を再現する事ができます。
これが、私がダイレクトボンディングにはまった理由です。

 この患者様も48歳、女性。若い頃、無造作に銀歯が入れられていた世代でもあります。
下は術前写真です。
大臼歯に2本、銀歯が入れられています・・・。
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 術後です。
黄色矢印、一番奥の歯を、銀歯をはずし、ダイレクトボンディングで修復を行いました。
歯の溝を彫刻し、着色もほどこし、機能も含め本物の歯そっくりに修復しています。
赤矢印は、この時点ではまだ仮歯です。セラミッククラウンで修復予定です。
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 銀歯があると、どうしてもお口の中が暗く見えてしまいます。
奥歯をメタルフリーにすることで、歯肉の色調も明るく改善したように見えます・・・。

 2019年の診療は1月5日から。その朝一番の患者様はセラミックインレーの型取りの予定です。
「メタルフリー元年」を象徴するようなさいさきの良いスタートになりました。がんばって良い結果を出したいと思います。

 



# by healthcarenews | 2019-01-02 20:17 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

2019年、明けましておめでとうございます!

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今年は是非とも、みんなが不安の無い平和な年になりますように・・・・。

「ところで、お前誰だ?・・・・・」              
ピピです!
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# by healthcarenews | 2019-01-02 18:27 | お知らせ

2018年の思い出・・・、「メタルフリー」へと続く道、第0章。

 2018年も残すところあと1日・・・・、と言う訳で、今夜は今年の総括を・・・って感じで振り返って見ました。
今年も自分なりに精一杯やったつもりですが、同時に、あっという間に過ぎてしまった感も年々強くなってきています(^^;。

 まずは良くある話なんですが、1年の流れはその前の年の終盤辺りからピピピっと来ていたりします。
今年の大きな流れは、去年(2017年)の11月26日、東京、品川での「セラミックインレー」のセミナーから・・・・。
 このネタも、アップしていたつもりだったのですが、探してみても無くて、きっとすっかり忘れていたんでしょう(笑)。

 「Kerr」社は、ドイツの歯科材料メーカーで、「メタルフリー」をテーマとしたセミナーも数多くやってくれています。
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 「メタルフリー」治療とは、歯科治療の中で、お口の中に金属を用いない治療の事。
従来からある「金属(メタル)」を用いた歯科治療は、「丈夫」で「安価」という大きなメリットはあるのですが、金属アレルギーなどの身体に対する障害の問題も、現在では無視できないほど大きくなってきています。また保険診療という枠組みの中で安易に行われると、歯を削りすぎたり、セメントが長期間持たず、虫歯が拡大する原因になったり、歯が割れたり、と、かえって体やお口の中を害する結果になったりもします。
 もちろん、審美的、見た目の問題も特に女性にとっては無視できない大きな問題で、虫歯が大量に発生していた30~40年前はともかく、多くの虫歯が予防できるようになった現在、その数少ない虫歯の治療に、従来通りの金属を用いる治療が最善なのかは、正直疑問を持つところです。

 さて、今日はその「メタルフリー」を目指すためのセミナー。
遠く富士山が見える(赤矢印)くらい好天の日に、朝から脇目もふらず品川の高層ビルにこもります・・・・。
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 見渡すと東京タワーも見えます。東京が一望できる一等地の高層ビルにいるにもかかわらず・・・・、
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気が付くと夕方になっていました・・・(^^;。
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 ここで、徹底的に最新のセラミックインレーのコンセプトを学び直しました。
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 改めて従来の金属を用いた保険治療の限界と、金属を用いない修復のメリットと可能性を教えられました!
下の「治療修復のサイクル」の図は、この時学んだもので、歯科治療した詰め物が、どれくらいの平均寿命かを、口腔衛生学会が疫学的調査をしたものです。
これは、従来型の安易な治療の繰り返しが、結局、歯の寿命を縮める可能性もあることを伝えています。
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 まあ、このネタは年明けから改めてきっちりやっていきましょう。

 さて、ここからが本番の2018年の思い出になります(^^;。
 1月には、根管治療の2日間コースハンズオンセミナー。
少人数で、手技実習をじっくりやるタイプのセミナーですが、これは写真がありません(;'∀')。
ハンズオンセミナーは、忙しくて写真撮る暇ないんです!

