最新の歯科医療概念、MI治療、ミニマルインターベンション(最小限治療)
当院では、将来の長きにわたって患者様の歯を守るため、MI治療、ミニマルインターベンション(最小限治療)という考えをベースに治療を行っています。
メンテナンスで定期的にバイオフィルムを除去する事で、虫歯や歯周病になる可能性は大幅に減りますが、残念ながら絶対に虫歯にならないという訳ではありません。
1度大きく削ってしまうと、次に再発したときにはさらに病変は大きくなります。ですから、もし虫歯になってしまったときは、まずは病変を正確に診断して、できるだけ歯を削らずに最小限の治療で済ます必要があります。
この治療法がミニマルインターベンション(最小限治療)なのです。予防歯科はその究極の姿といえます。
まずは最初の診断が大切
MI治療(最小限治療)は、まずは正確な診断から始まります。
はじめに虫歯の現在の状態と、原因をていねいに診察します。
深い虫歯では、神経が死んでしまっている時もあります。
虫歯の状態や、原因が何なのかによって、治療方針も変わってきます。
現在では、従来の歯磨きの不良からくる虫歯に加え、強い咬み合わせによる歯のヒビから感染する虫歯も増えてきました。
甘い物の食べ過ぎや、歯磨きの不良からくる虫歯と、歯のヒビからくる虫歯は当然治療法が変わってきます。
当院では様々な診断ツールを用いて、虫歯の状態を診断していきます。
MI治療のための診断ツール
1. まずは基本資料としての、口腔内写真とパノラマレントゲン写真を撮ります。
2. 必要に応じ、バイトウイングと呼ばれるレントゲンを撮ります。
3. ダイアグノデント(初期虫歯発見用レーザー)
4. 高倍率ルーペとマイクロスコープ
5. LED透過光診断ライト
6. EPT(歯髄電気診断器)
これらを使用して、治療が必要かどうか、必要ならどのような治療を行うかを判断していきます。
1.口腔内写真とパノラマレントゲン写真
3.ダイアグノデント(初期虫歯発見用レーザー)
これらのツールを使用して、治療が必要かどうか、必要ならどのような治療を行うかを判断していきます。
初期虫歯なら、削らずに経過観察、深い虫歯でもできるだけ神経を取らずに最小限治療
噛み合わせの溝の黒い筋、レントゲン上の黒い影、これは必ずしも虫歯ではありません。
黒い筋はただ茶シブの着色であることも多々あります。
レントゲンにはエラーも多く、レントゲンの読影は慎重に行う必要があります。ヒビがレントゲン上で黒い影として写ることもあり、最終的な診断は、マイクロスコープか高倍率ルーペの下で、LED透過光を用いて行う事になります。
また、仮に虫歯であっても、エナメル質に限局する初期虫歯は、進行が遅いことも多いため、その患者様のお口の中の環境や虫歯リスク、メンテナンス性なども考慮して、可能であれば、できるだけ治療をせず経過観察を行うようにしています。
また、明らかに治療が必要な虫歯に関しても、MI治療(最小限治療)の原則は大切になります。当院では、深い虫歯でも、可能であれば、できるだけ神経を取らずに治療するように努めています。
ボンディング材(歯科用接着剤)の進化が歯科治療を変えた
従来の治療なら、神経に近い深い虫歯は、術後痛みが出る可能性が高いため、その前に痛みが無くても神経を取る場合がほとんどでした。
現在では、ボンディング材(歯科用接着剤)が進化し、神経に害が無く、刺激や感染をシャットアウトするシーリング性能が格段に進歩したため、術前に痛みが出ていなければ、かなりの確率で、深い虫歯でも神経を残し、治療することが可能になりました。
虫歯の深い所は、感染を除去後、ボンディング材とレジンで埋めて、表層を金属でカバーするか、審美治療を行うならセラミックインレー、ダイレクトボンディング等で治療するようにしています。
そうすると、虫歯と神経との距離が、0.5mm~0.6mmぐらいしか無くても、治療後、痛みもなく、しみることもなく長期間経過できることを多く経験しています。
ただし、深い虫歯のMI治療はメリットばかりではありません。
従来なら、すぐに神経を取っていたような歯の治療になりますので、やはり術後痛んだりしみたりする可能性はあり、その時は改めて治療のやり直しを必要があり、治療の回数も増え、コストも二重にかかる可能性があります。
当院では、そのような症状が出る可能性がある場合は、あらかじめ説明をし、了解を得た上で治療を行っています。
個人的な見解ですが、深い虫歯の治療でも、長期的に歯を残すためには、できるだけ神経は残した方が良く、不幸にもすぐに再治療になるリスクはありますが、できたら神経を残す治療にチャレンジする価値はあると思っています。
MI治療と審美治療の融合・ダイレクトボンディング
ダイレクトボンディングは、MI治療と審美治療の融合を目指した最新の審美修復テクニックです。
プラスティックベースのため、強度的な問題であまり大きな虫歯には使えないなど、適応に限りはありますが、術後、仮に神経を抜く必要が生じても、歯の一部に穴を開け、そこから神経を取り除き、根管治療後、また元通りに修復することも可能なため、術後のフォローアップ性が高い治療と言えます。(型を取って作るインレーは作り直すケースがほとんどになります。)
ダイレクトボンディング症例