8020についてもお話をしておきたいと思います。
8020運動については聞いたことがある方もいらっしゃるとおもいますが、80歳で20本の歯を残そうという運動です。
20本自分の歯があれば、食事をおいしく食べることができて有意義な老後を送れるからがんばって歯を残しましょう、というのが基本的な考え方ですが、単に20本残ってればえらいのか、とそういう意味ではありません。
ここでは少し別の側面からお話しておきたいと思います。
本来、歯は親知らずを除いて標準28本、上下それぞれ14本ずつが、まったく無駄なく、支えあって機能しています。もし歯が1本抜けるとどうなるか?両脇の歯の負担は1.5倍に増えます。
想像してみてください。3人でちょうどいい仕事場で、1人が休んで2人なったら負担がどれだけ増えるか。
1週間や2週間なら、まだ耐えられるかもしれませんが、何ヶ月にもなると、残りのスタッフも過労でへろへろになってしまいます。
歯もまったく同じことが言えます。
残りの歯が20本以下になるとそれぞれの負担が増えて歯は加速度的に破壊されて行きます。
その破壊は単にバイオフィルムの除去だけでは、コントロールは困難になります。
例えば60歳で残り20本の歯の方が、がんばって予防するから8020達成できるでしょうか?と問われればそれはおおいに疑問と言わざるを得ません。
まずは最初の1本を大事に。
これが基本です。
ただし、念のため付け加えれば、現在歯が20本無い方もいきなり悲観することはありません。
ていねいな治療と予防。噛み合せのコントロールで、かなり歯の寿命は延ばすことはできます。そこは予防歯科医の腕の見せ所です。
当院にもメンテナンスを重ねられ、80歳で20本の歯が残っておられる方が何人もいらっしゃいます。
また70代で20数本の歯を残されてあとは80歳を待つばかりと言う方もいらっしゃいます。
56歳でメンテナンスを始められ15年経過、現在71歳でその間1本だけ歯を抜いて残り27本のご婦人もいらっしゃいます。
喪失率から考えて8020達成は間違いないと思います。8020は一日にして成らず。
まずは予防をはじめましょう。