 2月3日、昨年11月26日の東京医科歯科大学、風間先生のセラミックインレー、ハンズオンセミナーのアドバンスコース。これは名古屋・・・。
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 これもハンズオンセミナーなので写真無(笑)。
ここでは模型を使って、終日、オールセラミック修復の形成と接着の最新テクニックを実習しました。
そして今年は、この後、大変多くの患者様にご理解を頂き、金属の詰め物をセラミックインレーに交換させて頂きました。


 4月20日~22日、阪大で日本顕微鏡歯科学会がありました。これはマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使う先生たちが集まる学会です。
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いつもの友人たちも・・・。彼らもマイクロスコープのユーザーです。
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 6月18日には地震が来ましたねえ。写真は無いですが、友人たちに少し被害が出ました(-_-;)。

 7月29日、東京でインプラント学会が・・・、しかし台風で新幹線が止まり出席できず(;´д`)トホホ。
 
 8月11日、待合室を少し改装しました。
まずは改装前の写真。
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 ポスターなどの掲示用にと平成15年、診療室改装時に作ったものですが、今はパソコンとモニターがその役目を果たしています・・・。
時は流れ、時代は変わるものです・・・。
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 改装後・・・、クロスを張り替え、特診に置いてあったリトグラフをこちらに移しました。
かわりに特診には窓を作りました。(嘘です、絵です。)
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 9月4日、大阪に台風21号が直撃しました!
関西に大変な被害が出ました。
まあ、当院は被害は軽微な方ですが、一部屋根が飛びました。
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 でも、最も震撼したのは、これ!
実家のエアコンの室外機が今にも落ちそうに・・・。
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これも、奇跡的にその日のうちに事態が収拾出来て、被害は軽微でしたが・・・(;'∀')。
 
11月11日、今度こその東京でインプラント学会。これは出席できました(笑)。でも写真無し(^^;。

12月9日、僕の「ダイレクトボンディング」の師匠にあたる井野先生のセミナー、イン名古屋・・・。
セミナー中の勉強スライドの一部です。
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 ダイレクトボンディングとは、当院でも行っていますが、強化プラスティックを用いて、金属部分や虫歯を本物の歯そっくりに詰める技術です。
もっとも、その本来のメリットは、マイクロスコープや高倍率ルーペを使った徹底的な虫歯除去と金属を使わない精密な接着治療なのですが、結果、境目のない本物そっくりの歯に仕上げることができます。
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 上の写真は、ダイレクトボンディングに使う道具と材料。
何種類もの硬度や色の違うプラスティックを使い、精密に仕上げていきます。(治療に1本1時間半から2時間ぐらいかかります(^^;。)
でも、症例が合えば本当にキレイに仕上がるので、今、当院でイチオシの治療のひとつです。

 セミナー後は井野先生とツーショット。
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 って、感じで、2018年は、山本歯科医院は金属を使わない「メタルフリー」の方向へ大きくシフトチェンジしました!
もちろん、この話も来年早々、じっくりと話をしたいと思っています。

 で、この流れは来年につながります。
師匠、井野先生のハンズオンセミナー、ダイレクトボンディング編、やはりイン名古屋・・・、マイクロスコープユーザー限定・・・(^^;。
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 130分の24(8×3回)、という難関の抽選を突破して、見事セミナーに当選したので3月3日に行ってきます。
マイクロスコープユーザー限定、ってちょっと敷居が高いですけど、僕もマイクロ使いだして5年になりますので負けずに頑張ってきます。

 ああ、もうこんな時間!年内ここまでかなあ(;´д`)トホホ。
また来年、ってもうすぐですけどお会いしましょう!
良いお年を!







# by healthcarenews | 2018-12-31 00:39 | メタルフリー治療・ノンメタル治療

年末年始休暇のお知らせ

平成30年12月29日土曜日より、平成31年1月4日金曜日まで休診させて頂きます。

年始の診療は1月5日からです。

本年もありがとうございました。                当院

# by healthcarenews | 2018-12-29 00:51 | お知らせ

重症の虫歯に対して歯周外科手術(歯冠長延長術)で治療した症例・シーズン2

 今夜のヘルスケア通信は、「重症の虫歯に対して歯周外科手術(歯冠長延長術)で治療した症例 」の第2弾です。
第1弾「重症の虫歯に対して~」のネタは2014年12月のアップなのですが、何故か今でも検索率がとても高い記事です。

 今回は、この第1弾をご覧になって当院を受診された患者様です。
タイトルは、「重症の虫歯に対して歯周外科手術(歯冠長延長術)で治療した症例・シーズン2」。

 サブタイトルは、やはり「重症の虫歯(全顎にわたる歯冠崩壊)に対して、歯周外科のひとつである、歯冠長延長術(クラウンレングスニングス)を用いて治療を行った一症例」。しかし今回は、歯冠長延長術だけでなく、歯牙再植やMTAセメント充填、歯根端切除術など様々な治療が必要になりました。
治療期間はちょうど丸1年、4シーズンを要しました。ですのでタイトルもシーズン2(^^;。

 患者様は初診時41歳、男性。初診は2017年9月です。
まずは初診時の正面写真をご覧ください。
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下は全体像の写真です。
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全体のレントゲン像です。
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 第1弾と比べても、年齢の分だけ重症度が上がっています。そのため今回は抜歯する本数も多く、最終的に治療には義歯が必要になりました。

 まずは、ホープレス歯(歯を残すことが絶対に不可能な歯)を抜歯していきます。
同時に、残せる歯はきちんと根管治療を行っていきます。この根管治療、臨床成績を上げるためにはなかなか手間がかかって、多数の歯をいっぺんに、という訳にはいかず、2本ずつくらいきちんと手順を踏んで、コツコツとやっていく事になります。

 その中でも、1本、「本来なら抜歯になる歯」ですが、その後の治療計画上どうしても抜きたくない歯が1本ありました。
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 上の写真、黄色矢印、上顎左側の糸切り歯(犬歯)なのですが、大きな虫歯で歯肉の中に根っこが埋まっています。
 歯肉の中に歯が埋まっていると、根管治療のための感染防御ができず、治療の方法がありません。そのため、多くの場合このような歯は抜歯の適応になるのですが、今回の場合、その奥の小臼歯の状態が非常に悪く、この犬歯が無かったら左側の咬合を支えきれないため、どうしても抜きたくはありませんでした。
 そのため、一度抜歯して、歯肉の浅い位置に植えなおしをする、という「歯牙再植」と言う治療を行ってみることにしました。
 もちろん、一度抜くわけですから必ず成功するという保証はありません。抜歯した歯の状態によっては、そのまま抜いたままになる可能性もあります。そうなると、上顎には大きな入れ歯を入れるしか治療法は無く、今回の患者様の希望の一番大きな部分が達成できない、という事になります。
 この治療が、今回の大きな山場であることを患者様にご了解いただいた上、歯冠長延長術と並行して歯牙再植を行いました。

 術後です。
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 上の写真、黄色い矢印の部分が再植を行った歯です。
虫歯を取り除いた健康な歯の部分が、歯肉の上に出ています。

 ややマニアックな話になりますが、レントゲン写真も載せておきます。
術前です。
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 黄色矢印が問題の歯です。
下は術後レントゲンです。
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歯の根っこが短くなっているのが、わかっていただける・・・・かなあ?(^^;

 歯冠長延長術後の歯肉の治癒を待ったあとの正面写真です。
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 その状態での全体像のレントゲン写真です。
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 なんとか大きな山場を越えたので、あとはチャッチャと行きましょう。
土台を作っていきます。
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仮歯を入れます。

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 この状態で、どうしても根管治療が成功しなかった歯に、MTAセメント充填と歯根端切除を行いました。
 術後の全体像レントゲン写真です。
赤い矢印の。短く水平に切られた根っこが歯根端切除を行った歯です。
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 さて、いよいよラスト、術後の正面写真です。
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全体像です。
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最後に義歯を入れてフィニッシュになります。
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 下に、もう一度、初診時の写真を挙げておきます。
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 初診の頃は、さすがに悪かった歯肉の状態も、治療が進むにつれて、歯磨きも上手にていねにしてくれるようになり、非常に良い状態になっています。

 最初の頃にも書きましたが、ここまでの治療期間はちょうど1年間でした。
その間、彼は、時には仕事の都合で予約キャンセルの連絡が入ることはありましたが、ほとんど欠かすことなく、遅刻もせず、きちんと治療に通ってくれました。
 
 患者様の名誉のためにも書き添えておきますが、重症症例と言っても、第1弾の女性も含め、多くの場合、それは「特殊な方」ではありません。
この患者様も、非常に礼儀正しい、好青年でした。
 ただ、仕事が非常に忙しかったり、本来治療を受けるべきタイミングで正しい治療を受けそこなったり、あるいは、かかった歯科医院との相性が悪かったり・・・。
今回も、そんな些細な「間の悪さ」みたいなものが重なって、重症化したものと思われます・・・。

 治療の最後の方で、患者様が僕に言ってくれた言葉、
「おかげさまで、人生が変わりました・・・・。」
これが僕にとって、一番のご褒美になりました。

 残念ながら、彼はこの秋に福岡に転勤が決まりましたが、今後のメンテナンスに、福岡で僕が一番信頼している歯科医院を紹介させてもらいました。
また大阪に帰って来られたら、メンテナンスに通ってくださいね。どうぞお大事になさってください。





# by healthcarenews | 2018-10-20 23:08 | 歯周病治療

当院の根管治療技術の総力をあげて戦った難治根管治療症例について・・・

 今夜のヘルスケア通信は、久々の「マイクロスコープ・根管治療」ネタです。
マイクロスコープを導入して早や5年・・・、その取扱いにもかなり習熟し、システムも安定して、幸か不幸か、日々多数の根管治療の難治症例に取り組んでいる今日この頃であります・・・。
 その中でも昨年、僕の根管治療技術の総力をあげて、約10か月をかけて、なんとか治癒にこぎつけた症例に出会いました・・・。おそらくマイクロスコープが無かったら絶対に治療できなかった症例です。
 マイクロスコープがあれば必ず上手な治療ができる訳ではないのですが、マイクロスコープが無いと絶対にできない治療はあります。
 今夜はそんな症例を・・・、題して「当院の根管治療技術の総力をあげて戦った難治根管治療症例について・・・」。

 患者様は50歳、女性、2017年10月の初診です。
初診時、「左上大臼歯」と「右下大臼歯」に同時に重大な問題を抱えていました。
どちらも、過去に同じ歯科医院で治療したものです。
今回、他の医院で、この歯の抜歯を勧められ、当院を受診なさいました。

 まずは治療前のレントゲン写真をご覧ください。
まずは「左上大臼歯」です(下写真)。黄色丸の中に黒い影があります。
ここに膿が溜まり、腫れて、強く痛みます。
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 右下です。
「右下大臼歯」も同様に、黄色丸の中の黒い影の部分に膿が溜まっていて、腫れて痛みます。
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左右の歯が両方とも痛むので、噛むことができず、強いストレスを抱えておられました。

 とりあえず応急的に消炎処置を行い痛みを止め、3D-CTレントゲンを撮影後、根管治療にとりかかりました。

 まずは「左上大臼歯」、術前のマイクロスコープ画像です。
かぶせ物と土台を外し、感染予防のための隔壁を作った段階の写真です。
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この時点では、実は痛みの原因は何もわかりません。

 さらにマイクロスコープ拡大下で掘り進んで行くと・・・、
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中から、ドクドクと白い膿が出てくるようになりました・・・。
これでは痛くて当たり前です。

 さらに拡大して、中を覗くと・・・・、ん?!、痛みの原因にひとつたどり着きました。中でドリルが折れていたのです。
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赤い矢印が、中から出てきている「膿」です。
黄色い矢印の先の、グレーの四角形のものが折れているドリルの頭の部分です。
青い矢印は、歯の中にできている、固い「コブ」です。

 前医はこの「コブ」に邪魔されて、根管の中に正確にアクセスすることが出来ず、ドリルを折ってしまい、それで諦めて治療を不完全な状態で終えてしまった結果の痛みだろう・・・、と、この時点ではそう推察していました・・・。
 まあ、とりあえず折れたドリルを取りのぞき、邪魔な「コブ」を削り取ります。
この「コブ」を削る作業が「手探り」では、どこを削っていいのかがわからず、とても怖い作業なのです・・・。ここはマイクロスコープ下で直接見て削ります。
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 上の写真は「折れたドリル」も「コブ」も無くなって、「膿」も止まって、なんとなく「スッキリ」した根管内のマイクロ画像です。通常、上顎の大臼歯には、根管と呼ばれる神経の穴が3~4本開いているのですが、その穴も3本キレイに見えています。
 さあ、これで治るだろう、と、思ったのですが・・・、ところが!実はここからが思いのほか、さらに難しい治療になっていくのです・・・(-_-;)。

 当院には、根管が正しい位置に開かれているかどうか、電気的に検査する器械があるのですが、それで測定すると、2本の根管から「ピーッ」とエラー表示が出ます。
「?????」目で見ると、どう見ても正しく開いているように見えるのですが、検査結果は「エラー」が出るのです・・・。
そこを触るとそこからは出血が・・・・、どうやらまだ、重大な「何か」のトラブルが隠れているようです・・・。

 でも、とりあえず痛みは止まったので、ここからは「右下大臼歯」の治療にもとりかかる事にしました・・・。
麻酔をして、かぶせを外して、土台も外します・・・。一行で終わりましたが、この「土台を外す」と言う治療が、実を言うと根管治療では、大変な神経を使う作業なのですが、ここはあっさりとまたの機会に譲って割愛しておきましょう。
 
 下は、土台を外した状態の、根管内のマイクロ画像です。
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 またもや「コブ」(黄色矢印)です(^^;。何かの呪いか・・・・!
3か所の赤い矢印の白いセメント部分は、前医が治療した根管の跡ですが、「コブ」を取り除かないまま治療していますので、嫌な予感がします・・・。

 やはりマイクロ下で「コブ」を除去したのが下の写真です。
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 3本の根管がキレイに見えて「スッキリ」した画像になりました・・・、が、案の定1本の根管から「ピーッ」とエラー表示が出て、そこからは出血が・・・。
「オー、マイガーッ! こりゃあ難しいぜよおお!」こじれにこじれた根管です。簡単には治らない訳です・・・。

 ブログ上では、あっと言う間にここまで来ましたが、実際には、数回分のアポイント、何時間もの時間を費やしてここまで来ています・・・。
幸い、痛みは止まっているのと、患者様も協力的で、治療に理解を示して下さいましたので、ここからもゆっくりと時間をかける事ができました。

 先ほどから問題になっている「ピーッ」というエラー表示は、説明を加えておきますと、「パーフォレーション」と言って、「根管が正しくない位置に開いている」、簡単に言うと、「開いてはダメな所に穴が開いている」事を示しています(-_-;)。正直、歯としてはもうダメダメの状態です。従来なら、このような歯の多くは抜歯を余儀なくされていました。

 現在では、このような穴(パーフォレーション)をふさぐための良い治療法が開発されています。しかし、この穴をふさぐだけでは、もともとの根管治療は完了しません、どこかに正しい根管があるはずです・・・。
 さらに時間をかけて、CT像とにらめっこしながらマイクロスコープで探索します・・・。

 見つけました。
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エラー表示の穴のちょっと外側に、もう1本の根管がありました。
そこを、もう少し時間をかけて、ていねいに拡大していきます。
どうやら、「右下大臼歯」の本当の姿が見えてきました。
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 上の写真は、根管治療のための根管の拡大終了後の画像です。
赤い矢印2本が本来の正しい根管、黄色い矢印が本来開いてはいけないパーフォレーションの穴でした。穴の中には歯ぐきが見えてます。

 この歯の治癒のためには、この穴(パーフォレーション)を絶対に塞がなければいけません。
従来ではそれは大変難しい治療でしたが、現在ではパーフォレーションの治療のために「MTAセメント」と呼ばれる画期的なセメントが開発されています。
やや高価ですが、このセメントは、ここ最近の歯科薬品では、多くの患者様に恩恵をもたらす素晴らしい製品のひとつだと思っています。

 さて、下の画像はそのMTAセメント充填直前の写真です。
「穿孔」と書かれている黄色い矢印の部分がパーフォレーションの穴です。中から少し出血しています。
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ラバーダムと呼ばれる、感染防止用のゴムの膜を歯の周囲に張って、マイクロスコープ拡大下で、ピンポイントでセメントを充填します。

 下の画像は術後写真です。
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赤い矢印が正しい根管、黄色い矢印の部分がMTAセメントを充填した部分です。
ここまで来れば、あとは普通の根管治療です。
いつも通りに根管を消毒して、根管充填をしてこの歯の根管治療を終了しました。

 下は術後レントゲンです。
術前に有った黒い影がきれいに無くなっています。良かったあ(^^;。
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 「右下大臼歯」の治療で、今回、大体何が起こっているかがわかりましたので、今度は改めて「左上大臼歯」の治療に取りかかります。
CTとにらめっこしながらマイクロスコープで正しい根管を探索します・・・。
上の歯は、なかなか難しかったのですが、慎重に探していった結果、まず1本を見つけました。
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 赤い矢印が「ピーッ」っとエラー表示が出た穿孔(パーフォレーション)した穴の部分、黄色い矢印の部分が正しい根管の位置です。こう見ると、かなり離れています(-_-;)。初診時に開けた部分からでは想像もできない場所に正しい根管があった訳です。これでは「手探り」の治療では、正確な治療は無理であったろうと思われます・・・。

 「左上大臼歯」には、エラー根管が2本ありましたので、とりあえずもう1本も探して見つけます。
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赤い矢印がエラー表示の穿孔(パーフォレーション)部分。黄色い矢印の部分が正しい根管です。
「左上大臼歯」には2か所もパーフォレーションが起きていたのです。

 治療法はもう一択、「MTAセメント」しかありません。
下の画像は、MTAセメント充填直前の写真。やはりラバーダム防湿下、マイクロスコープ下での治療になりました。
3本の赤い矢印の部分が正しい根管、黄色い矢印の部分がエラー根管です。
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 下の画像はMTAセメント充填後です。
MB根、DB根、P根と書いてあるところが正しい根管です。
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 ここまで来ればあとは「右下大臼歯」と同じで、いつも通りの根管治療の後、根管充填を行います。
下は術後レントゲン写真です。
まだ完全とは言えませんが、やはり術前に有った黒い影が消えてきています。もちろん、痛みも腫れももうありません。
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これで、右下大臼歯、左上大臼歯2本の根管治療が終了しました(^^;。めでたしめでたし。

 さて、根管治療終了後、念のため仮歯を入れて数か月経過を観察しましたが、特に異常が見られなかったため、
2018年8月末、両方の歯にメタルボンドセラミッククラウンを装着し、定期的なメンテナンスに移行しました。

 最後に術前、術後のそれぞれの口腔内写真です。
まず左上大臼歯、術前です。黒く見える銀歯が問題の歯です。
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術後です。
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右下大臼歯、術前です。やはり銀歯が問題の歯です。
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術後です。
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 根管治療とマイクロスコープのネタを扱うとき、いつも書くのですが、マイクロスコープがあれば、いつもこんな治療ができる訳ではありません。
その点だけは、くどいようですがご了承しておいて下さい。今回は、ただ「奇跡的に」偶然治っただけかもしれませんし、数年後、あるいはもっと早く数か月後にも、また炎症を再発し、抜歯することになるかもしれません。根管治療を、自費診療(保険外診療)のみで診療する「根管治療専門医」ですら、難治性の根管治療の場合、その成功率は50~60%と言われています。
 もし大きなひび割れが入っている歯なら、治療成功率はもっと低く、多くは早期に抜歯に至っているのが実情です。
ただ、誰でも抜かないで済むものなら抜歯をしたくないのが人情です。僕はこの部分の「納得」のお手伝いがしたいと思って、必要に応じてのみマイクロスコープを使っています。難治性の根管治療に悩む方に、「良いご縁」となれば幸いです。
 












# by healthcarenews | 2018-10-12 23:40 | マイクロスコープ・根管治療

貴方の健康の舵取りを。堺市北区中長尾町、山本歯科医院の歯科に関する情報のページです。


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